トヨタの新世代コンパクトカー「ヤリス」がワールドプレミア。日本での発売は2020年2月中旬を予定

トヨタが第4世代となる新型ヤリスを世界初公開。日本仕様も世界統一車名のヤリスに変更。ボディサイズは5ナンバー規格をキープ

 トヨタ自動車は1016日、新型ヤリス(YARiS)を世界初公開した。今回の全面改良で第4世代となる新型ヤリスは、従来、日本でヴィッツの車名で販売していたが、今回から世界統一車名のヤリスに改名することとなった。その理由は、新世代TNGAプラットフォームを初採用したこと、ひとクラス上のクルマを目指して開発したこと、既存のセカンドカー的なポジションから社会情勢を踏まえたファーストカーに移行したことなどにあるという。

YARIS1.jpg▲新型トヨタ・ヤリス(プロトタイプ) 従来は日本でヴィッツの車名で販売していたが、今回から世界統一車名のヤリスに変更する。日本における市販モデルの発表は本年12月中旬、発売は来年2月中旬(ガソリン車の4WD4月)を予定

 基本骨格に関しては、前述の新世代TNGAプラットフォームのGA-Bを採用したことが訴求点。従来型に比べて車両重量を50kg軽量化(ハイブリッド車で1050kg)したうえで、ねじり剛性を30%以上強化。また、重心高を15mm下げて優れた操縦安定性と上質な乗り心地を実現する。シャシー面では、新設定のE-Fourのリアサスに新開発の2リンク・ダブルウィッシュボーンを採用したことがトピック。また、全モデルで稼動部の摩擦低減やホイール軌跡の後傾化、平行配置トーコレクトブッシュの採用、ステアリング支持剛性のアップなどを実施し、"安定していて安心""意図通りで自然"のパフォーマンスを具現化した。

YARIS4.jpg▲基本骨格には新世代TNGAプラットフォームのGA-Bを採用。従来型に比べて車両重量を50kg軽量化(ハイブリッド車で1050kg)したうえでねじり剛性を30%以上強化。また、重心高を15mm下げて優れた操縦安定性と上質な乗り心地を実現した

 パワートレインは、ロングストローク(ボア80.5×ストローク97.6mm)やバルブ挟角拡大などで高速燃焼システムを確立した新開発のM15A1.5リットル直列3気筒ダイナミックフォースエンジン+発進用ギア付きDirect Shift-CVT6MT、高タンブル流や高EGR(排気再循環)率などを果たした改良版の1KR1リットル直列3気筒エンジン+新開発Super CVT-i、そして専用セッティングを施した新開発のM15A1.5リットル直列3気筒ダイナミックフォースエンジンにトルクアシストを増加させたモーター、RC-IGBT採用の小型パワースタックや高性能マイコンなどを組み込んだパワーコントロールユニット(PCU)、複軸化によりモーター高回転とPCU直載を実現したトランスアクスル、充電量および放電量を拡大した駆動用リチウムイオン電池で構成する新世代ハイブリッドシステムの3機種を搭載する。駆動方式は1.5リットルエンジンが2WDFF)と4WD1リットルエンジンが2WDFF)、ハイブリッドが2WDFF)とE-Four(電気式4WDシステム)を設定した。

YARIS5.jpg▲新ハイブリッドシステムは新開発のM15A1.5リットル直列3気筒ダイナミックフォースエンジンにトルクアシストを増加させたモーター、RC-IGBT採用の小型パワースタックなどを組み込んだPCU、複軸化によりモーター高回転とPCU直載を実現したトランスアクスル、充電量および放電量を拡大した駆動用リチウムイオン電池で構成する

