プロのモデラー、畔蒜幸雄さんの代表作を紹介。映画「ブリット」(1968年)の中でフォード・マスタングとダッジ・チャージャーが展開するカーチェイスシーンをプラモデルで再現
あびるゆきお 1957年、東京都生まれ。プロのモデラー。学生時代から模型雑誌の作例製作や執筆を始める。1990年に独立、自動車メーカーやミニカーショップの作品などを製作し、最近は玩具や日用雑貨などの塗装サンプルも手がけている。AAF(オートモビル・アート連盟)会員。東京都在住。今回は大ヒット映画、「ブリット」のカーチェイスシーンで話題になったフォードとダッジ・チャージャーを「シネマ仕様」に仕上げた作品。作者のこだわりが詰まった2台
市販キットを徹底的にカスタマイズ
▲フォード・マスタングとダッジ・チャージャーのカーチェイスシーンを再現
*作品のイメージは、映画『ブリット』のカーチェイスシーンですね!
■はい! 主演のスティーブ・マックイーンがドライブするフォード・マスタングが、殺し屋が乗るダッジ・チャージャーを追う。この有名なカーチェイスシーンにちなみ、劇中車をできるだけ忠実にモデルで再現しました。
フォード・マスタングは、1968年に発売された米国AMT社製の古いプラモデルキットのボディと、米国レベル社の現行品「68年型マスタング〝ブリット〟」のキットからボディ以外のパーツを使用しました。当時発売されたAMT社の68年型マスタングは、とくにボディの形状が優れており、いまでは希少価値が高いキットです。ボディ回りのエンブレムを取り除き、フロントグリルを開口して黒のメッシュ貼りにしました。ボディカラーは純正のハイランドグリーンです。当時のカラーチップを参考に調色しました。
ボクはアメリカ車が好きですが、マスタングの中では、レアモデルの67〜68年型(2ndモデル)がいちばんの好みです。
▲フォード・マスタング 映画に登場するモデルのカラーリングを忠実に再現
*ダッジ・チャージャーは?
■マスタング製作後に、悪役のチャージャーを作って並べてみたくなりました(写真❸)。映画に登場する黒の68年型は、ルーフがバイナル(レザートップ)仕様です。でも、レベル社の68年型はノーマルのスチールルーフ仕様。そこで、バイナル仕様の69年型のボディを使い、それ以外は68年型のパーツを使って、68年型バイナルルーフ仕様としました。
映画の印象的なシーンに、カーチェイス中、路肩にタイヤが当たり、チャージャーのホイールキャップが飛ぶワンカットがあります。プラモデルにはホイールキャップのパーツがなく、作品ではよく似たもので代用しました。
▲フォード・マスタング 映画に登場するモデルのカラーリングを忠実に再現
*細かいですねー。ところで、映画がお好きだと聞いていますが。
■最近は音楽映画ですね。映画館の音響のよさに驚いたこともあり、話題の『ボヘミアン・ラプソディ』は3回観賞しました。ライブのステージから超満員のスタジアムを見渡す映像は、大画面で見る価値があると思います。しかもとてもリアルに再現されていて感動しました。思わず実際の記録映像と比較してしまいました(笑)。同じ映画を複数回見たのは初めてでしたが、『ボヘミアン〜』は、ストーリーへの没入感が最高で、3回目は思わずウルッとしました。
『エリック・クラプトン 12小節の人生』も2回観賞。次は『アリー/スター誕生』です。それと、『グリーンブック』(3月1日公開)は必見だと思います。
*昨年、クルマを買い換えたとか。
■はい! 念願のスポーツカー、4thモデルのマツダ・ロードスターです。1stモデルから気になっていて、いつかオーナーになりたいクルマでした。やはりライトウエイトスポーツは楽しいですね。決して速く走ることが第一条件ではなく、走る・曲がる・止まるという一連の動きにクルマとの一体感が得られるのがうれしい限りです。久々にクルマを運転する楽しみがよみがえりました。
*最近、エクトル・ガルシアさん(スペイン)の『IKIGAI』という本が欧米43カ国で出版され、ベストセラーだそうですが......。
■日本語の〝生きがい〟が世界共通語になったんですね。新年を迎えてボクも心境に変化がありました。もう少し時間を大事にしよう、仕事はもっと集中して没頭しよう、もっと時間をかけてよりよい仕事をしよう、聞く姿勢や他人の存在を大切にする心をつねに持つ、などです。生活の充実が幸福感につながり、心の満足感が笑顔につながる、です。まだまだいろいろ経験を積んでいきたいですね。
*〝生きがい〟という言葉と行動は、日本人の人生観ですから──ありがとうございました。