Audi R8 LMS GT3が鈴鹿10時間耐久レースで初優勝を飾る

 8月23日(金)〜8月25日(日)、三重県の鈴鹿サーキットで開催された2019第48回サマーエンデュランス「BHオークション SMBC 鈴鹿10時間耐久レース」にてAudi R8 LMS GT3が初優勝を飾った。

071_photo01_Suzuka10h_2019_large.jpg優勝した25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo(Audi Sport Team WRT、ケルビン・ファン・デル・リンデ選手、ドリス・バンスール選手、フレデリック・ヴェルヴィッシュ選手組)

「鈴鹿10時間耐久レース」は、昨年始まったGT3カーの世界一を決める耐久レースだ。世界5大陸をまたいで、年間全5戦で競われる「インターコンチネンタルGTチャレンジ(IGTC)」のアジアラウンドに位置付けられ、日本をはじめヨーロッパ、アジアなど世界各国から強豪チームが集結。10時間を走行し、その走行距離の長さを競う。

 昨年のこのレースではAudi Sport Team Absolute Racingが3位表彰台を獲得、Audi Sport Team WRTが4位、Audi Team Hitotsuyamaが8位に入賞しており、今年のレースでも大いに期待が高まっていた。

 2019年のアウディ勢はAudi R8 LMS GT3を駆り、日本からはSUPER GT GT300クラスで活躍する#21 Audi Team Hitotsuyama(アウディ チーム ヒトツヤマ)が、また海外からは#25 Audi Sport Team WRTと#125 Audi Sport Team Absolute Racingの計3チームが参戦した。

071_photo04_Suzuka10h_2019_large.jpg▲BHオークション SMBC 鈴鹿10時間耐久レース 決勝

 日曜日の決勝は30℃に迫る気温のもと、午前10時レーススタート。予選2番手を獲得したAudi Sport Team WRTの25号車はフロントローからレースをスタートするものの、直後に34号車のBMW M6 GT3に交わされ、ひとつポジションを落とす。1-2体制でリードを築くBMWだったが、暑くなるにつれて次第にペースが下がり、レース開始から3時間が過ぎたころには25号車が逆転しアウディがトップとなった。

071_photo02_Suzuka10h_2019_large.jpg▲RSモデル生誕25周年にちなんで、Audi Sport Team WRTのマシンのカーナンバーは25。ボディには記念のロゴと初代RSモデルRS 2 Avantのイメージカラーである伝統のノガロブルーが彩られた

 レース開始8時間後には、日没を迎えてナイトセッションに突入。この時点で順位は、#25号車がトップ、#125号車が2位とアウディ勢のワンツー体制に。

 残り1時間を切り、このままワンツーでレースを終えられるかと思いきや、#125が最終のドライバー交代時の給油トラブルによって大幅にタイムロス。順位を大きく落としてしまう。トップを走っていた25号車もピットインの際、壊れた左ミラー修復のため通常よりも余計に時間がかかってしまったものの、こちらはそれまでに大きなマージンを築いていたため順位に影響はなかった。

 午後8時レース終了、結果は最後まで圧倒的な速さをみせた #25 Audi Sport Team WRTが昨年の雪辱を晴らし、日本での初優勝を遂げることに成功した。2位は999号車Mercedes-AMG GT3のMercedes-AMG Team GruppeM Racing。3位には912号車Porsche 911 GT3のRAbsolute Racingが入り、表彰台はアウディ、メルセデス・ベンツ、ポルシェという3つのドイツメーカーが分け合う形となった。

 #125 Audi Sport Team Absolute Racingは、最終ラップまで前を走る#35号車を猛追、白熱のバトルを展開し大いに観客を沸かせたが、最終的に惜しくも7位でチェッカーを迎えた。

071_photo03_Suzuka10h_2019_large.jpg▲Audi Sport customer racing カスタマーレーシング責任者 クリス ラインケ氏

■Audi Sport customer racing統括責任者 クリス ラインケ氏のコメント
「Audi Sport Team WRTは、巧みな戦術によってミスを避け、3人のドライバーがすべてにおいて安定しており、速いラップタイムによって、スタート後3時間目から常にレースをリード。チャンピオンシップにおいて重要な意味をもつこの日本ラウンドで完璧なパフォーマンスを発揮し、勝利を収めることができました。今シーズンのIGTC開幕戦は苦しいスタートとなりましたが、これでマニュファクチャラーズとしては3位のポジションにつけることができました。最終戦の南アフリカでは、年間タイトル獲得を目指します」

071_photo06_Suzuka10h_2019_large.jpg▲Audi Team Hitotsuyama #21は、SUPER GT参戦時と同じライアン選手と富田選手のコンビに加えて、ベルギー人若手ドライバー、アレッシオ・ピカリエロ選手の3人体制でレースに臨み17位完走を果たした

 #21はスタート後、第1スティントのアレッシオ ピカリエロ選手が順調に順位を上げていたところ、途中接触事故によってピットスルーペナルティ課せられ、順位を大きく落としてしまう。レース開始から3時間後の順位は23位。レース後半は大きなミスもなく安定した走りで、17位完走を果たした。

■Audi Team Hitotsuyama チーム代表 一ツ山 亮次氏のコメント
「このレースはSUPER GTとは異なるピレリタイヤのワンメイクレースということもあり、Audi Sportからファクトリーカーと同じセットアップデータの提供を受け、予選はドライバー3人が安定したペースで20位以内に入ることができました。決勝は全体としてはいいペースで走ることができたのですが、第1スティントの接触によりペナルティを受けたり、その影響でタイヤの内圧が下がってしまうなど、タイムロスしたことが悔やまれます。やはり本国のチームはこのレースを熟知しており、またファクトリードライバーもR8の扱い方をよく知っているということを実感しました。今回の知見を今後のレースに活かしていきたいと思います。次はSUPER GTのオートポリスですが、セットアップの方向性も定まってきているので、上位を目指していきます。」

071_photo16_Suzuka10h_2019_large.jpg▲「Audi Sport conference SUZUKA 2019」で発表された「Audi RS5 Sportback」(画面手前)とAudi R8 Decennium(画面奥)

 また、予選が行われた24日にアウディ ジャパン株式会社は、同じく鈴鹿サーキットで記者会見「Audi Sport conference SUZUKA 2019」を開催。チーム・ドライバー紹介と共に、フラッグシップスポーツモデル 新型 Audi R8、Audi R8 のV10エンジン搭載モデルのデビュー10周年を記念した、全世界222台限定のAudi R8 Decennium(ディセニウム)を発表。そしてAudi A5シリーズの中で最も高い人気を誇る4ドアクーペ Audi A5 Sportbackをベースとした初のRSモデル、Audi RS5 Sportbackを発表した。

 2019年の鈴鹿10時間耐久レースは、アウディにとって日本で開催される国際レース初優勝となり、チームは最高のウィークエンドを迎えることができた。

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