【20世紀名車ギャラリー】初代Sシリーズ最終完成型。世界で愛された小排気量FRスポーツの肖像

S800Mクーペ時計のように精密な直4DOHCで高性能を実現

 1969年式ホンダS800Mクーペ。S800Mは1968年4月に登場。1963年にデビューした初代ホンダSシリーズの最終発展型。年々厳しさを増していた世界各地の安全基準を満たした上で、走りの性能を高めた。エクステリアは大型リフレクターが特徴だった。メカニズム面はフロントディスクブレーキとラジアルタイヤの標準化がポイント。ラインアップはフルオープンのコンバーチブルとリアゲート付きクーペ(写真)の2種類。クーペは輸出専用で主に欧州で高い人気を集めた。ちなみに初代Sシリーズは、1963年にS500がデビュー。1964年のS600を経て、1966年にS800に発展。パフォーマンスを磨き、ライトウェイトスポーツとしての魅力を高めた。S800の動力性能は、当時の1.6リッターモデルと同等だった。

リア

リアスタイル/S800Mは全車が信頼性の高いシャフトドライブ式FRレイアウトを採用。トップスピードは160km/hに達し、0→400m加速は16.9秒で駆け抜けた。写真のクーペは輸出専用モデル。取材車は英国仕様

エンジン

エンジン/791cc直4DOHCエンジンは4キャブレター仕様。パワースペックは70ps/8000rpmの高回転型。当時、このエンジンは「時計のように精密」といわれた

グリル

フロントグリル/グリルにはHマークを中央に配置。S800Mのボンネットはパワーバルジ付き

ライト

ライト周り/S800Mは前後に大型リフレクターを装着。取材車はハロゲンライトに交換済み

タイヤ

タイヤ&ホイール/取材車のタイヤは標準(145SR13)よりワイドな175/60R13装着。アルミホイールは当時のレース仕様とおな形状

リアランプ

リア周り/リアにもリフレクターを装着。S800Mのリアランプは、ブレーキ/ウインカー/バック灯の3分割形状

リアウィンドウ

リアサイドウィンドウ/リアのサイドウィンドウは前ヒンジで開口。換気性能を高める

リアゲート

リアゲート/クーペは大型リアゲート標準。ラゲッジスペースは深く実用的なサイズを確保

マフラー

エグゾーストエンド/排気エンドパイプは左右2本出し。クーペは床下ニスペアタイヤを装着

室内

室内/S800Mのインパネはソフトパッド仕上げ。ステアリングはトラディショナルな3本スポーク形状。ステアリングギア比は17.4。室内は幅がタイト。足元スペースは深い

シート

シート/シートはビニールレザー張りのノンリクライニング式。前後スライドが可能。ヘッドレストは未装備。サポート性は良好、着座位置は非常に低い

メーター

メーター01/ドライバー正面に回転計(左)と速度計を配置。取材車の速度計は120mphスケールのマイル表示

メーター02

メーター02/インパネ中央に水温/電流/燃料計をセット。取材車の水温計は華氏表示

シフト

トランスミッション/4速MTはフルシンクロ仕様。シフト操作が楽しいショートストローク設定

ペダル

ペダル/ペダル配置はヒール&トゥに最適。フットレストは非純正

ドアノブ

ドアハンドル/S800Mのドアハンドルは突起を抑えた安全設計のインナータイプ

ホンダS800M主要諸元

真正面

モデル=1969年式/ホンダS800Mクーペ
全長×全幅×全高=3335×1400×1195mm
ホイールベース=2000
車重=735kg
エンジン=791cc直4DOHC
最高出力=70ps/8000rpm
最大トルク=6.7kg・m/6000rpm
トランスミッション=4速MT
サスペンション=前ダブルウィッシュボーン/後4リンク
ブレーキ=前ディスク/後ドラム
タイヤ&ホイール=145SR13+スチール
駆動方式=FR
乗車定員=2名

リア

 

SNSでフォローする