【九島辰也のカーガイ探訪記】クルマは人生を輝かせるスパイス。日本のカーカルチャーは侮れない!(2024年9月号)

クルマは人生を輝かせるスパイス。日本のカーカルチャーは侮れない!

ラリーに愛車で参加する九島氏(右)と友人の元F1ドライバー中野信治氏

 今月号の特集の言い出しっぺとしてこうしてページになったことは実に喜ばしい。クルマを通じて知り合った諸先輩方の勇姿をこの本を手に取る多くのクルマ好きに見てもらえれば本望だ。それにしてもクルマはすごい。この万国共通のアイテムがなければ人生はこんなにも楽しくなかっただろう。

 個人的にクラシックカーに深く関わり始めたのは2007年ごろだったと思う。当時懇意にしていたクラシックカーショップのオーナーと組んで、ラリーに出場したのがスタートだ。

 もちろん、それ以前にも関わりはあった。1990年代は自動車専門誌でたくさんショップ取材していたからだ。英国車専門店、イタリア車専門店、フランス車専門店などなど。

 クラシックカーの耐久レースにシリーズ参戦していた経験もある。クルマはMGミジェット。走行中にオルガンペダルが折れたときにはビビった。

 2007年以降はクラシックカーのいろいろなイベントに参加した。カーショー的に展示するものから、ツーリングラリーまで。スプレンドーレ榛名のようにワンデーラリーもあれば、ラリーニッポンやラフェスタ・ミッレミリアのように4日間かかるものもある。日程が長くなれば大変度は増すけど、ゴールしたときの達成感は強い。それが麻薬となって何度も出場しちゃうんだよね。

 今回の特集で取材したACCRも幾度か参加したことがある。こちらは他のクラシックカーラリーとは別物。なんたってクルマは本格的なレース車両で、ロールバーや4点式シートベルトはもちろん、消火器やラリー用のサインボードまで積まなくてはならない。もちろん、ドライバー自身の装備もそう。FIA公認ヘルメットにレーシングスーツ、グローブにシューズとまさに完全防備。まぁ、よくよく考えると当たり前だけどね。走るステージこそサーキットだけではないものの、公道を封鎖してSS(スペシャル・ステージ)を設けているんだから。エスケープゾーンがあるサーキットより危険といえばそうだ。

 ACCRはラリー競技の難しさと素晴らしさを同時に味わえることができた。難しさでいえばラリーノートの作成。コドライバーが管理するのだが、これを理解するのは至難の業。走りながらまだ見えない次のコーナーの情報が入るのだから速く走れるのはわかる。でも耳と脳と手と足が瞬間的に反応しないんだよね。これには自分自身に閉口してしまう。

 素晴らしさでいうと、ラリーはサーキットのように直接的に他の競技者と争わない。あくまでも競うのはタイム。走行中はコースとの戦いだ。用意されたSSをどう攻略するかがポイントとなる。なので、競技後全員が仲良く会話できる。

「あのコーナーのイン側は枯れ葉があってヤバかったですよね」、なんて感じで会話が盛り上がる。あくまで敵はコース。エントラントみんなが仲良しなのが素晴らしい。

 なんて感じで、同じクラシックカーでも楽しみ方はさまざま。これがカーカルチャーの深さであり、楽しみ方である。日本のカーカルチャーは侮れませんよ。これからも世界に誇るカーカルチャーをみなさんで育てていきましょう! ね。

くしまたつや/モータージャーナリスト。2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。『Car Ex』副編集長、『American SUV』編集長など自動車専門誌の他、メンズ誌、機内誌、サーフィンやゴルフメディアで編集長を経験。趣味はクラシックカーと四駆カスタム

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