わたしたち自動車メディアの編集部メンバーのほとんどが「クルマ好き」であることはいうまでもないが、その「好き」にもいろいろな種類があるのも読者の皆さんとまったく同じ。その中でも今回は、「スポーツ」とついた分野である”モータースポーツ”に着目して、私たちカー・アンド・ドライバー編集部が各種モータースポーツ関連活動について振り返るとともに、今回は参加することの楽しみとその魅力についてお伝えしたいと思う。
自動車関連メディアには1年に一度、ほぼすべての有名メディアが集うイベントがある。それは、マツダがロードスターという名車を世に送り出してから34年間継続してきたイベント『メディア対抗ロードスター4時間耐久レース』だ。カー・アンド・ドライバー編集部としては、昨年に28年ぶりに参戦、とはいえ現体制では初参戦ともいえたのだが、昨年の入賞目前まで迫った勢いにのって、実質2年目となる今年は入賞を目指して気合い(だけ?)が入っていた。
その前哨戦となったのが、2023年6月28日に袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された『ビースポーツ マスターズ・エンデュランス 第2戦』だ。詳しくはすでに公開している参戦レポート(「レーシングスーツ不要のレース!? 誰もがモータースポーツを気軽に楽しめる『マス耐』参戦記」)をご覧いただきたいのだが、このレースでは結果は総合優勝(といっても、参戦台数は3台のみ。。。)で、結果はともあれ何より大きかったのは、耐久レースで最も重要な「燃費よく早く走る」ためのコツの一端を掴んだことだろう。第3戦は残念ながら中止となってしまい、同時にこのシリーズ自体が消滅してしまったのだが、安全かつじっくりと走行できる機会はそうそうないので、またいつか同様のレースが復活することを心待ちにしている編集部一同である。
レーシングスーツ不要のレース!? 誰もがモータースポーツを気軽に楽しめる『マス耐』参戦記
https://www.caranddriver.co.jp/motorsports/50287/
さて、そんな結果をひっさげてやる気満々、意気揚々と迎えた本番、2023年9月9日に筑波サーキットで開催された『第34回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース』では、結論からいえば結果はビリから2番目となる散々たる結果。とはいえ、チームとしてみれば、とても貴重な、そして今後につながる内容であったことは声を大にしてお伝えしておきたい。こちらも詳しくはすでに公開している参戦レポート(「波乱のドラマが生まれた舞台裏…第34回メディア対抗ロードスター4時間耐久レース【#44 CD号参戦記】」)をご覧いただきたいのだが、要は様々なドラマがあった上で、参加メンバーならびにその関係者からみれば、大充実の1日だったわけだ。
実は、この間にもうひとつ、編集部員が参戦していたレースがある。それは2023年7月15日にモビリティリゾートで開催されたカートの耐久レース『2023 もてぎKART耐久フェスティバル“K-TAI”』(以下、K-TAI)だ。こちらのレースは昨年からカー・アンド・ドライバー統括編集長・山本善隆が所属している『クラブレーシング』という有志チームで参加。このクラブレーシングは、2001年から前身となるチームで活動をスタートし、このK-TAIにも2007年から参戦しつづけている歴史あるチームで、主なメンバーは自動車メディア関係者、活動目的はモータースポーツの楽しさを伝えるためであり、参加しているメンバー皆、有志の集まりでもある。
レースの大枠については、こちらもまた昨年に公開している参戦レポート(「F1やスーパーGTがもっと身近に!?もてぎKART耐久フェスティバル“K-TAI”で味わったモータースポーツの醍醐味とは」)をご覧いただきたいのだが、今年2度目の参戦をさせてもらってあらためて感じたのは、モータースポーツはその結果云々とはまったく関係ない、人と人とのコミュニケーションの場という「楽しさ」もある、ということだった。
クラブレーシングの今年の活動テーマは、原点回帰として「若い人にもっと機会を与えること」で、チーム代表・片岡英明(モータージャーナリスト)のもと、チームマネージャー・鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)が若い同業者の方を積極的にリクルーティングした結果、これまでにない多くの新人メンバーが集結。その経緯と様子については、鈴木ケンイチ氏が『Webモーターマガジン』で詳細にレポートしているのでそちらをご覧いただければと思うが、若い人たちが多く集まり、はじめて経験するモータースポーツという場を通じて、つながり、ともに喜び、そしてともに楽しんでいた。そして、内輪で楽しむだけでなく、その新人たちは各々の活動メディアにおいて、その魅力を余すことなく発信していった。
▼鈴木ケンイチ氏による今年のレポートは『Webモーターマガジン』にて掲載中
「新米マネージャー K-TAI参戦レポート。小さな試練が続く、まさに障害物競争!」(外部サイト)
https://web.motormagazine.co.jp/_ct/17645319/
今回の記事では、実際にモータースポーツ活動に参加してきたことを通じて感じたこと、その魅力の一端をお伝えしてきた。ただ、実際にモータースポーツをやろうといっても、そこにかかる費用であったり、そもそもの機会または何らかのきっかけがなければ、参加するということのハードルは高いようにみえる。ただ、すごく高いのかというと実は決してそんなことはなく、ぜひ身近なクルマ好きな友人・知人の方々に「なにかモータースポーツでもやってみないか」と一歩踏み出すように声をかけてほしい。きっと、そのお相手も「そんな提案をまっていた」となる可能性はとても高いと思う。それをきっかけとして、ぜひ手近なところから、なにかをはじめてみてほしい。
文:山本善隆(CAR and DRIVER)