2025年国内モータースポーツ、トップカテゴリー4シリーズの見どころガイド

SGT、SF、S耐久、KYOJO CUPの2025年の見どころガイド

 

 いよいよモータースポーツシーズンが開幕する。本誌(カー・アンド・ドライバー)2025年4月号では、世界選手権の見どころを紹介しているが、ここでは国内モータースポーツの今シーズンの見どころを紹介する。
 

スーパーGT

 このレースは「GT500クラス」と「GT300クラス」のという速さの違う2クラスがいっしょに走ることが特徴だ。


 GT500クラスは日本3大自動車メーカーのトヨタ・スープラ、日産・フェアレディZ、ホンダ・シビックタイプRが、各社の威信をかけてバトルを繰り広げる。昨年ドライバーズチャンピオンを獲得したのは、auトムスGRスープラの坪井翔/山下健太組で、最終戦・鈴鹿ではポールポジションを獲得し、決勝レースを待たずしてチャンピオンを決めた。ちなみにシリーズ2位はスタンレーシビックタイプR、3位はニッテラモチュールZと続き、3車の実力が拮抗していることも観ていて飽きない理由だろう。

2024年のGT500チャンピオン(坪井翔選手・右と山下健太選手)

 GT300クラスはフェラーリ、ポルシェ、ランボルギーニをはじめとした海外モデルと、GR86、BRZ、レクサスRC Fなどの日本モデルが混走する。ストレートが速いマシンもあれば、コーナーが得意なマシンもあり、一触即発のバトルをあちこちで観ることができる。ちなみに昨年のチャンピオンマシンはランボルギーニ・ウラカンで、2位はメルセデスAMG GTクーペ、3位はGR86で、何が勝つのかわからないのが面白いところ。好きなマシンを応援しながら観れば、ワクワクが止まらないはずだ。
 レース当日は「ピットウィーク」に行くことをオススメする。これはチケットを購入するとピットロード(ピット前のエリア)に入ることができ、ドライバーからサインをもらったり、レースクイーンの写真を撮ったり、近くで触れあうことができる。
 今シーズンは、4/12~13の岡山戦から、11/1~2のもてぎ戦まで、全8戦が予定されている。その中でも注目は、スーパーGTとしては6年ぶりに海外戦がスケジュールに組まれているということ。マレーシアのセパン戦が、第3戦6/27~28に予定されている。セパン開催は2013年以来の12年ぶりで、すでに1月下旬にはテストが行なわれた。コロナ禍で海外戦が行われていなかっただけに、アジアのファンの注目が集まる。
 そして今シーズンのスーパーGTは予選方式が変更されるのもトピック。2024年に導入されたA、Bドライバーの合算タイム方式を、2023年までのノックアウト方式に改め、GT500クラスのQ2進出台数は8台から10台に、GT300クラスは16大から18台に増やされることが発表された。
 また、まだ確定はしていないものの、8月の富士戦はスプリントで行われる可能性もあるということが、大阪オートメッセの会場でスーパーGTをプロモートするGTアソシエーションの坂東正明G代表から語られた。
  2025年のGTクラスは、トヨタ・GRスープラが6台、日産・フェアレディZが4台、ホンダ・シビックタイプRが5台の計15台のエントリーが公表されている。2年連続チャンピオンマシンとなったトヨタ・GRスープラをどのマシンが止めるのか、予想して応援しながら観るのも楽しいだろう。

Screenshot

※スーパーGTの公式ガイドはこちらから

スーパーフォーミュラ 

 次に注目したい国内レースは「スーパーフォーミュラ」だ。F1に次ぐといわれる速さを持つ日本最高峰のフォーミュラマシンによる激戦が展開され、その迫力は満点だ。


 スーパーフォーミュラを開催するJRPは、2025年シーズンに先駆けて、以下の開催概要およびマーケティング施策を発表した。
1)レーススケジュール…7大会12レースへ
2)レースフォーマットを一部変更…レース展開の面白さを追求
3)レーシングタイヤをアップデート…再生・リサイクル原料比率46%へ
4)13チーム・22名のドライバーがエントリー…6名のニューフェイス
5)新たな取り組み…金曜日「パートナーDAY」を実施
6)放送チャンネル拡大…新たなメディアパートナーが仲間入り
7)ジタンによる労務環境の改善へ…統一規則を一部変更

