12月3日に筑波サーキットで開催される「第33回 メディア対抗ロードスター4時間耐久レース」に、本誌チームが参戦することになった。このレースは、通称「メディア4耐」と呼ばれ、自動車メディアの編集者が中心となったチームが、筑波サーキットを舞台にマツダ・ロードスターで4時間耐久レースを行う毎年恒例のイベント。その歴史は長く、初代ロードスター誕生の1989年に開始され、今年で33回目を迎える。
車両は、マツダが用意したロードスターの特別仕様のレース専用車であり、各チームがセットアップできるのはカラーリング(リバリー)とタイヤの空気圧、そして残るはドライバーの重量のみ。まさにイコールコンディションのワンメイクレースだ。過去2回は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、参加者と関係者のみで開催されていたが、今年は3年ぶりに一般の方の来場も可能となる。
このレースの最大の特徴は、大半のドライバーが、メディアの人間であることだ。ふだんは裏方としてコンテンツ作りに勤しむ人々が、この日ばかりは主人公となってレースを戦うのだ。
実際、自らがハンドルを握って走ることで、初めて見えてくるものがある。それはスポーツカー本来の魅力はもちろん、公道では掴むことが難しい、タイヤの性能やクルマの限界である。知識ではなく、レースを通じて「実感」として、多くのことが得られる大変貴重な機会なのだ。
そして、その実感をメディアの編集者に提供するため、マツダは長年、この場を用意してきてくれた。マツダの象徴的なスポーツカーであるロードスターがいまも魅力的であるのは、こういった継続的な取り組みが背景にあることは間違いないといえるだろう。
事前に綿密なレース戦略を立てつつ、ライバルの動向に目を配り、ベストな判断を下し、それをチームに実行させる指導力のある監督の存在が重要となる。そもそも、きちんとタイムや燃費を把握できなければ、作戦もなにもないため、サポーターも重要だ。また、ピットクルーが給油などの作業に手間取ってしまえば、勝つことは難しい。つまり、ドライバーだけでなく、チームスタッフの総合力が試されるのが耐久レースとなる。
とくにこのメディア4耐は、燃料の使用制限が厳しく、燃費よく走ることが求められる。毎年のようにゴール間近でガス欠リタイアするチームが出るほど、そのコントロールは非常にシビアなため、燃費戦略は最重要項目。監督とチームの力がより重要なレースとえるだろう。
また、ドライバーにとっても耐久レースに求められるものは多い。速いだけでなく、燃費のために極限まで効率よく走ることが求められる。もちろん、クラッシュなど問題外。次々と起こる不測の事態に冷静に対応しなければならない。雑な操作でマシンを壊すなども当然許されない。速くて上手で、しかも冷静、かつ丁寧なドライビングが求められるのだ。
そんな耐久レースだからこそ、観戦するにもスプリントとは違った面白さがある。スプリントなら1周のタイムの速さが重要となるけれど、耐久はそれだけでなく燃費がいいことが求められる。また、さほど速くはないが、安定したタイムで走れることが勝利につながる場合もある。そのためレースでは順位よりも、タイムの推移に注目してみよう。F1のようにさまざまなリアルタイムデータがあるわけではないが、タイムを追っていくと見えてくるものがある。「タイムを抑えている=エコランしている?」「タイムが急に落ちた=何かトラブルがあった?」などと推測しながら見るとより没入できる。ピットの様子も必見だ。ふだん、写真や文字面だけでしか見えていない、ライターや編集者の生の姿がそこにある。
ただ、やはり現地観戦をお勧めしたい。筑波サーキットは広すぎず、歩き回ることも難くない。参加者たちと間近に接することができ、さまざまな体験イベントも実施される予定だ。ぜひドライブかねてご来場、そして応援いただきたい。
この耐久レースの特徴と共に、観戦・応援のポイントを紹介しておこう。このレースで重要なポイントは、とにかく一番速く走ってゴールする「スプリント」レースではなく、決められた時間でより多くの周回をこなす「耐久」レースであることだ。スプリントであれば、速いドライバーがひとりいればいい。しかし、耐久となれば、複数人のドライバーが必要になるし、このレースでは給油も行われる。そう、耐久レースはひとりのドライバーだけでは戦うことができないのだ。
この耐久レースはYouTube上でのリアルタイム配信が予定されている。残念ながら現地には行けずとも、だれでもどこでもレース観戦でき、「推し」のドライバーやメディアを応援する楽しみもあるぜひチェック&応援をよろしくおねがいします!