予選2位の平川選手がSF初優勝を飾る
▲優勝を喜ぶ平川亮選手
スーパーフォーミュラ第5戦の決勝レースは8月18日、栃木県ツインリンクもてぎ(1周 4.801km、決勝51周)で行われ、予選2位からスタートした平川亮選手(インパル・トヨタ)がシリーズ初優勝を飾った。決勝日の気温は37度、路面温度は49度。ドライバーはもちろん、マシンにもタイヤにも過酷な条件の中、決勝レースを迎えた。
14時15分にフォーメーションラップがスタートしたが、ここでグリッド8番目でポイントリーダーの山本尚貴選手(ダンディライアン・ホンダ)が、エンジンストール。この結果、山本選手はピットスタートを余儀なくされた。今回、F1のレッドブルレーシングのヘルムート・マルコ博士が観戦に来ており、ドライバーたちはいいところを見せたかったはずだが、いきなりつまずく展開になった。
再びフォーメーションラップが行われたが、グリッドにつく際にH・ニューウェイ選手(B-Max・ホンダ)とP・オワード選手(TEAM MUGEN・ホンダ)が、エンジンストール。これにより赤旗が掲示され、スタートディレイとなった。ニューウェイ選手とオワード選手はグリッド最後列からのスタートになった(山本選手はピットスタート)。決勝は本来52周で行われる予定だったが、一連のトラブルで1周減算の51周で行われた。
スタートはグリッド2番手の平川選手が好スタートを決めたが、1コーナーを制したのはポールポジションのA・パロウ選手(ナカジマレーシング・ホンダ)だった。2位に平川選手、3位に福住仁嶺選手(ダンディライアン・ホンダ)と、予選のポジション順に続いた。
▲第5戦のスタート風景 ホールショットはポールポジションのA・パロウ選手が奪取 ピットスタートになった山本直貴選手が写真左端に見える
気をはいたのは予選7番手の小林可夢偉選手(KCMG・トヨタ)。ロケットスタートを決め、一気に4番手に浮上した。レースはこのオーダーでしばらく続くことになる。序盤トップのパロウ選手が、2位の平川選手に1.5秒ほどリードを築いていたが、10周をすぎたあたりからパロウ選手のタイヤの摩耗が進んだのか、平川選手が背後に迫るようになった。パロウ選手と平川選手のトップ2台から少し間を置いて、3位福住選手と4位小林選手の攻防戦が繰り広げられていた。
23周目にレースが動いた。バックストレートから90度コーナーにおいて虎視眈々と狙っていた平川選手が、パロウ選手を攻略、遂にトップに立った。ポジションが下がったパロウ選手はその後じりじりと離されていく。そして33周目、小林選手が福住選手を抜き、一気にパロウ選手まで追い上げていった。
▲優勝した平川亮選手 キャリア初のSF勝利になった
36周目、平川選手が2位パロウ選手に約12秒の差を作って規定のピットイン。タイヤをソフトからミディアムに変えてコースに復帰した。その翌周にパロウ選手がピットイン。これで見た目のうえでは、小林選手がトップに立った。小林選手は規定のピットインまで、平川選手との差を少しでも縮めておこうと懸命な走りを見せる。しかし小林選手のソフトタイヤが限界に達し、ピットイン。ミディアムタイヤに交換した。小林選手は2番手でコースに復帰した。3番手には早目のピットインでソフトタイヤに変えたN・キャシディ選手(トムス・トヨタ)がパロウ選手をかわし浮上してきた。その後小林選手は猛チャージでトップを追いかけたが、平川選手がそのままチェッカーを受けた。
▲予選7番手/決勝2位 小林可夢偉選手
優勝記者会見で平川選手は「金曜日の練習走行からずっと調子がよく、勝てそうな予感と自信があった」とコメントしている。2位の小林選手は、「7番手グリッドから2位というのは喜ぶべき結果、これ以上は難しかったかな」と分析していた。3位はキャシディ選手だった。
この結果、ドライバーズポイントを28点に伸ばしたキャシディ選手が、1ポイント差でポイントリーダーに立った(2位は山本選手)。「山本選手は最終戦の鈴鹿が得意なので、そこまで同じポイントでいくと選手権争いが厳しくなると思います。次の岡山は、できるだけいい成績を残したい」とキャシディ選手。
今シーズンは、開幕戦から第5戦まで、ここまで全戦優勝者が異なっている。絶対的なスピードを持つドライバーがいない今季、残り2戦も展開が読めず、ますますチャンピオン争いから目が離せない。
▲N・キャシディ選手 開幕戦から全戦でポイントを獲得 第5戦を終えて28点を挙げてチャンピオン争いのトップに立った(photo/Yamagami Hiroya)