2022年AAF(オートモビル・アート連盟)第9回作品展が、目黒区美術館区民ギャラリーで開催中だ(7月31日まで)。
作品展はクルマやオートバイ、飛行機、船舶、鉄道など、乗り物を題材にイラストや模型などを手掛けるアーティスト25名が参加。会員推薦の2名を含め、約120点の作品が展示されている。
「9回目の開催になって、会員たちの展覧会対応がこなれてきた感じがします。作家のオリジナリティが感じ取れる作品が多く、楽しんでいただけると思います」と語るのはAAFの理事長を務める岡本三紀夫さん。
木材を使ったフルスクラッチモデルを出品した落合匡暢さん、全長85cmの「サメのような」形状をした「潜水艦のような、飛行機のような」乗り物を出品した空山基さん。サメのような乗り物の「クチ」の部分には、意外なモノが入っている。
「ピノキオを置きました。ピノキオは鯨に飲み込まれるけど、こちらはサメに飲まれるというジョークです。サメは中国のK11というミュージアムで昨年7月に開催された個展(Sorayama Shark)に出品した全長3〜5mの巨大鮫のミニチュア版。以前描いたイラスト作品がベースになっています。サメの獰猛な部分やしなやかな部分を表現するために、数種類のサメをモデルにしています」と語る空山さん。
「サメ」の上には、女性のオブジェが乗っている。これは「中国で進めていたプロジェクトのために制作した作品です。宇宙船からこの女性像を放つ動画を作る予定だったのですが、動画がうまく撮影できませんでした。日本で発表するのは、この展覧会が初めてです」と説明してくれた。
「乗り物」がテーマの作品展は、一流アーティストの力作を楽しめると同時に、意外な遊び心を感じることもできる。鬼武龍一さんは、建設現場で働く重機を取り扱った作品を多く出展する一方で、「一馬力」と題した作品を展示。これは障害を跳び越える馬術のシーンを描いた作品。
「確かに乗り物だし、一馬力だし。いいよね、こういう遊び心」と語る空山さん。実は空山さん自身「サメの作品のどこが乗り物なんだ?と指摘されることを期待しています。9回目の開催となって、そういう気持ちを持っていることに気づきました」と語っている。
岡本理事長が指摘する「展覧会対応がこなれてきた」ことの一例といえそうだ。なお、「空山さんの作品は、窓もついているし、確かに乗り物なんです」と岡本理事長は太鼓判を押していた。
展覧会は入場無料。開催時間は10時〜18時(最終日は14時まで)