TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ・ガズー・レーシング、TGR)は10月11日、MoneyGram Haas F1 Teamと車両開発分野などにおいて協力関係を結ぶことに合意し、基本合意書を締結した。
TGRが今季、10月半までに展開してきた活動を簡単に紹介しておこう。
FIA(世界自動車連盟)の世界選手権がかかった競技にはWEC(FIA世界耐久選手権)とWRC(FIA世界ラリー選手権)に出場。
WECは9月の富士6時間に出場した2台がともにノーポイントでレースを終了。小林可夢偉選手とニック・デ・フリース選手は最終戦(11月2日、バーレーン8時間)で総合2位の座をかけた戦いになる。
WRCは11月21~24日のラリージャパンが、2024年の最終戦。マニュファクチャラー選手権はヒョンデが525点、TGRが511点という展開。ドライバー部門はヒョンデのティエリー・ヌービル選手が225点でトップ、TGRのトップはエルフィン・エバンズ選手が185点で3位につけている。
国内競技にはスーパーフォーミュラとスーパーGTに参戦。スーパーフォーミュラはトヨタ製エンジンをコンドーレーシング、キッズコムチームKCMG、ドコモビジネス・ルーキー、イトウチュウエネクス・チーム・インパル、バンテリン・チーム・トムス、ベルテクス・パートナーズ・セルモ・インギングの各チームに供給。トムスの坪井翔選手が第7戦終了時点で86.5ポイントを獲得して、2位の牧野任祐選手が72点、3位の野尻智紀選手が70点で続いている。
スーパーGTは、GT500クラスにTGR TEAM ENEOS ROOKIE、TGR TEAM WedsSport BANDOH、TGR TEAM au TOM'S、TGR TEAM Deloitte TOM'S、TGR TEAM KeePer CERUMO、TGR TEAM SARDの6台が出場。
GT300クラスはmuta Racing INGING、SHADE RACING、HOPPY team TSUCHIYA、apr(2台)、ANEST IWATA Racing with Arnage、埼玉Green Brave、LM corsa、K-tunes Racingの9台が参戦している。
GT500クラスはau TOM'Sの坪井翔/山下健太選手組が53点でトップ、2位はデロイトTOM'Sの笹原右京/ジュリアーノ・アレジ選手組が51点という展開だ。
このほかワンメイクレースのGR86/BRZカップやヤリス・カップ、全日本ラリー選手権、スーパー耐久シリーズなどにも参戦やサポート活動を行っているほか、eモータースポーツやドライバーを育成するTGRドライバー・チャレンジ・プログラムやWRCチャレンジプログラム、WECチャレンジプログラムを推進。現在トヨタのワークスチームでラリーを戦う勝田貴元選手は、チャレンジプログラムを通じてキャリアを磨いた。
トヨタの豊田章男会長はHaasとの提携する趣旨は、トヨタがF1に復帰するのではなく、若いドライバーにF1に通じる可能性を提供することが狙いだと語っている。勝田選手の先例のように、トヨタがF1につながるチャレンジプログラムのバリエーションとしてHaasとの提携を実現させたものといえる。
TGRが展開している豊富なモータースポーツプログラムを見ると、ラリー、耐久レース、そしてフォーミュラとそれぞれのカテゴリーでFIA世界選手権に道がつながったことがわかる。ツーリングカーはスーパーGTやニュルブルクリンク24時間レース活動がすでに用意されている。