MAZDAは、「マツダのクルマを愛するすべてのお客様の心に向き合い、新しいクルマだけでなく、古いクルマを大切にできる社会を育みたい」という思いのもと「CLASSIC MAZDA」と名付けたサービスを提供している。
対象はNAロードスターとFC/FD型RX-7の2モデル。ロードスターは「レストア/パーツ情報サービス/復刻パーツ」、RX-7は「復刻パーツ」を展開。RX-7は現在、レストアサービスを準備中だ。
今回、2021年からスタートしたNAロードスターのレストア本格作業のスタートとなる受付に立ち会った。
1989年に誕生したNAロードスターは、絶滅の危機に瀕していたライトウェイトFRオープンスポーツを、最新の技術で蘇らせた名車である。4世代に渡って世界中で熱烈なファンを生み出し、絶大な人気を誇っている。初代のNAを愛するマニアは多く、車齢が経過しているため本格レストアを望むケースも増えている。マツダが、車両維持のための復刻パーツ製作や、パーツ情報サービスだけでなく、レストア作業を手がける理由をカスタマーサービス本部の伏見亮氏は「自分の感情を昂らせるもの(=NAロードスター)に価値を見出すお客様とのつながりを共有し絆を深めるのが目的です。新しい命を吹き込み、息を吹き替えらせ、輝かしい未来へと送り出すという気持ちで1台1台と向き合っています」と説明する。
メーカーが手がけるレストアだけに、その内容は実に入念だ。作業は、ボディ&エクステリアの基本メニュー(254万7000円~)をベースに、オプションとしてインテリア(71万3000円~)、エンジン&パワートレーン(81万5000円~)、シャシー&サスペンション(40万8000円~)、エアコン(25万5000円~)など多彩に設定している。
レストアはWEB申し込みから始まり、書類審査〜車体確認〜受付〜レストア作業(受入検査、分解、塗装、組立、完成検査)〜TUV認定〜納車までの7段階に分かれる。実際の作業は広島本社内のマツダE&Tで実施され、塗装はマツダのショーカーを手がける職人が担当する。交換部品は新品の純正パーツとリフレッシュパーツを使用。圧巻は完成検査だ。NAロードスターの製品図面&規格と照合し、外観スキ、機能部品、水漏れなど、すべてが新車時の基準で検査される。最後はテストコースで走行状態をチェック。そのドライバーはロードスターの主査が務める。作業期間は約4カ月と意外に早い。
今回、レストア受付に立ち会ったNAロードスターは、1990年4月登録のワンオーナー車。オーナーの上野浩之氏は「写真を見てリアのコンビランプのデザインなどが気に入り、軽い気持ちでディーラーに立ち寄ったら、思わず契約していました。歳を重ねて、オープンで乗ったらカッコいいだろうな、と思ったのが購入のきっかけです。セカンドカーだったこともあり、走行はまだ2万2000kmです。屋根付き車庫保管ですが、3年ほど前から塗装の劣化が目立ち始め、レストアを決意しました。レストアが完成したら、やっと購入時に想定した年齢になったので、オープンで色々出かけようと思います。ロードスターをオープンにして桜の下を走るのは最高の気分。今から楽しみです」と話してくれた。
上野氏はランエボXも所有するスポーツカー好き。普段の足にデリカミニを使うアクティブ派だ。レストアが完成したNAロードスターは、今まで以上に良き相棒として、さまざまな思い出を紡いでいくに違いない。