●プロパイロット2.0だけでなく400Rもデビュー!
クルマ好きの7月の注目といえばやはりコレ、5年ぶりに大幅テコ入れされたマイチェン版、日産スカイラインでしょう。正直にいわせてもらうと2014年デビューの現行V37型はやや拍子抜け。当初、ガソリンエンジンモデルは存在せず、フーガやシーマと同じ3.5リッターV6ハイブリッドモデルのみでした。
世界初の完全電子式操舵機構、ステア・バイ・ワイヤ式のダイレクト・アダプティブ・ステアリングを搭載し、ハンドリングは超ユニーク。切った瞬間すでに曲がっている! ような感覚は異次元でしたが、だからといってスカイライン離れを止めるほどの威力はなく、販売ではかつてのライバル、トヨタ・マークX&クラウンに推されっぱなし。エンブレムのみ北米のプレミアムブランド、インフィニティが使われているのもナゾでした。
もちろん発売数ヵ月後には2リッター直4ターボモデル、それもメルセデス・ベンツ製エンジン車を追加しましたが、がんばったのもそこまで。街中で頻繁に見るにはいたらずという。
ところが5年後のいまになってようやく本格反撃。基本骨格こそ変えていませんが、北米で評判のいいパワー&トルク304ps&400Nmの直噴3リッターV6ツインターボモデルをリリースしたうえ、ハイブリッドモデルに世界初のハンズフリー、つまり高速両手離し半自動運転を可能にしたプロパイロット2.0搭載。
そのうえ3リッターターボ車にはパフォーマンスアップした405ps&475Nmの「400R」まで新設定したのです。
▲NEWスカイラインは405psに到達した400Rを新設定 ファン待望のスポーツグレード
▲手前が400R 奥がGTタイプSP 丸形4灯が浮かび上がるリアコンビランプに改良した
果たして日産はどれくらい本気なのか? これでスカイラインを完全復活させるつもりなのか? 若きマーケティング担当者の丸地隆史氏を直撃しました。
▲チーフマーケティングマネージャー丸地隆史氏に新生スカイラインの意気込みを聞いた
●スカイラインを止めるつもりはなかったのか?
小沢 スカイライン、いまどれくらい売れています?
丸地 直近でいうと年間2700台弱です。
小沢 月200台ぐらい。ちょうど今回の販売目標くらいですね。一方ピークは?
丸地 発売直後だと14年度が9500台。
小沢 厳しいことをいいますと、最近のスカイライン、ビッグネームで日本でも期待が高いモデルですが、いままでコンセプトがぶれていたと思ってしまいます。当初はハイブリッド推しで、他のパワーユニットの予定を聞くと「ない」といい、しかし数ヵ月後には2リッターターボを追加。さらに今回の3リッターターボにせよ、北米ではとっくに投入されているのに、なかなか国内仕様がでてこない。そしていまになってエンブレムをインフィニティから日産に戻し、スカイラインは走りだと強調する。
丸地 そもそもスカイラインの走りのDNAは絶対なので、今回それを3リッターターボでお見せできたと。北米で高い評価を頂いているものをようやく投入できたなと思っています。さらに先端技術といえばスカイラインなので、今回、最先端の自動運転支援技術も投入できた。高い技術を時代時代にキャッチアップしてスカイラインに入れていく、というコンセプト自体は、そんなにぶれてないかなと思っています。
小沢 走りとプロパイロットがいまの日産の象徴だからスカイラインに注入したと。しかし、このタイミングでなぜインフィニティバッジを日産に戻したのでしょうか。
▲マイチェン後のスカイラインはエンブレムをNISSANに戻した
丸地 前向きに新生日産ということもあり、インテリジェントモビリティの象徴でもあり日産バッジにするのは当然のことだと思っております。過去インフィニティチャンネルの問題などありましたが、やっぱり国内の日産モデルの象徴ということで。
小沢 ゴーン体制が変わってそういうことがやりやすくたってことはありますか?
丸地 それはないですね。日産バッジでいくのは最近決まった話ではないので。
●メルセデス、BMWに本当に勝てると思います?
小沢 しかし月販200台はあまりに目標が少ないんじゃないかと。
丸地 そう思います。200台はモデルライフ全体の数字で我々としてももっと売れると。
小沢 思い切ってスカイライン自体を止めるってことは考えなかったのですか。
丸地 (笑)。それは考えられないですね、やっぱり!
小沢 ということは、今回は技術を増やし、フロントマスクを変えたこともあり、本気でニッポンでスカイラインとしてやり直そうとしている?
丸地 おっしゃるとおりだと思います。ここまでの投資を含めて、ほぼフルモデルチェンジというつもりで我々はやっていますので。
小沢 でもプラットフォームは変わってないんですよね。
丸地 変わってないですがプロパイロット2.0もそうですし、新しい3リッターターボもそうですし、ほぼフルモデルチェンジレベルの扱いです。
▲ハイブリッドのGTタイプSPグレードはプロパイロット2.0を標準装備
小沢 ところでV37型を日産スカイラインという名前で販売しているのは日本だけですよね?
丸地 そのとおりです。
小沢 ということはこのフロントマスクは日本専用?
丸地 専用です。
小沢 確かに真剣さはうかがえますが、それにしてもお値段。ガソリンモデルで400万円台、ハイブリッドで500万円台。本気でメルセデスのCクラスや、BMW3シリーズのお客が取れると思っていますか?
丸地 うーん。そこはだから...
▲400R専用インテリア 400Rはプロパイロット2.0未装備
小沢 やはり狙うべきは長年「俺たちのスカイライン」を待っていたファンなんじゃないですか?
丸地 まずそれはあると思います。
小沢 スカイラインがほしかったけど、気に入ったモデルがないから他に行っていたような。川に戻ってきたシャケじゃないですけど出戻り客が狙い目では?
丸地 お戻りになるお客様もいらっしゃるでしょうし、自動運転支援技術は非常に目玉だと思ってます。感度の高いユーザー様など、いままで日産にご注目を頂けなかった方にもアピールできるかと。
小沢 つまりプロパイロット2.0こそが、ほかにないキラーコンテンツだと。
丸地 そういう面はあると思います。
小沢 ではこれからお手並み拝見です!
▲プロパイロット2.0はNEWスカイラインのユニークな価値となるのだろうか 注目していきたい