コスモスポーツは1967年5月にロータリーエンジン(RE)搭載市販第1号モデルとして登場。翌1968年7月にエンジンを110psから128psにパワーアップした後期型に発展する。後期型は5速MTを採用し、ホイールベースも150mm延長。高速走行時の安定性を大幅に高めた。トップスピードは、当時国産最速の205km/hを誇った。初代コスモスポーツは1972年9月まで1176台が生産された。取材車は最後期の1972年モデルである。
ロータリーの特徴は、小型軽量な点と、高出力とスムーズな回転フィール。コスモスポーツは排気量491ccのユニットを2連装した世界初の2ローターロータリー構造を採用し、性能は当時の2リッタークラスを上回った。カタログでは「スーパーカー」という表現を用い、レシプロエンジン搭載車と明らかに違うパフォーマンスをアピールする。
スタイリングは全高が1165mmと低い斬新フォルム。ラウンド形状の大型リアウィンドウは、未来感覚に溢れていた。ちなみに造形は、マツダ社内の若手デザイナーが手がけたという。
リアスタイル/コスモスポーツのパフォーマンスは当時の2リッターモデルを上回り、国産最速レベルを誇った。後期モデルの0→400m加速データは15.8秒。
フロントスタイル/全高が1165mmと低いスタイリングはマツダ社内のデザイナーが担当。サスペンションは前ダブルウィッシュボーン、後ド・ディオンの組み合わせ。駆動方式はFR。
エンジン/後期型の491cc×2ローターロータリーは128ps/14.2kg・mを発揮。回転フィールはモーターのようにスムーズ。
インテリア/7連メーターを配置したインパネは純スポーティフィール。テレスコピック機構付きのステアリングホイールは外径400mmのウッド製。ハンドリングはシャープで操舵力も適度。ドライビングの完成度は高水準。
シート/シートはジャカード張りのファブリック仕様。着座位置は非常に低い。シートは前後スライドとリクライニング機構付き。3点式シートベルトも装備する。
ヘッドライト/ヘッドライトは透明カバーの奥にマウント。取材車はH4ハロゲンタイプに交換済み。
タイヤ&ホイール/標準サイズは155HR15だが取材車は165/80R15ラジアルを装着。ホイールは小型キャップ付きスチール仕様。最小回転半径は5.2m.
ワイパー/ワイパーには高速走行時の浮き上がりを防ぐフィンが付く。
エアアウトレット/ボンネットサイドにエンジンの熱気を抜くアウトレットを装備。後期型のサイドマーカー形状は角型。
リアランプ/バンパーで上下2分割されたリアランプはコスモスポーツの特徴。
マフラー/エグゾーストエンドはツイン形状。排気音はロータリー独特の軽快なサウンド。
燃料リッド/給油口はトランクリッド前側の中央にレイアウトされている。
トランク/トランクは浅い印象。床下にスペアタイヤを収納している。
メーター/速度計は240km/hスケール。7000rpmでオーバーレブ警告ブザーが鳴る設定。
オーディオ/オーディオはオートチューニング式AMラジオが標準。
トランスミッション/5速MTはフルシンクロ式。操作フィールは軽快で確実。
ドアトリム/ドアはビニールレザー張り。ドア開閉音は重厚。各部の作りは入念。
モデル=1972年式/マツダ・コスモスポーツ
新車時価格:158万円
全長×全幅×全高=4130×1595×1165mm
ホイールベース=2350mm
車重=960kg
エンジン=491cc×2 水冷直列2ローターロータリー
最高出力=128ps/7000rpm
最大トルク=14.2kg・m/5000rpm
トランスミッション=5速MT
サスペンション=前ダブルウィッシュボーン/後ド・ディオン
ブレーキ=前ディスク/後ドラム
タイヤ&ホイール=155HR15+スチール
駆動方式=FR
乗車定員=2名