経済アナリストで、ミニカーコレクターとしも有名な森永卓郎さんの連載コラム。今回は株主優待として配布されるスペシャルなミニカーがテーマです。
株主総会の出席費用を考慮するべし
もりながたくろう●1957年、東京都出身。東京大学経済学部卒業。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。 個人のコレクションを展示する"博物館(B宝館)"を、埼玉県・新所沢で一般公開中(毎月第1土曜日)
▲トヨタが2019年の株主総会に出席した株主に記念品として配布したセンチュリーGRMNのミニカー ナンバープレートの「1867」年に豊田佐吉翁は生まれた
株主優待でミニカーがもらえる。そんな素敵な配慮をしてくれる会社は、複数ある。
最も有名なのは、タカラトミーだろう。年に1回、100株以上の株主には2台セット、1000株以上だと4台セットのオリジナルトミカがプレゼントされる。
またコマツは、年に2回、300株以上かつ3年以上保有の株主に建機のミニカーをプレゼントしている。とても精緻なモデルで、コレクターにも大人気だ。
こうした株主優待のモデルは、株主になっていれば、送ってきてくれるので、手間はかからない。タカラトミーだと1000株買うのに137万円、コマツだと300株買うのに75万円ほどの資金が必要になるが、お金で対応できる話だ。
ところが、実にやっかいな株主優待が存在する。それが、トヨタだ。
トヨタには、株主優待制度が存在しないのだが、株主総会に出席した株主に、お土産としてミニカーが配られている。
ボクの知る限り、始まったのは2年前からだ。2017年はガズーレーシングのラリーカー仕様のヴィッツ(厳密にはヤリス)、2018年は東京オリンピックのロゴマークが付いたジャパンタクシー、そして今年が新型センチュリーだった。
ミニカー自体の出来は、シャープで、すこぶるよい。だから、ネットオークションでも、フリマアプリで調べても、7000円から8000円くらいの相場がついている。あまりにも高いので、ボクはトヨタ株を買ってしまおうかと考えた。
トヨタ株を100株買えば、株主総会に出席できる。必要な資金は、71万円程度(2019年8月10日現在)だ。世界のトヨタだから、投資資金が焦げつく心配はないだろう。
ただ冷静に考えると、株主総会が開かれるのは平日で、しかも開催される場所は、豊田市の本社だ。これはどう考えても、時間的に出席が難しい。また、往復の新幹線代を考えたら、コストに見合わない。
さすがにこのシリーズだけは、オークションかフリマアプリに頼り続ける以外になさそうだ。
ところで、今回、撮影のために箱から取り出して気づいたポイントがある。ボクは、金属製だと思い込んでいたのだが、実は合成樹脂製だった。手のひらに乗せると、びっくりするくらい軽いのだ。
ただ、樹脂製のほうが、シャープなラインが出せるのも事実だ。これからも株主総会ミニカーは、集め続けようと思う。