三菱自動車が技術支援する「チーム三菱ラリーアート」は、8月11日から17日にタイで開催されたアジアクロスカントリーラリー2024(AXCR)にトライトン(T1仕様=改造クロスカントリー車両)で参戦。総走行距離2075.54km、競技区間939.58kmを走破し、田口勝彦選手が、15時間34分52秒で5位に入賞した。
また小出一登選手は総合24位、サクチャイ・トラクーン選手は総合27位、チャヤポン・ヨーター選手はレグ5で総合1位に立ったものの、エンジントラブルで無念のリタイアを喫した。チーム三菱ラリーアートは目標の優勝を逃したものの善戦。来年の完全復活を誓った。
今年のAXCRは、11日、タイ・スラタニエリアのランドマークである時計塔広場でセレモニアルスタートを実施。翌12日のレグ一から本格スタートし、レグ2はスラタニからホアヒンまでラリー期間中の最長距離(550km超)を走破し、レグ3はホアヒン周辺で競技区間(スペシャルステージ=SS)を戦った。翌日レグ4ではカンチャナブリへ移動し、山間部を抜ける起伏のあるコースを走行。厳しい岩場を超えていく山超えルートに多くのチームが苦戦。10組以上が規定時間内にゴールすることができずペナルティを受けるなど、6日間の中で最もタフなSSとなった。
レグ5はカンチャナブリ周辺で、今大会で最も距離の長いSSとなる228.87kmを走破。そして17日のレグ6には、カンチャナブリの新観光名所「スカイウォーク・カンチャナブリ」にほど近い、スカイウォーク・アベニューでゴールを迎えた。
2年目の挑戦となった田口勝彦選手は、7番手スタートからナビゲーション難易度が高いコース設定に手こずりながらも、丁寧な走りで堅実に毎日のSSを走り切り、昨年の総合8位から順位を上げて総合5位入賞を果たした。
サクチャイ・ハーントラクーン選手は、30番手スタートからレグ1で一気に5位まで順位を上げるも、ミスコースやマシントラブルに悩まされ、27位でフィニッシュ。また社員ドライバーとして参戦する小出一登選手は、最初こそAXCRの難コースに翻弄されるも、持ち前の適応能力の高さを発揮して安定したドライビングを続け、スタックやマシントラブルで走行不能になったチームメイトもサポートしつつ、最終的には24位で初めてのAXCRを終えた。
前年は総合3位に食い込み、チームの中では最も前方でのスタートとなったチャヤポン・ヨーター選手は、丁寧なドライビングで連日上位に入るタイムを重ね、最も過酷となったレグ4終了時点では、2位以下に20分以上の差をつけて総合首位に立った。しかし、レグ5のマシントラブルで走行不能となり、そのまま無念のリタイアとなった。
チーム三菱ラリーアート、増岡浩総監督のコメント
「今年のトライトンは、本当にいいマシンに仕上がりました。ライバルとの排気量差を埋める力強いパフォーマンスを見せて、一時は総合首位にも立ちました、しかし結果的に優勝できなかったことは残念です。それでも、長年にわたって培った三菱ならではの悪路走破性を十分に発揮できたので、そこは評価に値すると思います。日本に戻ってからは初参戦した社員ドライバーの小出選手を中心に、今回の参戦で得た貴重なデータ、知見を市販車開発に反映してもらい[過酷なモータースポーツの現場での経験に導かれたクルマづくり]の新たな1ページを作ってほしいと思います。また来年に向けて、しっかりテストで走り込んで、完全復活したいと思います。世界各地からのファンの皆様からの声援、本当にありがとうございました」
チーム三菱ラリーアート #️107ドライバー、田口勝彦選手のコメント
「2024年型のトライトン・ラリーカーは、高いレベルでパッケージがまとまっていて、とにかく乗りやすかった。私自身としては、昨年より順位が上がった点はよかったと思いますが、もっと上を狙える手応えがあっただけに悔しいです。今年の経験をフィードバックし、来年はさらにトライトンの走行性能を高められると思うので、トップにずっと食らいついていきたいと思います」
チーム三菱ラリーアート #️137 ドライバー、小出一登選手のコメント
「私がドライブしたトライトンのラリーカーは、2023年型で「4LLc」という岩場のためのドライブモードがあります。今回、そのモードを使用して、チームメイトのマシンを牽引しながら、40度近い傾斜を難なく登れました。トライトンの悪路走破性の高さをあらためて感じました。ラリーを通じて得たものをしっかりとフィードバックし、悪路に強く、頼もしい三菱車の開発に繋げていきます」
1位:マーナ・ボーンシリチョード(トヨタ・ハイラックス レボ/14時間22分00秒
2位:スワット・リムジラピンヤ(いすゞ D-MAX)/14時間25分47秒
3位:トンチャイ・クリンケート(いすゞ D-MAX)/14時間36分24秒
4位:塙 郁夫(トヨタ・フォーチュナー)/14時間56分48秒
5位:田口勝彦(三菱トライトン)/15時間34分52 秒
6位:オーラーン・ソーンシリラット(いすゞ D-MAX)/15時間35分34秒
24位:小出一登(三菱トライトン)/23時間08分37秒
27位:サクチャイ・ハーントラークーン(三菱トライトン)/24時間ある51分52秒
42位:チャヤポン・ヨーター(三菱トライトン)/リタイヤ
今年のAXCRでは、アウトランダーやデリカD:5と共に、三菱の末っ子SUV、デリカミニがサポートカーとしてデビューした、チーム三菱ラリーアートに帯同したモータージャーナリストの竹岡圭さんは「今年のAXCRはロックセクションあり、川渡りありと、想像以上に過酷でした。しかもコースが難しい。生命力の強いタイの草花たちは、ラリー車用のコマ地図を作成してから本番までに伸び放題になってしまうため、日本人の感覚ではとても道に思えない場所にも入っていく必要がありました。コドライバーのナビゲーションはさぞかし大変だったと思います。私はサポートカーのデリカミニのドライバーを担当しました。いく先々でデリカミニと「デリ丸」は大人気! 街中でちょっと止めると撮影会が始まり、走行中もビデオが撮られたりすることがありました。もちろん走破性もバッチリで、タイの赤土オフロードも、ひび割れして穴だらけの舗装路も、頼もしく駆け抜けてくれました」とコメントした。