Honda、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権への参戦について。2026年からAston MartinへPUを供給

 ホンダは、2026年からFIAフォーミュラ・ワン世界選手権(F1)に参戦し、アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チームと2026年から施行される新レギュレーションに基づくパワーユニットを供給するワークス契約を結ぶことで合意した。

ホンダとアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チームのロゴ

▲ホンダ、2026年からアストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ・ワン・チームとワークス契約へ

 ホンダは、2021年にRed Bull Racingのマックス・フェルスタッペンがドライバーズチャンピオン獲得した後F1参戦を終了。現在はRed Bull PowertrainsへHRCが技術支援という形でF1用パワーユニットのサポートをしている。

 F1は、2030年のカーボンニュートラル実現を目標として掲げており、2026年以降は、100%カーボンニュートラル燃料の使用が義務付けられるとともに、最高出力の50%をエンジン、50%を電動モーターで賄う形となり、2023年現在の最高出力における電動モーターの比率が20%弱に留まるレギュレーションと比べて、出力に占める電気エネルギーの比率が大幅に高められることになる。

具体的には、2026年からエンジンの出力を抑える一方で、走行するマシンから減速時などにエネルギーを回収して電気エネルギーに変換するエネルギー回生システム(ERS)の出力を現在の3倍に引き上げ、エンジンとモーターの最高出力が同等となるシステムとなる。

 このレギュレーション変更は、Hondaのカーボンニュートラルの方向性に合致し、その実現に向けた将来技術の開発に大きな意義を持つことから、新たに参戦を決定した。2022年からHondaのモータースポーツ活動の全てを担う、ホンダ・レーシング(HRC)が、F1パワーユニットの開発とレース参戦・運営を行う。

発表会の檀上の様子

▲左から渡辺 康治氏、三部 敏宏氏、ローレンス・ストロール氏、マーティン・ウィットマーシュ氏

三部 敏宏氏

▲三部 敏宏氏

■本田技研工業株式会社 取締役 代表執行役社長 三部 敏宏氏 コメント
 F1が、Hondaの目指すカーボンニュートラルの方向性と合致する、サステナブルな存在となり、私たちの電動化技術を促進するプラットフォームになること。これが、Hondaとして再びF1にチャレンジする大きな理由の一つとなりました。Hondaは世界のレースに挑戦し、勝利することで成長してきた企業です。2026年からの新レギュレーションでは、小型・軽量・高出力のモーターや、大電力を扱える高性能バッテリーとそのマネジメント技術が勝利への鍵となりますが、ここから得られる技術やノウハウは、電動フラッグシップスポーツを始め、これからの量産電動車の競争力に直結する可能性を秘めています。さらに、現在研究開発を進めているeVTOLなど、さまざまな分野にも生かすことができると考えます。新たなパートナーとなるAston Martin Aramco Cognizant Formula One® Teamとは、勝利への真摯な姿勢と情熱で大いに共感し、Aston Martin Aramco Hondaとして、2026年からともにチャンピオンを目指すことになりました。地球環境の保全とレース活動が共存できるよう、チャレンジングな新レギュレーション導入の英断を下されたFIA、また、F1のブランド価値を高め、発展させてきたFormula One Groupには大きな敬意を表します。

ローレンス・ストロール氏

▲ローレンス・ストロール氏

■Aston Martin Aramco Cognizant Formula One® Team会長 ローレンス・ストロール氏 コメント
 Aston Martin Aramco Cognizant Formula One® TeamはHondaとHRCを歓迎します。私たちは、レースでの勝利に向けた熱意と決心、そして飽くなき野心を互いに共有しています。Hondaは世界的な企業であり、長年にわたるモータースポーツにおける成功は、信じられないほど素晴らしいものです。2026年からともにエキサイティングな未来に乗り出すにあたり、三部氏、渡辺氏、そしてHRCのチーム全員に感謝したいと思います。

渡辺 康治氏

▲渡辺 康治氏

■株式会社ホンダ・レーシング 代表取締役社長 渡辺 康治氏 コメント
 カーボンニュートラル社会への移行という大きな環境変化を迎える中、将来にわたってモータースポーツがHondaの強みであり続けるために最適な体制を考え抜いた答えが、HRCです。持続的なレース体制を構築し、世界中のモータースポーツファンへ夢と感動をお届けしていきます。

マーティン・ウィットマーシュ氏

▲マーティン・ウィットマーシュ氏

■Aston Martin Performance Technologies Group CEO マーティン・ウィットマーシュ氏 コメント
 私は、キャリアの中で長年Hondaと仕事をする機会に恵まれてきました。2026年からHRCとAston Martin Aramco Cognizant Formula One® Teamがパートナーを組むことを大変嬉しく思います。Aston MartinのF1における野心的な計画にとって、Hondaとのワークスパートナーシップはジグソーパズルの最後のピースの1つです。2026年のF1パワーユニットに関する新しいレギュレーションは、非常に大きく重要な変化ですが、私たちはともに乗り越え、成功することができると確信しています。戦略的パートナーであるAramcoも含め、共通の目標に向かってオープンなコラボレーションができることを楽しみにしています。最後に、今後数シーズンにわたって提携を続ける現在のパワーユニットサプライヤーに敬意を表したいと思います。

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