▲新型BMW330e試乗のため独ミュンヘンへ ドイツも暑い
●エンジンに代わる新しい電動味"駆け抜ける歓び"を模索中か
日本では、まだあまり浸透してないかもしれませんが、ドイツメーカーの中でも電動化、とくに電池増し増しのプラグイン・ハイブリッド(以下PHV)戦略に積極的なのが、実はBMWです。
たしかにメルセデス・ベンツは先日ピュアEVの「EQC」を日本で発表、アウディも同様の「e-tron」を国際発表しました。
しかしBMWは、ほぼピュアEVの「i3」を2013年に世界発表、2014年から日本でも発売しています。事実上の"半分EV"といえるPHVモデルを3シリーズ、5シリーズ、7シリーズのセダン群に加え、X5や2シリーズ・アクティブツアラーにも展開しています。
MINIクロスオーバーにも用意しているので、グループ内で全6車種もある。
これだけたくさんのPHVが選べるプレミアムブランドはありません。
▲BMWは2018年にEVとPHVで14万台を販売 価格も含めてPHVに熱心なのはあまり知られていない事実といえる
価格戦略も積極的です。BMW版PHVは、電動化代をほとんど取らない!? という点が大きな特徴。
たとえば旧型3シリーズのPHVモデルは330e、2L直4ターボ+モーター+バッテリーで610万円スタート。同じ馬力レベルの2L直4ターボ、330iとお値段はさほどかわりませんでした。2018年まで売られていた同じ2Lターボ+モーター+バッテリーのメルセデス・ベンツC350eは721万円から。価格は恐ろしく違ったのです。
▲新型BMW3シリーズ 上級クラスと間違えるほどゴージャス感がアップ ボディサイズもアップ
そして今回、小沢がドイツ・ミュンヘンで乗ってきたのは、今春日本に上陸した7thBMW3シリーズの新型PHVモデル、330eです。
聞けばBMWは2018年にピュアEVとPHVを合わせて14万台も売ったとのこと。
つまり全体の6%以上なわけで結構な割合です。
この2代目330eも気合が入っていること間違いナシ! なのです。ちなみに価格は装備倍増もあってか330e Mスポーツで654万円にアップ。しかし中身を考えるとほかのプレミアムより安いかも? といったところでしょうか。
▲電動化でもリーズナブルな価格設定でユーザーニーズに応える姿勢は注目したいポイント
●キモはいままでにない電動エクストラブースト!
ミュンヘンで初めて見た新型330eですが、見た目はさらにリッパに、目ヂカラを増した3シリーズそのもの。
全長は4.7mを超え、全幅も旧型は日本専用ドアハンドルまで作ってまで1.8mをキープしていたのが、ついに1825mmに。正直、幅の拡大は日本ではちとツラいです。が、その分、ハンドリングのソリッドさは増しています。扱いやすさを捨てて、味を取った! という感じでしょうか。
新型330e、とにかく走り出しからステアリングフィールは上々。とくに道の広いアウトバーンでは、より広いトレッドがもたらす走り味に感銘。
▲インテリアもプレミアムサルーンと呼ぶのにふさわしく本当に豪華に
肝心のパワートレインですが、今回基本となる2L直4ガソリン直噴ターボは184psと出力は変わっていません。しかし、モータースペックが65kWから83kWに変わって電動感倍増。
PHV用リチウムイオンバッテリーも7.7kWhから12kWhへとほぼ1.5倍になり、フル充電状態からのEV走行距離が30km代から59km(欧州基準値)に倍増しました。
▲バッテリーを大型化した新型 ラゲッジスペースはほとんど浸食されず フラットで使いやすいスペースを確保
簡単にいうと、EVパフォーマンスが二倍になったと考えればいいでしょう。
実際、乗ってみるとEVモード時の加速度はよりアップ。しかもそれがゆっくりアクセルを踏めば時速140kmまで続くのです。これは凄い。
ただし、これは選んだ走行モードにもより、最も効率がよいハイブリッドモードや、パワフルなスポーツモードにすると全然違います。アクセルを踏み込むと、モーターとエンジンが両方回ってかなりパワフル。
そして新型はここがキモなのですが、新たにエクストラブーストというモードが選べます。システム出力は252psから292psにアップ。システムトルクも420Nmとなり、まさに3L直6ターボに匹敵。0~100km/h加速は6秒を切るといい、かなりの韋駄天ぶり。
▲スポーツモードの中にあるエクストラブースト 電動化でも駆け抜ける歓びを味わえる仕様
要するに新型330eは、電動パワーをより快楽方面に使えるように進化したのが最大の特徴なのです。
とはいえ、小沢は正直、同時に乗った3L直6ディーゼルの330dに感銘を受けてしまいましたが(笑)。
▲新型BMW330dツーリングにも試乗
▲テーマからは外れますが330dの完成度にも感銘を受けました
しかし、いまBMWが岐路に立たされているのは間違いないでしょう。新型3シリーズは自動化の方でも大きく進化し、世界最先端の3眼カメラや毎秒2兆5000億回の演算能力を持つモービルアイ「EyeQ4」というチップを採用してます。
そして日本では夏頃から時速60km以下でのハンズフリー運転、つまり両手バナシ運転を、あの日産スカイラインより先に搭載します。
駆け抜ける歓びも自動化、電動化の波からは逃れられない。目下、BMWニューテイストを絶賛模索中! という状態ではあるのです。
▲電動エクストラブーストの加速フィールを堪能 新しい時代を感じます