人気イラストレーター、空山基さんの代表作を紹介。ニューヨークで展示された巨大ロボット、イラスト表現に新しい流れを創り出しエンジンのイラストなどをお楽しみください。
▲作品:1 ニューヨークで展示した巨大な作品/撮影:田中茂
■はい! ありがとうございます。2018年11月30日に東京で開催されたディオールの日本初の新作コレクション(2019プレフォール・メンズ・コレクションショー)のステージに、ボクの『SEXY ROBOT』が出演しました。作品はアルミ鋳造で高さは12m。円形のランウェイ(舞台)の中央に君臨しています(写真)。足元に写っているのがボクです。そのスケール感がわかるでしょ。こんなに大きい立体作品の制作は初めてでした。実際のショーは、レーザービームが飛び交う演出で、ロボットの周囲をモデルさんたちがウオーキングしました。デビッド・ベッカムやベラ・ハディッド(世界的ファッションモデル)もショーに来ていました。
ディオールとのコラボ広告やPRは、4月22日から渋谷交差点ビジョンの動画やギンザシックス、新宿伊勢丹、大阪、中国、パリ、ロンドン、ニューヨークなどで展開中です。世界中をお騒がせしますから、乞うご期待です! 19年秋には、バンコクで巨大ティラノザウルスもブレイクさせますからねッ。
■初めて描いたのは約40年前です。当時は、フェミニン(女性的)でセクシーなロボットが全然なかったので、「世間をびっくりさせてやろう」という気持ちで、女性をステンレスに置き換えてロボットにしました。いままでになかったものを作るとき、ボクは燃えるンです。オリジナリティは、自分で作るしかないですから。人に教えてもらうものではありませんし......。
■トヨタ・ツインカム24の広告用のエンジンパース(1982年)です。この作品以前は、エンジン本体をクロームっぽく光らせて描く習慣がありませんでしたので、エンジンが美しく輝くように工夫を凝らしました。発表後は、世界中にこの手法が受け入れられました。エポックメイキングなイラストでした。
■〝タブーを覆すこと〟に、死ぬまで一生かけて挑戦します。ボクは反骨精神の塊です。したがって、仕事の優先順位は、①面白くドーパミンが出ること②前例がないもので、③いまの作品が代表作になりますようにと念じつつ描いています。そして最後に、4番目くらいに、お金になる仕事に燃えます。楽しい仕事がほしいなァー。でも、ボクのギャラは高いゾーッ(笑)。
■〝他力本願〟です。自分でできることは全力でやり、あとは信頼できる人にすべて任せる、というスタンス。他力本願というと、すべて他人任せと誤解している人も多いようですが、仏教本来の〝他力〟とは、阿弥陀如来の本願力だそうです。難しい話はわからないけれど、ボクの〝他力本願〟は空山流解釈です。
■『ダンケルク』です。第2次世界大戦中に、フランスの港町ダンケルクから英仏軍の兵士40万人を、連合軍が救出する大作戦が、すごい迫力でした。感動したので、映画で活躍する連合軍の戦闘機スピットファイアを第8回AAF作品展(会期:6月21日〜7月2日、会場:東京・市ヶ谷・山脇ギャラリー)のために描きました。ぜひ会場にお越しいただいて観賞してください。
構成●山内会津
そらやまはじめ 1947年愛媛県生まれ。広告代理店に勤務後、71年からフリーランスとして活動。国内外を問わず、個展の開催や画集の出版など精力的に活動。空山さん自身が2018年にディオールの新作コレクションに出品した「セクシーロボット」など、代表作について語ってくれました。空山さんの作品はホームページ(www.nug.jp、www.nose-art-pinups.com)をご参照ください。AAF(オートモビル・アート連盟)会員。