世界的な自動車部品サプライヤーであるヴァレオは、自動運転車の遠隔操作Valeo Drive4U Remoteを2019年10月24日(木)から11月4日(火)まで東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催される「第46回東京モーターショー2019」のNTTドコモ・ブースで実演すると発表した。高速・低遅延を特徴とする第5世代移動通信システム(5G)で接続することにより、オペレーターは自動運転車を離れた場所から安全かつ確実に運転することができる。
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自動運転車が遭遇しうる状況は無限であり、たとえ運航設計領域(ODD)の中であっても全てのアクシデントを事前に予測することはできない。突発的な気象の変化から交通事故や道路工事まで、路上ではさまざまな出来事が起きる可能性がある。
そこでヴァレオは、さまざまな状況に最大限に対応するために、走行中の車で何が起きているかを内部と外部から確認し、車単体では制御できない状況に陥った際にオペレーターが遠隔地からコントロールする新たなソリューションValeo Drive4U Remoteを開発した。Valeo Drive4U Remoteは、社有車管理、自動駐車システム、自動運転シャトルバスのリモートアシスタンスなどのソリューションにも役立ち、遠隔操作は、近い将来にレベル4完全自動運転を実現するための鍵となる技術だ。
自動運転と安全技術のリーディングサプライヤーであるヴァレオは、自動運転車Valeo Drive4Uを公道で走らせ、レベル4の自動運転の実証実験を重ねてきた。この車は、すでにヴァレオが量産しているセンサーのみを使用しているという点に特徴がある。このセンサー群とは、超音波センサー、カメラ、レーダー、そして市販乗用車用への搭載に求められる厳格な仕様を満たした初の3DレーザースキャナーであるValeo SCALAだ。
ヴァレオはこれまでに10万台以上のValeo SCALAを既に出荷済で、今回のテレオペレーションの実演に使用される自動運転車Valeo Drive4Uは、ヴァレオが欧州と米国で積み重ねてきた経験をもとに日本でセットアップされた車になる。車載の人工知能(AI)がセンサーの収集したデータを解析し、複雑な状況であっても状況に合わせた運航を可能にしている。Valeo Drive4Uの認知システムを構成しているソフトウェアとセンサーは以下の通りだ。
▲Valeo Drive4U Remoteを構成しているソフトウェアとセンサー群
・AIアルゴリズムを使用する高度なソフトウェア
・6台のValeo SCALA 1 3Dレーザースキャナー
・1台のValeo SCALA 2 3Dレーザースキャナー
・1台のヴァレオ製フロントカメラ
・4台のヴァレオ製サラウンドビューカメラと6個のヴァレオ製遠隔操作用カメラ
・4台のヴァレオ製コーナーレーダー
・12個のヴァレオ製超音波センサー
これらのセンサーのデータを統合することで、冗長性のある360°全周囲検知マップが生成される。また、Drive4Uは自動緊急ブレーキを備えており、テレオペレーション時にオペレーターから見えないところに障害物がある場合にも車両を安全に停止させる。
ヴァレオは2019年1月にラスベガスで開催されたCESにおいて、Valeo Drive4U Remoteを初公開した(写真)。この時はLTE(4G) による近距離での運用だったが、来たる東京モーターショーでは5Gを使い、同社のブースより神奈川県横須賀市のドコモR&Dセンタにあるヴァレオの自動運転車を遠隔操作で動かしてみせる。
2018年4月、ヴァレオはドコモと次世代型コネクテッドカーおよびモビリティサービスの開発・提供における協業に向けた取り組みに合意し、先進的な製品・ソリューションの共同開発を進めている。この一環として、両社は2019年5月に開催された「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2019」で、5Gを用いた車車間通信で2台の車に搭載されたカメラを接続し、障害物を透けて見えるようにするシステム、Valeo XtraVue(ヴァレオ・エクストラビュー)のデモンストレーションを実施した。
今回の5Gを活用した自動運転車のテレオペレーションValeo Drive4U Remoteは、ヴァレオとドコモのデジタルモビリティの新たな活用法を示す取り組みであり、レベル4の完全自動運転を実現するための鍵となる重要なテクノロジーとなる。
■自動運転車の遠隔操作Valeo Drive4U Remoteの実演 概要
東京モーターショー2019 NTTドコモ展示ブース: 西展示棟4階 W4114