【Front Screen/安東弘樹】沖縄で出会ったパークアンドライド方式。これは最高です

沖縄01沖縄の「ゆいレール」に感動しました

 この夏、4年ぶりに家族で沖縄に行ってきました。我が家は私以外、妻と2人の息子は基本的にインドア派です。海でのアクティビティなどにあまり興味がなく、砂浜は足が痛くなるし、日焼けしすぎる、という理由でビーチにも行きませんでした(笑)。食事以外の外出らしい外出は、美ら海水族館に行ったくらい。そんな中、鉄道好きの長男が、沖縄都市モノレール、ゆいレールに乗りたいと言い出しました。ゆいレールは、那覇空港から、浦添市にある“てだこ浦西”、という駅の間、16.9㎞を17の駅で結んでいる新交通システムです。私も興味がありましたので、長男と相談して、宿泊していたホテルから最も近い、てだこ浦西駅から首里駅までの4.1㎞区間、8分間のプチ電車旅?に出かけました。

沖縄02 ホテルから、レンタカーで30㎞弱走り、てだこ浦西駅に向かいます。駅に近づき、その光景に驚きました。とにかく駅前のロータリーが新しくて綺麗で、しかも沖縄の景観に溶け込んでいるのです。近代的なのですが自然と共生している造形で、違和感がありません。そして何より驚いたのが駅に巨大な立体駐車場が隣接していたこと。地上4階建てで収容台数が約1000台、という巨大駐車場がまさに駅の隣にあるのです。駅のロータリーには“パークアンドライド”と書かれたノボリが立っていました。沖縄に住んでいる方が「旅行や出張などで、那覇空港を利用する場合や、ゆいレール沿線で開催されるイベント時、那覇市内の渋滞を避けての移動にこの駐車場は最適」といいます。まさにパークアンドライド、ここにクルマを止めてゆいレールに乗り換えれば、渋滞に悩まされずに、快適に那覇や都市部に行けるのです。ちなみに、これまで駐車場が満車になったケースは、ないそうです。今後、利用者が増えてきた場合は、インターネットなどで利用状況をリアルタイムで把握できるようにする計画もあると聞きました。私たちが利用した8月下旬の平日午後は、全体の4分の1程度が埋まっている状況で、余裕はかなりある様子でした。

 パークアンドライドをうまく活用すれば、これほど快適な移動はないでしょう。当然、通勤利用の定期料金が設定されており、時間、曜日に関係なく、ずっと使えるタイプが1カ月で5000円。半年の場合は10%の割引で2万7000円。平日(月~金)限定の利用は月額3500円。この場合も割引があり、半年間では1万8900円です。ゆいレールの利用者は増加中とのこと。私たちが訪れた2週間ちょっと前に編成が2両から3両に増えたばかりでした。

沖縄03 ゆいレールは、スイカ(Suica)やイコカ(ICOCA)などの交通系ICカードが利用可能。もちろん、沖縄ローカルのバスでも使える独自のICカード、オキカ(OKICA)も使えます。首都圏から沖縄に出かけた場合、お持ちのICカードが使えるのです。切符は、切符自体にQRコードが印字されていて、それをセンサーにタッチする方式でした。すべてが新鮮で、ゆいレールに乗るまでは、気分が昂ったちょっとした、“お上りさん”状態。若干、恥ずかしかったです(笑)。

 それにしても、このパークアンドライド方式、首都圏に住む身としては“夢のような”話です。職場がある都心地域の手前で、管理の行き届いた大型の立体駐車場に愛車を止めて、渋滞知らずで職場に向かう。しかも経済的負担は少ない。現状、首都圏や、大都市圏ではまさに“夢物語”ですが、さすがクルマ社会の沖縄です。

 首都圏と比べれば、人口密度や中心部で働いている人の数の桁が違うのは確かです。しかし、沖縄でも那覇周辺への人口集中に伴い、道路の渋滞は深刻化、慢性化しています。その解決方法として画期的だと、感心しました。まさか鉄道好きの長男の趣味につきあい、このような素晴らしいシステムを知ることになるとは思いませんでした。長男に感謝です。

 もし、私が沖縄に住むことになったら、このパークアンドライドを積極的に利用するでしょう。渋滞でイライラすることなく職場に向かえ、仕事が終ったら、夕景や夜景を見つつスムーズに戻れるのです。駅に着けば愛車が待ってくれています。私の沖縄移住の夢が高まったのは、“いつでも綺麗な海を見られる”という理由だけではなく、このパークアンドライドも要因です。沖縄に暮らす。そんな将来を夢見ています(笑)。

【プロフィール】
あんどうひろき/フリーアナウンサー。1967年、神奈川県生まれ、元TBSアナウンサー、現在は独立し、TBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s ~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、MBS「朝日奈央のキラめきスポーツ〜キラスポ〜」、テレビ東京「ミライの歩き方」、bayfm78「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。趣味・特技はモータースポーツ、クルマ全般、弓道、スキー。日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)選考委員

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