2024年の日本のミュージックシーンを振り返ると、J-POPアーティストたちの東&東南アジア各国への進出が目立った。
Official髭男dismやKing Gnuは初の東&東南アジアツアーを行い、すべての公演がソールドアウト。YOASOBIやいきものがかりは、東&東南アジアで行われた音楽イベントに初出演し、大歓迎を受けている。
東アジアの中でもとくにJ-POPアーティストの人気が高い韓国では、Creepy Nuts、キタニタツヤ、新しい学校のリーダーズ、MAN WITH A MISSION×miletなど、トップアーティストを含む30組の日本人アーティストが出演する音楽フェス『WONDERLIVET 2024』が11月開催され、3日間で約2万5000人を動員し、大盛況のうちに終了した。
J-POPアーティストが東&東南アジアに積極的に進出していく理由として、日本のアニメ人気がある。『鬼滅の刃』や『【推しの子】』『呪術廻戦』『ハイキュー!』といった作品がアジア各国で放送され、大ヒットを記録している。東&東南アジア各国では、欧米などよりも日本アニメが受け入れやすいといわれており、実際、熱狂的なファン層が存在する。これらのアニメの主題歌を担当しているのが、J-POPアーティストだ。たとえば、『鬼滅の刃』の主題歌『絆ノ軌跡』はMAN WITH A MISSION×milet、『【推しの子】』の主題歌『アイドル』はYOASOBI、『呪術廻戦』の主題歌の一つ「SPECIALZ」はKing Gnuが担当している。
日本アニメの人気に伴い、これらの楽曲が東&東南アジア各国でヒットし、ストリーミングサービスやSNSを通じて他の楽曲にも触れられるようになり、関連アーティストの人気も急上昇。ツアーを開催すればすぐにソールドアウトを記録するなど、東&東南アジアはJ-POPの大きな市場になっている。
また、日本の若年層人口の減少に伴い、マーケットを海外にまで拡大する必要性に迫られている点も見逃せない。ポップミュージックのセールスを支えてきた若年層減少問題に対応するために、海外のリスナー獲得が重要になってきた。
IFPI(国際レコード・ビデオ製作者連盟)の発表によれば、中国の音楽マーケットは2021年に世界第6位にまで成長している。音楽関係者によれば、「アジアの市場で成功しているという実績が、中国マーケットに進出する際にプラスになる」という。東アジア、東南アジアでの活動実績をベースに、将来的には巨大マーケットへの進出を思い描いているのだろう。
昨年、国内アーティストがアジアでの活動実績を紹介しておこう。Official髭男dism。2024年12月に台湾と韓国で初のライブを開催。これは“OFFICIAL HIGE DANDISM ASIA TOUR 2024 - Rejoice - ”の一環として開催され、台湾では1万1000人が熱狂したと発表されている。
King Gnuは2024年4月に初の東&東南アジアツアーを開催。台湾2公演、シンガポール1公演、中国2公演、韓国2公演を行い、全公演が即完売。3万5000人を動員した。
YOASOBIは2023年末から2024年にかけて、香港、台湾、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシアを回る初の東&東南アジアツアーを開催し、4万2000人を動員。さらに2024年12月からは2度目の東&東南アジアツアー“YOASOBI ASIA TOUR 2024-2025”を韓国、香港、タイ、台湾、中国、シンガポール、インドネシアで開催予定だ。ツアー初日の韓国では、コンサートだけでなく、韓国最大規模の音楽授賞式『MMA2024』への出席やポップアップショップのオープンも行われた。
いきものがかりは2024年6月に台湾で行われた中華圏最大級の音楽アワード『金曲奨』に出演し、初の海外パフォーマンスを披露。7月にはマカオで開催された『Tencent Music Entertainment Awards』に出演し、『ブルーバード』で年間最も聞かれた海外シングル賞を受賞している。
これらのトップアーティストに加えて、2024年には藤井風、IMASE、羊文学、崎山蒼志、iri、milet、家入レオなども初の東&東南アジアツアーを行い、次々とソールドアウトを記録。いずれも大盛況となった。
この流れは2025年にも続く。YOASOBIのツアーは2月まで続き、Mrs. GREEN APPLEも2月に初の韓国公演を行う予定だ。さらに、Adoは2月から東&東南アジア6カ国を含む初のワールドツアーを開催予定で、Creepy NutsやVaundyも初の東&東南アジアツアーを行うと噂されている。