レクサスが2026年導入予定の次世代BEVのコンセプトモデル「LF-ZC」をジャパンモビリティショー2023で世界初公開

レクサスがすべての車体構造・コンポーネントを小型軽量化することで、より自由度の高い車両パッケージングを実現した次世代BEVコンセプトモデルの「LF-ZC」をジャパンモビリティショー2023で初披露。低重心かつ凝縮感のあるスタイリングに広々とした室内空間、独自レイアウトのDigitalized Intelligent Cockpitを採用。車体にはフロント、センター、リアに3分割した新モジュール構造「ギガキャスト」を、パワートレインには次世代電池パフォーマンス版を導入

 レクサスは2023年10月25日、ジャパンモビリティショー2023において2026年導入予定の次世代BEVのコンセプトモデル「LF-ZC」を世界初公開した

▲レクサスがジャパンモビリティショー2023において2026年導入予定の次世代BEVのコンセプトモデル「LF-ZC」を発表。レクサスが長年に渡り磨き上げてきた走りの味の継承と最新の電動化技術の進化によって、機能と美しさに妥協のない「クルマ屋ならではのBEV」に仕立てる

▲レクサスがジャパンモビリティショー2023において2026年導入予定の次世代BEVのコンセプトモデル「LF-ZC」を発表。レクサスが長年に渡り磨き上げてきた走りの味の継承と最新の電動化技術の進化によって、機能と美しさに妥協のない「クルマ屋ならではのBEV」に仕立てる

 

 レクサスは2035年のBEVブランドへの変革を目指し、全く新しい車体のモジュール構造や生産技術を採用するほか、ソフトウェアプラットフォームの全面刷新も計画している。今回発表されたLF-ZCは、2026年の市場導入を予定している4ドアスポーツクーペタイプのコンセプトモデルで、レクサスが長年に渡り磨き上げてきた走りの味の継承と最新の電動化技術の進化によって、機能と美しさに妥協のない「クルマ屋ならではのBEV」に仕立てたことが特徴である。

▲エクステリアは“Provocative Simplicity”をテーマに据え、挑発的な存在感と研ぎ澄まされたシンプルなスタイリングを目指してデザインする

▲エクステリアは“Provocative Simplicity”をテーマに据え、挑発的な存在感と研ぎ澄まされたシンプルなスタイリングを目指してデザインする

 

 まずエクステリアは“Provocative Simplicity”をテーマに据え、挑発的な存在感と研ぎ澄まされたシンプルなスタイリングを目指してデザイン。空力性能に主眼を置き、BEVならではの機能および構造をデザインの特徴とすることで、ひと目見て心を揺さぶる低重心で凝縮感のある美しいフォルムを追求する。全体のスタンスは、低く構えたフードから連続させたスリークなシルエットと後方に向かって大きく絞り込んだキャビンによってリアタイヤの張り出しを強調し、高い空力性能とワイドなスタンスを両立。また、スピンドルボディはフロントフェイスに留まらず、ドアサイドやリアバンパーへと断面を連続させることで、電動化による機能とデザインの進化を全方位で象徴的に表現した。さらに、エアインテークやエアアウトレットなどの空力デバイスを取り込むことで、空力性能に配慮しつつもコモディティ化させない、情感と独自性あふれるスタイリングを創出する。ボディサイズは全長4750×全幅1880×全高1390mm、ホイールベース2890mmに設定。そして、空気抵抗係数(Cd値)は0.2以下を目標値に掲げた。

▲低く構えたフードから連続させたスリークなシルエットと後方に向かって大きく絞り込んだキャビンによってリアタイヤの張り出しを強調し、高い空力性能とワイドなスタンスを両立。スピンドルボディはフロントフェイスに留まらず、ドアサイドやリアバンパーへと断面を連続させることで、電動化による機能とデザインの進化を全方位で象徴的に表現した。空気抵抗係数(Cd値)は0.2以下を目標値に掲げる

