ホンダNーWGN・Lホンダセンシング 試乗記
ホンダNーWGN・Lホンダセンシング 価格:CVT 133万9200円 丸型ヘッドライトを採用した標準型の販売主力グレード 自然吸気58psユニット搭載 ボディカラーは2トーン4種/モノトーン9色の計13タイプ スタイリングはキャラクターラインを排した造形
造形はシンプル。デザイナーが徹底的にこだわったプレーンスタイル
新型N-WGNを見て、まず感じた点は、すっきりした姿だということ。多くのキャラクターラインを使いがちな日本車としては、マツダ3と同じように異例だ。
試乗会でデザインとボディ設計の担当者に話を聞くと、「プレーンなデザインは開発当初からの目標。最初からシンプルな世界を目指していた」という回答が返ってきた。
それでも、ただ単にシンプルに作っただけでは、無味乾燥な道具となってしまう。N-WGNにはそうならないための工夫が込められている。
一見平板に思えるボディサイドは、実際は緩い曲面を描いている。乗員の肩の位置を盛り上げる手法でゆとりを表現し、その後は下に向けてへこんでいき、サイドシル付近で再び外に出ている。ホイールアーチも明確に張り出しているので、安定感がある。
1970年代の軽商用車、ステップバンを思わせる標準型のフロントマスクは、ヘッドランプを丸目(この特徴は第2世代のNシリーズに共通)として親しみやすさを表現しながら、きりっとした表情を表現するために真円の上の部分をカット。ここにウインカーを配置した。
一方のN-WGNカスタムは、クロームメッキの細かいパーツを整然と並べたフロントグリルと、角型ヘッドランプの組み合わせになる。カスタムという言葉から想像される、やんちゃな感じは薄れ、落ち着いた雰囲気になった。とはいえ、ボディサイドのデザインとの整合性は、標準型に軍配が上がるだろう。
ボディタイプは後席ヒンジ式ドアを持つ5ドアHB N-WGNの全高は1675mm N-BOX比で115mm低い
Kカー初、テレスコピックステアリング採用。シートはソフトな座り心地
インテリアはメーター、ディスプレイ、スイッチなど盛り込む要素が多い事情があり、エクステリアほど新鮮な印象はない。それでも配色にはこだわりを感じる。標準型のベージュ系の3色コーディネートはシックな色調で、日々の暮らしの延長でつきあえる。チタンカラーをあしらったブラック基調のN-WGNカスタムよりも、クルマのコンセプトに合った空間という印象を受けた。
シートはソフトな座り心地。運転席で便利だと感じたポイントは、軽自動車初のテレスコピックステアリングだ。ドライビングポジションの自由度が上がった。ハッチバックのコンパクトカーのように、背もたれを傾けた運転姿勢がとれるので、リラックスして乗れる。
後席は座面の傾きが少ないのが残念だが、座り心地は良好だ。スライドを最後方から少し前に出すと、フロアに傾きがついた場所に足を置くスタイルになり、自然な姿勢で座れる。この状態でも身長170cmのパッセンジャーなら足が組める。
後席の折りたたみは、背もたれを前に倒すだけのシンプルな方式。かなり低い位置から開くテールゲートと荷室を上下2段に区切れるボードが設定されており、使いやすいラゲッジスペースだと感じた。
インパネは水平基調 各部に小物入れを配置した実用設計 NーWGNはKカー初のテレスコピックステアリング(前後30㎜)装備 最適な運転姿勢が決まる
NAでもパフォーマンスは十分。ハイレベルの快適性に驚いた!
