フェラーリ・ジャパンは10月9日、ブランド初の市販PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)「SF90ストラダーレ(Stradale)」を日本で発表した。
▲フェラーリ・SF90ストラダーレ 価格:8DCT5340万円 全長4710×全幅1972×全高1186mm ホイールベース2650mm 車重1570kg タイヤサイズは前255/35ZR20/後315/30ZR20 公表値の最高速度は340km/hで0→100km/h加速は2.5秒
ワークスレーシングチームのスクーデリア・フェラーリ(Scuderia Ferrari)の誕生90周年を記念して名づけられた「SF90ストラダーレ」は、「ハイブリッドシステムを採用したほうがハイパフォーマンスなスポーツカーを造れる」という、フェラーリの確固たる信念をもって開発されたPHEVスポーツカーだ。パワーユニットはリアミッドシップに置かれた3990cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジン(780ps/800N・m)、前輪左右に独立配置された2基のモーターとエンジンおよびギアボックス間に設置したモーター(3基で計162kW=220ps)に容量7.9kWhの高性能リチウムイオンバッテリーという、計1000psの強心臓を搭載して4輪を駆動(e-4WD)する。エンジンと組み合わせるトランスミッションには、新設計の8速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を採用。性能面では、最高速度が340km/h、0→100km/h加速が2.5秒、0→200km/h加速が6.7秒、100km/hからの停止距離が29.5mを誇る。
▲ボディおよびシャシーは新設計。マルチマテリアルとマルチテクノロジーのアプローチによって新パワーユニットとAWDの導入に伴う応力の吸収に対応しながら、効率的に高剛性化と軽量化を果たした
ステアリングに配置したエレクトロニック・ビークルダイナミクス・モードセレクターの「eManettino(イーマネッティーノ)」によって、ドライバーは4つの走行モードを選択できる。まず「eドライブ」は、V8エンジンは停止したままで、駆動は前輪のモーターが担当。バッテリーがフル充電の状態から最大25kmまでの走行が可能だ。次に標準的なドライビングモードの「ハイブリッド」は、V8エンジンとモーターの稼働を制御ロジックが自己判断し、全体の効率性を最適化させる。3つめの「パフォーマンス」では、エンジンが稼働し続けると同時に、バッテリーは効率よりも充電を優先。よりパワーが必要であれば、瞬時に全体をフル活用する。そして4つめの「クオリティ」では、システム全体が最高出力を発揮。制御ロジックは、バッテリー充電よりもパフォーマンスを優先するという仕組みだ。
▲パワーユニットはリアミッドシップに置かれた3990cc・V8ツインターボエンジン(780ps)、前輪左右に独立配置された2基のモーターとエンジンおよびギアボックス間に設置したモーター(3基で計162kW=220ps)に高性能のリチウムイオンバッテリーで構成する
ボディおよびシャシーは新設計で、マルチマテリアルとマルチテクノロジーのアプローチによって、新パワーユニットとAWDの導入に伴う応力の吸収に対応しながら、効率的に高剛性化と軽量化を果たす。また、ビークルダイナミクスとしてeSSC(エレクトリック・サイドスリップコントロール)や新ブレーキ・バイ・ワイヤ・システムなども組み込んだ。
エクステリアの造形に関しては、フェラーリ・スタイリングセンターのデザインチームが担当。エアロダイナミクスや重量配分などを踏まえたうえで、フェラーリのスーパーカーからインスピレーションを得たスポーティかつ存在感あふれるデザインを構築する。フェラーリ初となるマトリックスLEDヘッドランプや水平イメージのテールランプ、コンパクトなドームフォルムのキャビンセクションなども印象的に仕上がった。
▲エクステリアはフェラーリ・スタイリングセンターのデザインチームが担当。エアロダイナミクスや重量配分などを踏まえたうえで、フェラーリのスーパーカーからインスピレーションを得たスポーティかつ存在感あふれるデザインを具現化する
インテリアについては、「手はステアリングホイールに」という発想から生まれた新しいヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)を導入したことがトピック。インパネからはスイッチの数が大幅に削減され、インストルメントクラスターにはフェラ-リ初の16インチのフルデジタルディスプレイが組み込まれる。また、走行に必要な各種情報をフロントガラスに映し出す最新のヘッドアップディスプレイも装備した。
SF90ストラダーレのグレード展開は、標準仕様とスポーツ志向のオプション装着車「アセットフィオラーノ(Assetto Fiorano)」の2タイプを用意。アセットフィオラーノには、専用カーボンファイバー製リアスポイラーやアルミ製マルチマチック・ショックアブソーバー&チタン製スプリング、カーボン製インテリアパーツなどを組み込んでいる。
日本でのSF90ストラダーレの車両価格は5340万円。アセットフィオラーノは570万円ほど高くなるという。