ピレリ、2021年世界ラリー選手権用のタイヤ開発を開始。タイヤを初公開

 ピレリは、オーストリアのツェル・アム・ゼー郡で2月1~2日に開催された「2020 GP アイスレース(2020 GP Ice Race)」で、単独タイヤサプライヤーとして2021年WRC(世界ラリー選手権)へ供給するタイヤレンジの一部を発表した。

1.jpg▲ピレリ、オーストリアのGP ICEレースで、WRC用タイヤレンジの一部を発表

 WRCではコスト削減を理由に2021~24年にコントロールタイヤが導入されることが決まっており、その供給メーカーにF1でも単独タイヤサプライヤーを務めるピレリが選ばれた。ピレリはWRCが創設された1973年からラリー競技へ参画し、2008~10年にはWRC単独タイヤサプライヤーを務めた実績をもつ。

2020年のWRC最上位クラスに単独タイヤサプライヤーは存在しないものの、多くのチームがミシュランタイヤを装着しており、実質的にワンメイク状態となっている。

今回、ピレリがスポンサーとなって行われた「2020 GP アイスレース」には、ラリー黄金時代のクラシックカーとともに、モダンカーやヒストリックカーが登場した。 ここで展示されたスウェーデン仕様のSottozero Ice J1 タイヤ(サイズ 205/65 R15)は、次のシーズンよりWRCカーに装着されることとなる。

2.jpg▲オーストリアの路面をクリアするタフなスパイクタイヤ

 ピレリは、ツェル・アム・ゼー郡に集結したヒストリックカーおよびモダンカーに、7mmのスパイクが装備された「Sottozero Ice タイヤ」と、2mmのスパイクが装備された 「Sottozero Snow タイヤ」を供給した。これらのタイヤは、頑丈なブロックと先端がタングステンのスパイクが装備されたトレッドパターンを特徴としており、雪や氷の表面での最適なトラクション、ハンドリングおよびパフォーマンスを確保する。モータースポーツから得られたピレリのウィンタータイヤの経験は、市販タイヤへと受け継がれ、ピレリの「レースから公道へ」というフィロソフィーを具現化している。

 スウェーデン仕様の「Sottozero Ice タイヤ」は、ピレリ独自の技術を満遍なく活用しているタイヤだ。トレッド面にあるスパイクは、加硫工程で埋め込まれ、ピレリの技術によってもたらされたスパイクの安定性は、レースにおけるタイヤ性能を最大限に引き出すことに寄与している。

ピレリのラリーおよびオフロード活動の責任者である テレンツィオ・テストーニは次のように語った。
「GP アイスレースは、モータースポーツファンや世界的に有名な車にとっての重要なイベントです。凍った路面は、様々な世代の車が競い合う見応えある舞台を提供します。ピレリタイヤは、よりスリリングなアクションを導き出すコンディション専用に設計されています」

ラリーで得られた性能を公道へ
 ラリーは、ピレリのタイヤレンジ製品とそれを支える技術を生み出すことに貢献している。今日、タイヤレンジを代表するタイヤとなった「P Zero」。当初、当時のモンスターマシンであったランチア・デルタ S4 の性能に応えるレースタイヤとして設計された経緯を持つ。その後、グループBカー時代に誕生した技術コンセプトを完成させ、P Zero の名称は市販タイヤにも用いられることとなり、ピレリの代表的な製品となった。

 WRCは、ピレリにとって、2011年から単独タイヤサプライヤーを務めている Formula 1 に匹敵する重要な活動となる。

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