サーキットでレースに出場するとなると、プロのメカニックやエンジニアが必要で、資金的にも莫大になる。だが、ナンバー付き車両で開催されているレースなら、参戦できるチャンスが広がってくる。
現在国内で開催されているナンバー付き車両の主なワンメイクレース(ロードスター以外)を紹介しよう。ホンダN-ONEオーナーズカップは、軽自動車で戦う。今シーズンは3月のモビリティリゾートもてぎから11月の鈴鹿サーキットまで全11戦で競う。車両はN-ONEのターボ仕様で、駆動方式はFF、トランスミッションはCVTに限定。ロールケージなどの指定部品の装着やサスペンションやエアロの装着などが認められている。参加料は4万9500円。7月開催の鈴鹿サーキットの場合は事前に練習走行枠が用意されている(有料)。
「誰でも気軽に参加できるモータースポーツを目指しています。レースの結果も大事ですが、仲間に会いに来るという点を大切にしています。チーム編成はドライバー、監督、メカニック3人の5人構成が最大です。中にはドライバーがひとりで参加している選手もいるようです」と大会関係者は語る。参加するドライバー10代〜30代が30%程度というから、若いドライバーが多い。また、AT限定免許でも参加できる関係から、女性ドライバーの参加が多い点はこのシリーズの特徴といえるだろう。
マシン作りにかかる費用は車両本体を別にして150万円程度。ユーズドカーをベースに車両を仕上げれば、参加しやすい。
N-ONEオーナーズカップが鈴鹿サーキットや富士スピードウェイで開催される際は、参加台数が100台を超えるケースが出てくる。せっかく参加したのに予選落ち……という事態にならないように、予選後は決勝レースとフューチャーズレースが開催される。富士スピードウェイの場合は予選出場台数が108台、決勝/フューチャーズレースはそれぞれ54台が出走する。
「参加料と移動費、宿泊費などを含めて1戦当たり10万円くらいかかるようです。タイヤは4〜5戦は1セットで走れると思います。全戦参加される選手は少なく、自宅から近いサーキットに絞っている方が多いようです」
トヨタGR86/SUBARU BRZを対象にしたGR86/BRZカップは、プロフェッショナル・シリーズとクラブマン・シリーズが開催されている。プロフェッショナル・シリーズにはスーパーGTでチャンピオン経験のある谷口信輝選手や井口卓人選手らが参戦。アマチュアを対象にしたクラブマン・シリーズは改造範囲が限定されている。
「クラブマンに出場される方は、若い人からベテランまで幅広い年齢層になっています。FRの本格スポーツカーで走る点や、トヨタという安心感などが評価されていると思います」と大会関係者は語る。また、クラブマンで参加を始め、いい成績が残せるようになってからプロフェッショナルにステップアップする選手がいるのも、この大会の特徴だろう。ヤリスカップから86/BRZカップにステップアップしてくる選手もいるという。
クルマを仕上げるには車両本体とは別に部品代が150万円程度かかる。工賃は別途必要だ。カップカーはまだユーズドカーの流通が少ない状況だ。
北海道から九州まで国内の主なサーキットを転戦するため、全戦出場するドライバーは少数派。ショップやガレージと提携する参加者もいる。参加料はクラブマン・シリーズで4万4000円である。