 エクステリアについては、大胆(BOLD)に、活発に(BRISK)に、そして美しく(BEAUTY)、鋭い加速で弾丸(BULLET)のようにダッシュする!という"B-Dash"をデザインコンセプトに据える。基本フォルムは"黒豆"をイメージ。小さくて艶やかな見た目が、新世代コンパクトカーのルックスにマッチすることが理由だ。ディテールにも徹底してこだわる。フロントマスクは大胆にグリルへと向かう"全体から前に押し出す動き"により、力強さと精悍さを創出。また、ヘッドランプ上面やグリル中央にヤリスの"Y"を意識したキューブパターンの柄を入れ、個性をより強調した。サイドビューは前傾したキャビンとカウンターでせり上がるようなアンダーボディで躍動感を、リアフレアで軽快さと踏ん張り感を、ロッカーモールで低重心な構えを表現。リアセクションはウィンドウとコンビランプをひと括りのグラフィックでまとめた印象的なアッパー、タイヤの張り出しを強調したバンパー造形などが特徴だ。

YARIS2.jpg▲ボディサイズは3940×1695×1500mm/ホイールベース2550mmに設定。従来のヴィッツに比べて全長が5mm短く、ホイールベースが40mm長い、5ナンバー枠のディメンションに仕立る。写真のボディカラーは新色のコーラル・クリスタルシャイン+ブラックルーフ

 ボディカラーは日本文化の独創性と遊び心を活かした"J-FASCINATING"と称する全12色を設定。このうち、コーラル・クリスタルシャインとアイスピンク・メタリックが新規開発色だ。加えて、ブラックまたはホワイトのルーフ色と組み合わせた全6色も用意する。一方、ボディサイズは3940×1695×1500mm、ホイールベース2550mmに設定。従来のヴィッツに比べて全長が5mm短く、ホイールベースが40mm長い、5ナンバー枠のディメンションに仕立てている。

YARIS3.jpg▲フロントマスクは大胆にグリルへと向かう"全体から前に押し出す動き"により力強さと精悍さを創出。ヘッドランプ上面やグリル中央にヤリスの"Y"を意識したキューブパターンの柄を入れた

 インテリアのキーワードは"SPORTECH-COCOON"。楽しく操る機能部品と、心地よい素材感に包まれた空間との対比が特徴だ。ダッシュボードは上級クラスの比率を参考に、断面を薄く、幅はよりワイドにデザイン。また、計器盤にはフードレス双眼デジタルTFTメーターを、ステアリングには小径リングと小径パッドを組み合わせたΦ365mmの新タイプを装備する。上級グレードには、スラッシュ(ソフト)素材のインパネや新フェルト素材のドアトリムなどを採用した。内装色にはクレールトープのハイグレードタイプなど、エフォーストな新規カラーを用意。シートは肩回りもサポートするスポーティなタイプや、ラメプリントを配したファブリック表地タイプなど、グレードの性格に即した仕様を設定した。

YARIS6.jpg▲ダッシュボードは上級クラスの比率を参考に、断面を薄く、幅はよりワイドにデザイン。計器盤にはフードレス双眼デジタルTFTメーターを、ステアリングには小径リングと小径パッドを組み合わせたΦ365mmの新タイプを装備する

 安全・運転支援機構の拡充にも抜かりはない。自転車や夜間の歩行者検知が可能な最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備。また、高度駐車支援システム「Advanced Park」やセカンダリーコリジョンブレーキ、イージーリターンシート、ターンチルトシート、外部給電機能なども組み込む。さらに、ディスプレイオーディオ(DA)およびDCM(車載通信機)を標準装備し、スマートフォンと機能を連携するとともに、すべてのユーザーがコネクティッドサービスを利用できるように設定した。

 なお、日本における市販モデルの発表は本年12月中旬、発売は来年2月中旬(ガソリン車の4WD4月)を予定。グレード体系は、1KR1リットル直列3気筒エンジン+Super CVT-i搭載車で2WDXXMパッケージ/GM15A1.5リットルエンジン+Direct Shift-CVT搭載車で2WDまたは4WDXGZM15A1.5リットルエンジン+6MT搭載車で2WDXGZ、ハイブリッド仕様で2WDまたはE-FourのハイブリッドX/ハイブリッドG/ハイブリッドZというラインアップを予告している。

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