※本記事は雑誌『CAR and DRIVER』(2024年11月号)の巻頭コラム「from Editors - カー・アンド・ドライバー編集部の視点」より抜粋したものです
都内をドライブしていると、見かけない日はまずあり得ないといえるだろう、際立った存在感を放つSUVたちがいる。今月号(2024年11月号)の巻頭企画は「羨望のSUV」として、その象徴たる存在としてメルセデス・ベンツGクラス(通称・ゲレンデ)を軸に、ディフェンダーやランクルなどの「本物の魅力」について、あらためて掘り下げて知ろうではないかという企画である。
ここ最近、巻頭企画をメインとした誌面づくりにはさまざまな試行錯誤をしてきた。カー・アンド・ドライバーとして、はたまた自動車メディアとしても、新しいチャレンジをどんどんやっていこう、とあれこれ取り組んできたが、3カ月前にひとつの大きな転換点を迎えることになった。モータージャーナリストの九島辰也氏をナビゲーターとした、編集部とのコラボレーション企画が始まったのである。
氏との出会いは、昨年秋、都内某所で行われた、ロールス・ロイス主催のランチ会だった。そこで九島氏の隣席を配されていたのだ。当然のことながら私からは存じ上げていたものの、独特の存在感というか、バイタリティとオーラあふれる立ち居振舞いに、どこか近寄りがたく感じていたのと裏腹に、どんな方かと興味津々でもあった。勇気を振り絞って?ご挨拶させていただいたところ、気さくに会話させてもらったのだが、そのときはそもそもの場としても緊張していたので、内容については憶えていないが、どこか安心感を覚えたのは確かだ。
ちなみに、もう片方の隣席におられたのは、当時の『カーグラフィック』編集長であり、2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員でもある竹下元太郎氏。この方は非常に温和で親切な方で、ビスポークとはなにか、ロールス・ロイスとは、など、まるでプライベートレッスンのように丁寧にいろいろと教えていただいた。やはり、第一線で活躍し続ける方々には、十人十色の個性とオーラがあるものだ、とつくづく感じた日だった。
九島氏とはその後、日本カー・オブ・ザ・イヤー関連でもよくお会いする機会があり、必然的に会話も増えていった。年齢こそひと回り以上違うものの、何げない会話の中にも、視点や考え方など互いの共通点も見えてきて、言い回しが適切かどうかはあるが、端的にいって「馬が合う」と思った。特定のクルマがどうとかではなく、メディアとしてのあり方、業界の今後についてなど、志をともにするフィーリングが得られた気がした。
そして、2024年9月号の特集「超絶・本気のクルマ遊び」を皮切りに、2024年10月号「最新・フェラーリの世界」そして、今回(2024年11月号)の「羨望のSUV」と、まさに九島氏の知見とネットワークをフルに活かし、編集部一同とともに頭と手と足を使った密なコラボレーションによって、いままでとはまたひと味違う「面白いコンテンツ」を作ることができたと自負している。 私たちカー・アンド・ドライバーは、数ある自動車メディアの中でも、私たち自身も、読者の皆様にこれからも愛され選ばれ続ける存在であるべく「本物」でありたい。
そのためには、これまで紹介してきたカーガイたちやクルマたちがそうであったように、「たゆまぬ努力」が求められることはいわずもがなである。「クルマのある人生をもっと面白くする」をモットーに、よりよい企画をお届けすべく、いまも次なる一手を鋭意検討準備中である。ぜひ期待していただきたい。
文/山本善隆(CAR and DRIVER / FM STATION 統括編集長)
<プロフィール>やまもとよしたか/東京都生まれ。株式会社カー・アンド・ドライバー 代表取締役CEO。ITコンサルティング会社、自動車Webメディア、広告制作会社を経て、マーケティング会社でさまざまな大手企業のマーケティング戦略の立案・推進、新規事業開発などのコンサルティング業務に従事。2020年に独立、2021年より現職。クルマを運転している時間が一日の中で最も好き。1995年以降は大のF1ファン。2022年より日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員
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https://www.caranddriver.co.jp/book/82801/