【20世紀名車】走りとイメージで大人を魅了。伝統のDBを継承した英国製サラブレッド「アストンマーティンDB7」の素晴らしき世界

DB7は当時アストンマーティンと同様にフォード傘下だったジャガーと連携して開発、当初は3.2ℓ直6スーパーチャージャー(330ps)を搭載。1999年に6ℓ・V12(420ps)を積むDB’ヴァンテージに発展する

DB7は当時アストンマーティンと同様にフォード傘下だったジャガーと連携して開発、当初は3.2ℓ直6スーパーチャージャー(330ps)を搭載。1999年に6ℓ・V12(420ps)を積むDB’ヴァンテージに発展する

名門復活を印象づけた美しいスタイルと優れたパフォーマンス

 アストンマーティンは、英国アストン・クリントンで行われたヒルクライムレースで優勝したライオネル・マーティンが、ロバート・バムフォードとともに1913年に設立したスポーツカーの名門である。今年、創業111周年を迎えた。

 アストンマーティンの車名でおなじみの“DB”の2文字には特別な意味がある。DBとは1947年にアストンマーティンを買収したデビッド・ブラウンのイニシャルだ。ブラウンは1948年に、英国のラゴンダ社も手中に収める。そしてラゴンダ製2.6ℓ直列6気筒DOHCエンジンを搭載した新型アストンマーティンを開発した。これが最初のDBとなったDB2である。以来、アストンマーティンDBシリーズは、映画『007ゴールドフィンガー』のボンドカーに起用されたDB5など、進化を続けていく。

リア

エンジン

 DBの車名は1972年にブラウンが経営から退くといったん消える。しかし1987年にフォードの傘下になり、この2文字が復活した。
 1993年発表のDB7のシャシーは、当時同じフォード・グループだったジャガーのXJ-Sと基本的に共通。エンジンは、ジャガー製3.2ℓ直列6気筒にスーパーチャージャーを組み合わせていた。その後1999年にアストンマーティン用6ℓ・V型12気筒を搭載したDB7ヴァンテージにスイッチ。V12ユニットは、最新のヴァンキッシュにも受け継がれている。

 取材車は、1996年6月登録のDB7。正規輸入車で、トランスミッションは4速ATである。走行距離は3万8600㎞。オーナーは複数。整備履歴と取り扱い説明書が完備されている。

 各部のコンディションは良好だ。ボディに修復歴はなく、上品なグリーンメタリックの塗装には艶があり、石はね傷はほとんどない。過去にリアバンパーを再塗装しているというが、違和感は感じなかった。タイヤは前後とも8部山。ホイールもきれいな状態を保っている。

室内

 インパネとシートをコノリーレザー張りで仕上げた室内は、フルオリジナル状態。シートのクッションはしっかりしており、ウッドパネルもきれいだ。各スイッチは正常に作動しており、エアコンも利いていた。

 メカニズム関係は好調である。前回の車検更新時にプラグコードとフューエルポンプのリレーを交換済み。同じタイミングで、エンジン冷却系の点検も行われている。

 アイドリング時のエンジンは静かで、不快な振動はない。エンジンの吹き上がりは滑らか。2000rpmを超えたあたりからスーパーチャージャーが威力を発揮し、豪快な加速性能を披露。高性能なパフォーマンスを味わわせてくれた。最高速度266㎞/h、0→100㎞/h加速5.7秒という公表データが納得できる迫力だった、足回りはしっかりした印象で、ステアリングはやや重い設定である。
 DB7はアストンマーティンの伝統を継承した〝大人のドライバー“が似合う高級GT。眺めてよし、走ってよしの逸材である。

アストンマーティンDB7主要諸元

エンブレム

モデル=1996年式/アストンマーティンDB7
新車時価格=4AT 1816万5000円
全長×全幅×全高=4640×1830×1240mm
ホイールベース=2590
車重=1720kg
エンジン=3239cc直6DOHC24Vスーパーチャージャー
最高出力=330ps/6000rpm
最大トルク=48.8kgm/3000rpm
サスペンション=前後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール=245ZR18+アルミ
駆動方式=FR
乗車定員=4名

正面

 

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