現地時間7月28日に開催された2019年シーズンのFIAフォーミュラ・ワン世界選手権、第11戦ドイツグランプリ(ホッケンハイムリンク)の決勝において、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝を果たした。トロロッソのダニール・クビアトは3位表彰台を獲得し、ホンダにとって1992年以来27年ぶりのダブル表彰台&年間複数勝利達成となる。
▲共に表彰台に上がったホンダPUを有するレッドブルの1位マックス・フェルスタッペン選手(右)と3位のトロロッソのダニール・クビアト選手
雨に翻弄されたウェットコンディションレース
猛暑の2日間の後、ホッケンハイムリンクは雨雲に覆われていた。午後0時頃になって強い雨が降ってきた影響で日曜の決勝レースは今季初のウェットコンディションスタートに。路面の確認のため、3周のフォーメーションラップから始まり、その後周回数を減らしレースはスタンディングスタートが切られることとなった。
気温21度、路面温度26度。全車エクストリームウェットタイヤを履いてのスタートする中、首位はポールスタートのルイス・ハミルトン(メルセデス)がキープ、レッドブルホンダのマックス・フェルスタッペンと、トロロッソホンダのピエール・ガスリーはスタートで出遅れポジションを落とした。予選にトラブルで最後尾スタートのフェラーリのセバスチャン・ベッテルは、オープニングラップを終えるまでに6台パスして14位につけた。
2週目にはアクシデント発生。セルジオ・ペレス(レーシング・ポイント)がターン11でスピン。クラッシュしセーフティカーが導入。それを機に、ほぼ全車がインターミディエイト(浅溝のウェットタイヤ)に交換する。
▲深溝のレインタイヤで走るトロロッソホンダの23号車アレクサンダー・アルボン選手(前)とダニール・クビアト選手(奥)
先の読めない雨模様
10週目を迎える頃にはレーシングラインが乾き始めるものの、依然として雨の予報もあり、レース戦略を考える上で難しい状況となった。20周を超えたあたりで、ソフトタイヤ(スリックタイヤ)に交換するチームが出てくると、3番手を走っていたフェルスタッペンもピットに飛び込みミディアムタイヤに交換、しかし、翌周のターン13でスピンを喫してしまう。フェルスタッペンはどうにかコース上にマシンを留め復帰できたものの、縁石に乗ってスピンする車、雨でアンダーステアが出て曲がれないマシンが続出した。
フェラーリ、ルクレール痛恨のクラッシュ。無線で唸る
23周目、4位を走っていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が最終コーナーで制御を失いコース外壁にクラッシュしリタイヤとなり、またセーフティカーが導入となる。さらに、29週目の同じく最終コーナーで首位ハミルトンが同じようにコースオフしフロントウィングを欠損。ピットに飛び込むが現場は混乱し大きく順位を落としてしまう。また、ピット入口の進入を大きくカットしたためタイムペナルティが課され、ハミルトンは5番手まで後退してしまった。
レースは34周目再開となり、首位フェルスタッペン、2番手はドイツ人ドライバー、ニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)、3番手にばメルセデスのバルテリ・ボッタスがつける。最後尾スタートのベッテルは8番手まで浮上していた。
▲ほとんど乾いた路面にもかかわらず浅溝のレインタイヤで走るダニール・クビアト選手とピエール・ガスリー選手。コーナーごとに路面コンディションが大きく異なった。
セーフティカーに続くセーフティカー
41周目、今度はルノーのヒュルケンベルグが最終コーナーでグラベルにはまりリタイヤ、初の表彰台が期待されていただけにドイツの地元ファンから大きなため息が漏れた。これでまたしてもセーフティカーが導入。各チームがインターミディエイトにタイヤ交換する。46周目レースが再開されると、新品タイヤを履くフェルスタッペンが後続を大きく引き離していく。しかし雨が止んだことで路面状態は一気に改善されレーシングラインがほぼドライとなったことでその周にフェルスタッペンはピットインしソフトタイヤに交換。2位でコースに復帰する。リスタートと同時にピットインしていたトロロッソホンダのダニール・クビアトが3位に浮上。セーフティカー中にソフトタイヤ交換を済ませていたランス・ストロールが首位に立った。
▲スリックタイヤに交換しピットアウトするフェルスタッペン
■レース後半、路面はほぼドライに
フェルスタッペンはすぐにストロールを抜くが、3位を走行するクビアトは2位ストロールをなかなか攻略できずにいた。56周目、4番手を走っていたボッタスがターン1の濡れた縁石に乗り上げスピンしクラッシュを喫する。またしてもセーフティカー導入となり、各車のギャップはなくなる。この時点で1位フェルスタッペン、2位クビアト、3位ストロール、4位カルロス・サインツ(マクラーレン)、5位ベッテルとなる。ポールスタートだったハミルトンは、ペナルティ消化の後に更にスピン喫し14番手まで順位を落としていた。
▲ゴールチェッカーを受けるフェルスタッペン。61周目に1分16秒645のファステストラップを記録した
60周目にレース再開、路面は完全にドライになっていた。ベッテルはターン6でサインツのインに飛び込み4位に浮上。その後もストロール、クビアトと追い抜き、最終ラップには2位まで順位を上げ、残るはフェルスタッペンのみとなった。しかしフェルスタッペンもファステストラップを更新しながら逃げ切り、64周の大荒れのレースを制し今季2勝目を上げた。
クビアトは3位に入りチームは11年ぶりの表彰台入りとなった。同じくトロロッソのアルボンは6位入賞、レッドブルのガスリーはリタイヤという結果となった。
▲表彰台
F1第11戦ドイツGP順位結果は、1位フェルスタッペン、2位ベッテル、3位クビアト、4位ストロール、5位サインツ、6位アルボン、7位グロージャン、8位マグヌッセン、9位ハミルトン、10位クビサとなった※。
※アルファロメオ・フェラーリの2台にタイム加算のペナルティがあり順位変動があった。アルファロメオ側は控訴予定のため暫定順位。