▲低く構えたフードから連続させたスリークなシルエットと後方に向かって大きく絞り込んだキャビンによってリアタイヤの張り出しを強調し、高い空力性能とワイドなスタンスを両立。スピンドルボディはフロントフェイスに留まらず、ドアサイドやリアバンパーへと断面を連続させることで、電動化による機能とデザインの進化を全方位で象徴的に表現した。空気抵抗係数(Cd値)は0.2以下を目標値に掲げる

▲前後ドアはオーソドックスな前ヒンジ式を採用。ボディサイズは全長4750×全幅1880×全高1390mm、ホイールベース2890mmに設定

▲前後ドアはオーソドックスな前ヒンジ式を採用。ボディサイズは全長4750×全幅1880×全高1390mm、ホイールベース2890mmに設定

 

 インテリアについては、BEVアーキテクチャーがもたらす伸びやかな室内空間とDigitalized Intelligent Cockpitを採用したことがトピックだ。室内空間は、前席乗員を前方に低く着座させて広がりを生み出し、合わせてフルフラットなフロアやパノラマルーフによる頭上の広がりを創出して、外観からは想像できない開放的なインテリアを実現する。一方でコクピットは、従来広い範囲に散らばっていた各種の操作機能をステアリング両サイドのデジタルパッドにすべて内蔵。シフトやドライブモードセレクトなどの車両に関する操作系は左のデジタルパッドの中に、音楽やクライメイトコントロール、電話やAIからの提案に対する応答などの快適装備系は右のデジタルパッドに格納し、直感的で操作しやすい独自のレイアウトを確立した。さらに、ドライバーの“Eyes on the road(常に路面を注視している状態)”を追求し、ヘッドアップディスプレイと同じ原理でフロントウィンドウに情報を映し出す遠視点メーターを採用したほか、車体の両サイドにデジタルミラーを配備。車両周辺の映像を投影することで、視線移動を最小限に抑え、運転に集中できるコクピットに仕立てる。助手席側の大型モニターをエンターテインメントや多様なアプリの拡張ができるオープンプラットフォームとし、モビリティの未来の可能性を広げたことも、インテリアの訴求点である。

 新しいソフトウェアプラットフォーム「Arene OS」を搭載した点もアピールポイント。ユーザーに寄り添いパーソナライズされたドライビング体験やエンターテインメントの拡張、社会ネットワークとの繋がりなどデジタルライフのシームレスな連携を提案する。ステアバイワイヤとOTA(Over The Air)を組み合わせることにより、バーチャル空間での車両のセッティングを現実世界で実現できるようにアレンジしたことも特徴だ。さらに、最新のAI技術を活用し、バトラー(執事)のように振る舞う次世代音声認識を採用。ソフトウェアカスタマイズ機能の学習制御により、運転するたびに車両側がユーザー1人ひとりに寄り添った最適なセッティングに自動で変更し、こうした運転データの蓄積によってよりパーソナライズされたドライビング体験を提供する。

 資源を循環させながらテクノロジーで素材の新たな可能性を拡げるサステナビリティ表現「Bamboo CMF Concept」を導入した点も見逃せない。貴重な環境資源を効率的に循環させながら、レクサスが目指すサステナビリティの考え方の表現として、シグネチャーマテリアルに竹材を選定。成長が早く、CO2吸収量が多いなどの機能性の高さと、日本で古くから建材や工芸品に用いられてきた美しさを両立する竹材を様々な手法で、具体的には竹繊維を織り込んだオーナメントや糸を使ったファブリックなどを採用し、次世代BEVの美しいデザインに織り込んで新たなラグジュアリーへと昇華させた。

▲インテリアはBEVアーキテクチャーがもたらす伸びやかな室内空間とDigitalized Intelligent Cockpitを採用したことが特徴。新しいソフトウェアプラットフォーム「Arene OS」を搭載して、ユーザーに寄り添いパーソナライズされたドライビング体験やエンターテインメントの拡張、社会ネットワークとの繋がりなどデジタルライフのシームレスな連携を提案する