試乗車は自然吸気エンジン(58ps/65Nm)の標準型とターボ(64ps/104Nm)のカスタムだった。グレード名はどちらもLホンダセンシング。なお、新型N―WGNは、予防安全装備のホンダセンシングが全車標準。一部車種でレスオプションというシステムをとる。
同グレードのN-WGNより車重が約50kg軽いから、加速は自然吸気でも十分だ。5000rpmを超えると音が目立つようになるが、そこまで使う場面はほとんどない。もちろんターボのほうが力強いが、タービンなど補機類のノイズが気になることもあり、おとなしく走っているときの静粛性は自然吸気のほうが上だった。
標準型のサスペンションはかなりソフトだ。全高がN-BOX比で100mm以上低い点をメリットとして生かしたのだろう。軽自動車はもちろん、コンパクトカーまで比較対象に含めても快適性のレベルは高い。それでいてコーナーでのロールは抑えられており、安心感とともに心地よさが味わえる。カスタムも固いという設定ではないが、印象に残るのは標準型のほうだった。
最近は軽自動車でも高度な予防安全システムを備える車種が多くなった。高速道路ではホンダセンシングのアダプティブクルーズコントロールや車線維持支援システムなどが、このクラスで依然としてトップレベルの作動感だと確認した。これもまた軽自動車とは思えないほど高いリラックス感が得られる要因のひとつだ。
現在の軽自動車の人気の中心はN-BOXを含めたスーパーハイトワゴンだ。しかし、全高が低いほうがデザインや走りの自由度は高くなる。新型N-WGNはその事実を多くのユーザーにわかりやすく知らせてくれる1台である。生活に寄り添うフレンドリーモデルだ。
ホンダセンシング全車標準 衝突被害軽減ブレーキは夜間の歩行者や横断する自転車を検知する最新仕様 ボディ剛性は高く足回りはしなやか 走りの質感は高い
標準型のシートはソフトな座り心地のジャージー張り 後席はスライド&リクライニング機構付き 室内長205mm
ホンダN-WGNカスタムLターボ・ホンダセンシング(FF) 価格:7CVT 166万3200円 カスタムは9灯式LEDヘッドライトとクローム仕上げグリルを採用 ターボは64ps/104Nmを発生
※次ページでスペックを紹介
ホンダN-WGN・Lホンダセンシング主要諸元と主要装備
グレード=Lホンダセンシング(FF)
価格=CVT 133万9200円
全長×全幅×全高=3395×1475×1675mm
ホイールベース=2520mm
トレッド=フロント1305×リア1305mm
車重=850kg
エンジン=658cc直3DOHC12V(レギュラー仕様)
最高出力=43kW(58ps)/7300rpm
最大トルク=65Nm(6.6kgm)/4800rpm
WLTCモード燃費=23.2km/リッター(燃料タンク容量27リッター)
(市街地/郊外/高速道路=20.1/25.1/23.6km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=155/65R14+スチール
駆動方式=FF
乗車定員=4名
最小回転半径=4.5m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/可変バルブタイミング/自動無段変速機(CVT)/電動パワーステアリング
●主要装備:ホンダセンシング(衝突被害軽減ブレーキ+前後誤発進抑制機能+歩行者事故低減ステアリング+アダプティブクルーズコントロール[全車速対応]+車線維持支援システム+オートハイビーム+標識認識機能など)/パーキングセンサーシステム/マルチリフレクターハロゲンヘッドライト/電子制御パーキングブレーキ(オートホールド機構付き)/6エアバッグ/プラズマクラスターフルオートAC/ナビ装着用スペシャルパッケージ+ETC車載器/運転席シートヒーター/ジャージーシート/充電用USBジャック/リクライニング機構付きスライドリアシート/シートバックポケット/マルチインフォメーションディスプレイ/プッシュエンジンスタート/360度スーパーUV&IRカットパッケージ/14インチスチールホイール+フルホイールキャップ/フロントスタビライザー/スマートキー
●ボディカラー:ガーデングリーンメタリック&ホワイト(op5万9400円)
※価格はすべて消費税(8%)込み リサイクル費用は6880円
リアゲートは大開口 NーWGNは超低床設計 独創のセンタータンク方式の利点が生きる
荷室は上下2段に仕切れる設計 後席を使用した状態でタイヤ4本が積める 後席を倒すとフラット空間出現