1989年、マツダが発売した1stロードスターは、ライトウエイトスポーツの魅力を世界に発信。街の交差点を曲がるだけで「ハンドリングが楽しいクルマ」と評価されるほど、走って楽しく、見ているだけで楽しいオープンモデルだった。
1989年、ライトウエイトスポーツの魅力を世界に発信
▲ロードスターはマツダが展開したユーノス・ディーラーの2シータースポーツモデルとして誕生 写真は1993年のロードスター・スペシャルパッケージ
世界中の数多くのユーザーの心を、これほどまでに強くつかみ、熱くさせ続けている日本車はほかにない。すでに伝説になっているマツダ・ロードスター(発売初期の名称はユーノス・ロードスター)である。その誕生は1989年だった。
ロードスターはスカイラインGT―R(R32型)、トヨタ・セルシオ(レクサスLS400)、ホンダNSXなどと同期生であり、バブル経済の波に乗って誕生した経緯は似ている。しかし、それらのクルマからはバブルのにおいがぷんぷんするのに対して、マツダ・ロードスターにバブルのイメージはない。
クルマ好き、スポーツカー好き、運転好きが自然発生的に集まり、楽しく夢を語り合い、意見をぶつけ合い、熱弁をふるい合った結果に生まれた〝純粋な答え〟が、そこにあるだけだ。
幸いにも、ロードスターの生みの親たちとボクはいい関係にあった。そんな経緯で、開発途上の車両に触れる機会は多かった。ボクは開発テストに真摯に参加した。当然、意見交換は熱いものになったが、ロードスターには、「楽しい!」という感覚がつねについて回った。
実際、走って楽しいのはもちろん、その姿を見ているだけでもうれしくなるし、オープンにしたコクピットに座っているだけでも爽快になる。
わが家では息子が1stロードスターを買った。当時、ボクは911(964型)とデイムラー・ダブルシックスに乗っていたが、911と交換してよくロードスターを借りた。
ロードスターの誕生は、一時消えていたライトウエイトスポーツの火を再びともした。火は他メーカーにも波及したが、結局、市場の支持を受けたのはロードスターだけだった。2016年4月には、ついに累計100万台突破の大金字塔を樹立した。
いまやファンクラブの輪は世界に広がっている。「愛される」という言葉でくくれば、ロードスターは日本が生んだ最高の1台である。じつに素晴らしいではないか。
■主要諸元
ロードスターSPパッケージ
価格:5MT 190万円/4AT 194万円
寸法・重量:全長×全幅×全高3970×1675×1235mm ホイールベース2265mm 車重960kg(ATは990kg)
エンジン:1597cc直4DOHC16V(120ps/6500rpm 14.0kgm/5500rpm)
サスペンション:前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール:185/60R14+アルミ
駆動方式:FR
乗車定員:2名
※スペックは1993年モデル