【20世紀名車ギャラリー】「ポルシェ911」ナロー最終モデル、マニアを魅了する2.4リッターのSの肖像

カミソリのようにシャープなフラットシックス。911本来の魅力を凝縮

1973年式ポルシェ911S　ナロー最終年式の「２.4リッターのS」は、伝説の「ナナサンのカレラ」と人気を二分する911のコレクターズアイテム。911本来のシャープな魅力をピュアに凝縮した生粋のサラブレッドである。とくにシャープな吹き上がりと回転落ちを見せるレーシーなフラットシックスはマニア垂涎の的。911の２.4リッターモデルは1972年と73年に生産。Sの総生産台数は5094台。ボディタイプはクーペとタルガの2種。トランスミッションは５速MTと、２ペダルのシュポルトマチックが選べた。1973年モデルの外観の識別点は、ヘッドライト下のエアインテークカウルがブラックな点。Sはフロントエアダム標準。

リアスタイル／2.4リッターのSは後年にカレラRS仕様に改造された車両が多くオリジナルをキープするモデルは非常に少ない。ちなみに1972年モデルはオイル注入リッドが右側ドア後方に配置されていたが、誤ってガソリンを注入するトラブルが多発。写真の73年モデルでは再びエンジンルーム内に戻された。

エンジン／2.4リッターのSは排気量2341ccの空冷水平対向6気筒OHCユニット搭載。スペックは190ps/6500rpm、22.0kg・m/5200rpm。現在の水準では出力／トルクとも驚くレベルではないが、シャープなレスポンスと回すほど盛り上がるパワーは絶品。Sはレッドのエンジンブロックになる。

ライト回り／ヘッドライトは丸型形状。ライト下のエアインテークがブラックなのは1973年モデルの特徴。それ以前はメッキ仕上げ。

タイヤ／オリジナルのタイヤサイズは前後同一の185/70R15。取材車は205/60R15サイズを装着。ホイールは鍛造のフックス製。リム幅は前後とも６J。ブレーキはサーボ未装備の４輪ディスク。制動力／操作フィールとも絶品。

マフラー／エグゾーストエンドは１本出し。白く焼けたパイプが好調なエンジンを物語る。マフラーがすすけていないのは完全燃焼＆高回転キープの証。

インパネ／機能的な室内造形の基本モチーフは最新911も継承。グリップ部が細いステアリングが時代を物語る。ナローは軽量ボディもありシャープなハンドリングが楽しめる。RRのメリットでステアリング操舵力は重くない。

メーター／メーターは回転計を中央にレイアウトした5連式。回転計は7200rpm以上がレッド。速度計は控えめな250km/hスケール

シフト／5速MTはポルシェ・シンクロを採用。ストロークはやや長めだが確実なシフトを実現。2.4リッターは左上が１速の通常パターンを採用（それまでは左下が１速のレーシングパターン）。

ペダル／床から生えたペダルは独特の操作フィール。当時の911はアイドリング回転でクラッチを繋ぎ発進するのがクラッチを守る鉄則。それでも十分に速かった。

オーディオ／室内中央のオーディオは１DINサイズ。ナロー時代は室内にフレッシュエアを取り込む空調ルーバーは未設定。

シート／シートは一見フラットながら、座ると適度に沈み込みサポート性は良好。中央部のシートとの隙間にヒーターの温度調節レバーとハンドスロットルを配置する。

ポルシェ911S主要諸元

モデル＝1973年式／ポルシェ911S
全長×全幅×全高＝4147×1610×1320mm
ホイールベース＝2271mm
車重＝1110kg
エンジン＝2341cc水平対向6気筒OHC
最高出力＝190ps/6500rpm
最大トルク＝22.0kg・m/5200rpm
トランスミッション＝5速MT
サスペンション＝前ストラット／後セミトレーリングアーム
ブレーキ＝前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ＆ホイール＝185/70R15＋アルミ
駆動方式＝RR
乗車定員＝4名

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