200psユニット搭載。理想のロードスター「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R」完成

 MAZDAとMAZDA SPIRIT RACINGは、1月10日から12日まで千葉県の幕張メッセで開催された東京オートサロン2025にマツダスピリットレーシング ロードスター12Rを出展した。クルマの詳細についてお届けする。

MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R Front style

▲MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R

 この「マツダスピリットレーシング ロードスター 12R」は、限定200台で市販化されるマツダのモータースポーツ活動のサブブランド「MAZDA SPIRIT RACING」が手掛ける第一弾となるスペシャルモデルだ。

 昨年のオートサロン2024にコンセプトモデルが展示されて以降続報が待たれていたが、今回ベールを脱いだ。「マツダスピリットレーシング ロードスター」の最大のポイントは、日本仕様のソフトトップ仕様には設定のなかった排気量2.0LのSKYACTIV-Gエンジンを搭載したモデルという点だ。

 アメリカ仕様のロードスター(名称:MX-5)では、2.0Lエンジン(184HP)を搭載したソフトトップモデルが存在していたが、日本の幌車のラインナップには1,5Lのエンジンを積んだモデルしか存在しなかった。

 唯一電動折りたたみ式タルガトップを備えたリトラクタブル ファストバックモデル(ロードスターRF)でのみ2Lエンジンのロードスターを購入可能だが、車重は相応に重く、ソフトトップに対しキャラクターはマイルドだった。

MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R Rear Style

▲MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R

 限定200台となる「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12R」は更に専用のチューニングを施したエンジンに、専用カムシャフト、シリンダーヘッド、ピストン、そしてエキゾーストマニホールドを採用して最高出力200PSを実現。サーキットで鍛え上げた技術を注ぎ込み、1台1台が人の手で丁寧に組み上げられる。

 エキゾーストマニホールドには断熱効果や排気効率の向上などの効果が得るためにバンテージが巻かれており、レーシングカーやチューニングカーを彷彿とさせる。

MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12Rのエンジン

▲MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12Rのエンジン。黒く結晶塗装されたヘッドカバーに製造No.が記されたコーションプレートがつく

 読者の方は「マツダスピリットレーシング ロードスター 12R」の12Rは何を意味しているかすぐ頭に浮かぶだろうか?

 答えは、国内最大の耐久レース「スーパー耐久シリーズ」に参戦するロードスターのカーナンバーの「12」が由来となっている。スーパー耐久は、市販車に近いツーリングカーで争われる耐久レースだけあって、レースからフィードバックされる情報や技術も計り知れない。12Rにはレース活動で鍛えた技術、パワートレインや車体の進化が反映されている。

スーパー耐久シリーズ

▲マツダスピリットレーシングは、ENEOS スーパー耐久シリーズST-Qクラスにカーボンニュートラル燃料を使用したMAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept12号車で参戦している

 速さや走り以外にも内外装のアピアランス向上と質感にも拘ったモデルなだけあって、多くの部分に手が入れられている。

 展示車の内装には、12R専用開発品となるレカロ製フルバケットシート(リクライニング機構なし)と、サーキット走行を想定したアイテムとなるサベルト製4点式レーシングハーネスが取り付けられていた。

 また、ステアリング、シフトノブ、サイドブレーキといった手の触れる部分には起毛革(スエード素材)が使われている。

 スエード素材は、高級感に優れているという以外にも、グローブをした際に抜群のホールド性を誇ることから12Rのような特別なスポーツカーに採用されやすい。

 1970年代に耐久性や難燃性に優れ、動物に優しい人口皮革の起毛革がクルマの内装に採用されて以降、現在はアルカンターラやウルトラスエードとしてレーシングカーや高性能車の内装生地に多く使用されている。

MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12Rのインテリア

▲MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER 12Rのインテリア

 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERは2グレード構成される。

 1つ目は専用開発品のビルシュタイン製Cリング式車高調、RAYS製鍛造アルミホイール、フジツボ製スポーツマフラー(ステンレス)、リクライニング機構を備えたスポーツシート、ブレンボ製対向4ピストンブレーキキャリパー(レッド塗装)を標準装備し、最大出力135kw(184PS)の量販モデル。

 2つ目はさらに、フジツボ製専用エキゾーストマニホールド(バンテージ巻き)、レカロ製フルバケットシート(リクライニングなし)を装着し最大出力147kw(200PS)の「12R」が200台限定(抽選式)で販売される。

 価格は量産モデルが500万円台となり、限定車の12Rが700万円台と発表されている。

 この価格に対し、プレーンなマツダロードスターが289万8,500円から購入できることを考えると、2台の値段をどう感じるかは人によって違うだろう。

 ただし装着されるパーツ群が考えうる最高級の部品で構成されていることや、これほどカスタマイズされたクルマでありながら、オーナーはメーカーが保証する品質を享受できることは大きなメリットだ。それに今後注目の的の一台となるのは間違いないだろう。

マツダスピリットレーシング ロードスター(量販モデル)

▲マツダスピリットレーシング ロードスター(量販モデル)

 そのほかにも、サーキットでのスポーツ走行を想定したMAZDA SPIRIT RACINGが推奨するパーツ群として「MAZDA SPIRIT RACING AFTER PARTS」が発表された。

ラインナップは、フジツボ製スポーツマフラー(チタン製)、横浜ゴム製アドバン NEOVA AD09、ブレンボ製スリットローター&スポーツパッド、サベルト製4点式ハーネス(MAZDA SPIRIT RACINGロゴ入り)を用意する。

サーキットでのスポーツ走行を想定したMAZDA SPIRIT RACINGが推奨するパーツ群

▲MAZDA SPIRIT RACING AFTER PARTS

 マツダスピリットレーシング ロードスターの各グレードは、2025年秋に商談予約受付を開始し年内の販売開始を目指すとしている。

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