いまなお名車として国際的に高く評価されているトヨタ2000GTの思い出。
1967年、東京モーターショーのヒーローだった
▲発売前の1966年に茨城県谷田部の自動車高速試験場でスピード記録にトライ 24時間を平均206.23㎞/hで走行するなど世界記録を樹立した(写真は後期モデル)
ボクが初めてトヨタ2000GTを目の前にしたのは1966年の第3回日本GPだった。ポルシェ906や日産R380を相手に、初舞台で3位入賞は驚いた。その後も、2000GTは、とくに長距離耐久レースが圧倒的に強かった。連続高速耐久トライアルで、数多くの世界記録と国際記録を樹立し、映画『007』でジェームズ・ボンドとともにスクリーンに登場するなど、次々と大きな話題を発信し続けた。
ボクは2000GTが勝利したレースも観戦したし、高速耐久トライアルの現場にも立ち会った。
しかし、より鮮やかな記憶は1967年の東京モーターショーだ。2000GTの横に立ったのはなんとスーパーモデルのツイッギーだった。彼女はミニスカートブームを世界に広げ、人気の頂点に立っていた。
そんな異才に、極東のモーターショーのスタンドコンパニオンを引き受けさせるとは、本当に驚いた。同時にイメージ戦略へのトヨタの取り組みの気迫が伝わってきた。
2000GTのスリーサイズは、全長×全幅×全高4175×1600×1160㎜。現在の水準に照らし合わせるとコンパクトにまとまっている。ところが、実車は少しも小さく見えない。
それは圧倒的美しさがもたらす強い存在感があるからだろう。 ローズウッドのインパネ、マホガニーのステアリングホイールなど〝匠の技〟で作り込まれたコクピットは美しい。
150㎰/18・0㎏mを発揮した2リッター直列6気筒DOHCは、高回転域のスムーズさがやや物足りなく、アイシン製5速MTのフィールもいまひとつだった。ボクの谷田部テストコースでの最高速挑戦はエンジントラブルで断念。初期モデルだったからかもしれないが、正直なところ、走り味と乗り味に関しての感動的な記憶はほとんど残っていない。しかし、トヨタ2000GTは、そのデザインと公式記録の数々、そして希少性で、日本の自動車史に燦然と輝く1台である。この主張に、誰も異論はないはずだ。
■主要諸元
グレード:2000GT(1969年式)
寸法・重量:全長×全幅×全高4175×1600×1160㎜
ホイールベース2330㎜
車重1255kg
エンジン:1988cc直6DOHC12V(150ps/6600rpm 18.0㎏m/5000rpm)
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ディスク
タイヤ&ホイール:165HR15+マグネシウム
駆動方式:FR
乗車定員:2名
デビュー:1967年5月