▲インテリアはBEVアーキテクチャーがもたらす伸びやかな室内空間とDigitalized Intelligent Cockpitを採用したことが特徴。新しいソフトウェアプラットフォーム「Arene OS」を搭載して、ユーザーに寄り添いパーソナライズされたドライビング体験やエンターテインメントの拡張、社会ネットワークとの繋がりなどデジタルライフのシームレスな連携を提案する

 

 機構面に関しては、次世代バッテリーEVプラットフォームに最新の電動化技術とソフトウェアを組み合わせて「走りの楽しさ」を実現したことが特徴だ。駆動用バッテリーには次世代の電池パフォーマンス版(角形)を採用し、電費性能を向上することで従来のBEV比で約2倍の航続距離1000km(中国CLTCモード値)を目指す。また、ユニットの小型化によって美しいシルエットに寄与するとともに、ドライビングダイナミクスのための低重心を具現化。加えて、高エネルギー密度の実現のため、電池構造をシンプルかつコンパクトにすることで、より多くのエネルギーの搭載を可能とした。

▲駆動用バッテリーには次世代の電池パフォーマンス版(角形)を搭載。ユニットの小型化によって美しいシルエットに寄与するとともに、ドライビングダイナミクスのための低重心を実現する

▲駆動用バッテリーには次世代の電池パフォーマンス版(角形)を搭載。ユニットの小型化によって美しいシルエットに寄与するとともに、ドライビングダイナミクスのための低重心を実現する

 

 車体構成の刷新も注目点で、車体をフロント、センター、リアに3分割した新モジュール構造の「ギガキャスト」を採用。キャスト化による形状自由度の向上でしなやかさを確保し、合わせて一体成形により締結部を低減することで剛性を高めて、操作に対してリニアでより自然なフィーリングを実現する。また、車体ボディのセンター部分に電池を搭載することで、フロント、リアは構造上の影響を受けず、電池の進化を素早く車両に取り込むことが可能。生産工程においても、組立中のクルマが自ら走り、次の工程に移動する“自走組立ライン”を採用することにより、フロント、センター、リアの3つの部品に電池、モーター、タイヤ、無線端末がついただけの状態でクルマの自走を実現。ラインからコンベアをなくすことができ、年単位に及ぶ量産に向けた準備期間の短縮や、数十億円にのぼる工場投資の削減を可能とした。

▲車体をフロント、センター、リアに3分割した新モジュール構造の「ギガキャスト」を採用。キャスト化による形状自由度の向上でしなやかさを確保し、合わせて一体成形により締結部を低減することで剛性を高める。生産工程における効率化の向上を果たすことも訴求点

▲車体をフロント、センター、リアに3分割した新モジュール構造の「ギガキャスト」を採用。キャスト化による形状自由度の向上でしなやかさを確保し、合わせて一体成形により締結部を低減することで剛性を高める。生産工程における効率化の向上を果たすことも訴求点

 

 ショー会場ではほかにも、レクサスの未来のフラッグシップBEVを示唆するコンセプトモデルの「LF-ZL」を初披露。BEVならではのパッケージングの自由度の高さや空間効率の良さを活かした広々とくつろげるインテリアに、従来のおもてなし装備をより先進的かつ心地よいものに高めることで、これまでになかったモビリティ体験を提供するラグジュアリーBEVモデルに仕立てている。

▲レクサスの未来のフラッグシップBEVを示唆するコンセプトモデルの「LF-ZL」も初披露。ドアはフロントが前ヒンジ式、リアがスライド式で構成。ボディサイズは全長約5300×全幅約2020×全高約1700mm、ホイールベース約3350mmに設定

▲レクサスの未来のフラッグシップBEVを示唆するコンセプトモデルの「LF-ZL」も初披露。ドアはフロントが前ヒンジ式、リアがスライド式で構成。ボディサイズは全長約5300×全幅約2020×全高約1700mm、ホイールベース約3350mmに設定

 

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