 この中から1番と2番については、3/7~9の鈴鹿戦から、11/21~23の鈴鹿戦まで7大会が予定されている。7大会と書いたのは、1開催で土日の2日にわたって2戦行われる大会が5回あり、レース数でいえば全12レースを下戦う。たとえば第1戦は鈴鹿サーキットで、土曜日に予選と決勝が行われ、第2戦は翌日曜日にも予選と決勝が行われる。従来のように「土曜日に予選、日曜日に決勝」が行われるのは、第5戦のオートポリス戦、第8戦のスポーツランド菅生戦の2大会になる。

2024年のチャンピオン・坪井翔選手

 注目してほしいのは、ドライバーのJuju(本名:野田樹潤・ノダジュジュ)選手だ。昨年、歴代最年少かつ日本人初となる女性ドライバーとしてスーパーフォーミュラに参戦したJuju選手は、全戦完走を果たしており、とくに第8戦・鈴鹿では自己最高の12位(全21台)に入るなど、急成長を見せている。また、Juju選手はスーパーフォーミュラの公式アプリ「SFgo」のお気に入り登録ナンバー1ドライバー(推しドラ部門1位)を受賞。今シーズンは「HAZAMA ANDO Triple Tree Racing」という新チームを立ち上げての参戦を発表しており、さらなる飛躍が期待されている。

 

Juju選手

Screenshot

※スーパーフォーミュラの公式ホームページはこちらから

スーパー耐久

 国内レースで次にオススメしたいのが「スーパー耐久」だ。スーパーGTと同様にツーリングカーベースのレーシングマシンによる耐久レースで、スーパーGTよりもチューニングが制限されているため、市販車に近いマシンによるレースはより親しみやすいかもしれない。

自動車メーカーが連携してカーボンニュートラルなモータースポーツの可能性に挑戦している

 スーパー耐久での注目は「ST-Qクラス」だ。このクラスには、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、スバルの5社の自動車メーカーが参戦。メーカーの垣根を越えて、未来のカーボンニュートラル社会に向かって共に挑むという強い想いを込めて「共挑(きょうちょう)」というスローガンを掲げて活動している。
 2025年は、トヨタは昨年と同様に液体水素カローラ、CNF GR86に加え、今年はDAT(ダイレクトオートマチックトランスミッションを搭載した「GRヤリスDATレーシングコンセプト」と、ミッドシップ化した「GRヤリスMコンセプト」で参戦することを発表している。
 スーパー耐久は3/22~23のもてぎ戦から11/15~16の富士戦まで全7戦を予定している。

スーパー耐久に出場するマシンに水素を充填する装置

※スーパー耐久の公式ホームページはこちらから

KYOJO CUP

 最後に紹介したいレースが「KYOJO CUP(競女カップ、以下、KYOJO)」だ。KYOJOはそのレース名のとおり、女性ドライバー=競争女子だけのモータースポーツで、2017年の誕生からすでに8シーズンが行われている。

2025年からF4マシンを取り入れてレースの迫力をいっそう高める

 KYOJOは2025年から大きく変わる。というのは、これまでの参戦車両はVITA-01だったが、今シーズンからF4のシャシーにハイブリッドユニット(1.4リッターターボ+モーター)を搭載するフォーミュラカー「KC-MG01」に変更されるからだ。KYOJOを運営する関谷正徳代表は「モータースポーツの価値をもっと高めて、<スポーツ>として観るモータースポーツを確立していきたい」という理念を掲げており、今シーズンからよりスキルの高い次世代のモータースポーツを目指す。

2024年チャンピオンの斎藤愛未選手

 KYOJOは富士スピードウェイのみの開催で、5/10から11/9まで全5大会(1大会2戦で全10戦)を予定しており、7/20の第2大会、10/12の第4大会はスーパーフォーミュラとの併催となる。

Screenshot

※KYOJO CUPの公式ホームページのアドレスはこちらから

SNSでフォローする