2024年度上半期の総合ヒットチャート曲の多くが、SNSをきっかけに大きなヒットに

 12月号の『クルマと音楽』で紹介したが、ビルボードJAPAN が発表した2024年度上半期の総合ヒットチャート(2023年11月27日~2024年5月26日データ)のトップ5は、1位Creepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』、2位tuki.『晩餐歌』、3位YOASOBI『アイドル』、4位Ado『唄』、5位Mrs. GREEN APPLE『ケセラセラ』だ。このうち5位Mrs. GREEN APPLE『ケセラセラ』以外は、ヒットした大きな理由にSNSでの大バズリ(話題になる)があげられる。

Creepy Nuts

 まずは1位Creepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』。この曲はTVアニメ『マッシュル-MASHLE- 神覚者候補選抜試験編』オープニング曲。まずはアニメのヒットにより、国内外で知られるようになった。そして話題になるとともに注目を集めたのが、TikTok での『踊ってみた』だ。

 アニメのオープニングシーンに登場した主人公たちが両手をそろえ足の動きと連動しながら左右に振って踊る『BBBB ダンス』がユニークかつ踊りやすく、さらに『Bling-Bang-Bang-Born』のサビフレーズが小気味いと世界各国の人たちが『踊ってみた』動画をアップしたのだ。TikTok動画の短い尺に合い、瞬く間に大バズリし、拡散。曲自体が欧米で人気の高いジャンル、ラップということもあり、国内外で現在でも売れ続けており、ストリーミング回数は5億回を超え、日本においては2024年のNo.1ヒットになるといわれている。

 またCreepy Nutsは新曲『オトノケ』は大ヒット中のTVアニメ『ダンダダン』の主題歌。曲中の「ダンダダンダンダダンダンダダンダンダダン…」のフレーズとオープニングシーンでの振り付けをフィーチャーした『踊ってみた』動画がすでに数多くアップされており、大バズリの兆しを見せている。

 次に2位のtuki.『晩餐歌』。リリースは2023年9月29日のリリースだが、7月に「オリジナル曲の1番」の動画をTikTokに投降、その後、「オリジナルのCメロ」、「タイトル晩餐歌」とアップし徐々に注目を集め、9月3日に「お父さんに出世払いでお金を借りて『晩餐歌』のレコーディングをしてきた」、9月13日にYouTubeに『晩餐歌』の弾き語りバージョンをアップ。その時点で楽曲の良さと歌唱力が高く評価され、曲は広く拡散し大バズリし、リリースされるとすぐにヒットとなっている。SNSを使用すれば、レコード会社や事務所のバックアップがなくても、ヒットするということを証明したのだ。

YOASOBI

 3位のYOASOBI『アイドル』。こちらもまず主題歌を担当したアニメ『推しの子』のヒットから始まった。

 アニメの放送が始まった2023年4月から、YouTubeやX で面白いと取り上げられるようになり、YouTubeでは数多くのUGC(ユーザーが作成し、発信するコンテンツ)がアップされた。ある記事に出ていたのだが、レコード会社の担当者は、UGCに“いいね”やコメント返しを今まで他の曲に行ってきたよりも2.5倍は行ったとか。そのこともあって大バズリが始まり、さらにYouTubeをメインに『踊ってみた』『歌ってみた』が増産され、大ヒットとなったのだ。そして2023年のNo.1ヒット曲となり、現在も売れ続けている。

 4位のAdo『唄』。Z 世代のリルな気持ちを歌うアーティストとして人気を集め、『うっせいわ』が大ヒットしていたAdo。『唄』は『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』の2023年ハロウィンイベントとコラボし、ダンスショーの主題歌として採用、若い世代にとても人気が高い『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』とあって、いきなり、YouTube、TikTokの『歌ってみた』『踊ってみた』で大バズリ、ストリーミング累計回数は、自身最速で1億回を突破した。

 今後もSNSでの大バズリからヒット曲が生まれるのは間違いない。

 

 

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