アルピナは10月23日、東京モーターショー2019において新世代サルーンの「B3 Limousine Allrad(リムジン・アルラッド)」を世界初公開した。ちなみに、アルピナが東京モーターショーにブースを構えるのは、1989年の初出展以来、連続して17回目。しかも、ワールドプレミアのニューモデルを数多く発表している。日本総代理店のニコル・オートモビルズとともに展開する、この日本における真摯な活動が、根強いアルピニストを生み出す要因のひとつなのかもしれない。
▲アルピナB3 Limousine Allrad 全長4719×全幅1827×全高1440mm ホイールベース2851mm 車重1785kg パワートレインには最新世代のS58型2993cc直列6気筒DOHCビ・ターボエンジン(462ps/700N・m)+アルピナ・スウィッチ・トロニック付き8速スポーツ・オートマチックを搭載。駆動機構にはBMW xDriveをベースとした専用セッティングのAWDシステムを採用する
今回ワールドプレミアを果たした「B3 Limousine Allrad」は、新時代のアルピナの幕開けを告げる新型車で、いかなる走行状況であっても、エキサイティングでダイナミックなドライビング・エクスペリエンスを感じさせるモデルである。ベースとなるのは、2019年に発売された第7世代のG20型系BMW3シリーズ。搭載エンジンには、ビ・ターボ・チャージング・システム(ツインターボ・システム)を組み込んだ最新世代のS58型2993cc直列6気筒DOHCユニットで、最高出力462ps/5000~7000rpm、最大トルク700N・m/3000~4250rpmを発生。熱対策として、大容量のインタークーラーや大径化したクーリングエアダクト、そして1000Wの電動ファンを組み合わせたパワフルなメイン・クーリング・パッケージ、これを補完する2つの外部サブクーラー、アンダーボディに配したNACAダクトなど、アルピナ独自のクーリングシステムを鋭意採用する。また、排気系にはステンレススチール製のアルピナ・エグゾーストシステムをセットし、排圧を効果的に減少。エグゾーストサウンドは調整が可能で、コンフォートモードでは控えめに、スポーツモードではよりダイナミックなサウンドを響かせる。ガソリン・パティキュレート・フィルターを内蔵するなど、最新の排出ガス後処理技術も導入した。
トランスミッションはZF社と共同開発したアルピナ・スウィッチ・トロニック付き8速スポーツ・オートマチック(ZF 8HP76)で、強化型のトルクコンバーターと組み合わせる。また、ドライビング・ダイナミクスを高めるために、リアの電子制御式アクティブLSDを用意。駆動機構にはBMW xDriveをベースとした専用セッティングのAWDシステムを採用し、ドライビング・エクスペリエンス・コントロール・スイッチがどの走行モード(コンフォート・プラス/コンフォート/スポーツ/スポーツ・プラス)に設定されているかに応じて前後トルクを最適調整、かつアルピナ独自のリア寄りの駆動力配分とする設定を施した。性能面では、0→100km/h加速が3.8秒、巡航最高速度が303km/hを達成する。
▲2組のツインテールパイプを備えたアルピナ・スポーツ・エグゾースト・システムをリアエプロンのフォルムと美しく一体化。中央に配置された小型のディフューザー・フィンも印象的だ。性能面では0→100km/h加速が3.8秒、巡航最高速度が303km/hを達成する
足回りについては、アルピナ独自のピボット・ジョイントによってフロントのキャンバーのネガティブ設定を増やしたほか、アイバッハ社製のスプリングおよびバンプストッパーや大径のスタビライザーなどを装着し、ダイナミックなコーナリングでも優れたバランスと安定性を発揮する。また、コンフォート・プラス/コンフォート/スポーツの3つの走行モードが選べるバリアブル・ダンパー・コントロールも設定した。一方、制動機構には、フロントに4ピストン固定キャリパーと395mm径のブレーキディスク、リアにフローティングキャリパーと345mm径のブレーキディスクを採用。ブレーキキャリパーはアルピナ・ブルーに塗装し、ホワイトの"ALPINA"のロゴを入れる。オプションとして、軽量構造のドリルド・ブレーキディスクと耐熱性能の優れるパッドを組み合わせた高性能ブレーキシステムを用意した。シューズには新開発のアルピナ・ダイナミック・ホイール・セット(前8.5J×19ホイール+255/35ZR19タイヤ、後9.5J×19ホイール+265/35ZR19タイヤ)を標準で装着。また、オプションとしてアルピナ・クラシック・鍛造ホイール・セット(前8.5J×20ホイール+255/30ZR20タイヤ、後9.5J×20ホイール+265/30ZR20タイヤ)を設定した。
デザイン面については、「形態は機能に従う(Form Follows Function)」というアルピナの哲学を踏襲しながら、最新のアレンジを施す。車両前方ではエアインテークを最適化して冷却性能を向上させたほか、車両前方と後方のエアロダイナミクスにより揚力を最小限に抑え、高速安定性を効果的にアップ。また、フロントスポイラーの大型のエアインテークに "ALPINA"のロゴをあしらったほか、2組のツインテールパイプを備えたアルピナ・スポーツ・エグゾースト・システムをリアエプロンのフォルムと美しく一体化した。外板色はアルピナ専用のアルピナ・ブルーとアルピナ・グリーンを筆頭に、BMW社から豊富なボディカラーとIndividualボディカラーが提供される。
▲アルピナ車らしい上質で華やか、かつスポーティなレザーシートを装着。新しいアルピナ・デザインのフルカラーのデジタルメーター・ディスプレイも組み込んでいる
インテリアに関しては、フロアマットとシート・バックレストのメタルエンブレム、アルピナ・ドアシルプレート、製造番号を刻印したアルピナ・プロダクションプレートなど、アルピナのクラシックなディテールによってスタイリッシュかつスペシャルな雰囲気を創出する。また、ヒーター機能を備えたアルピナ・スポーツステアリングホイールにはラヴァリナ・レザーを贅沢に使用。従来のアルピナ車と同様、アルピナのレザー・ワークショップによる豊富なカスタマイズも可能だ。最新の機能性をコクピットに盛り込んでいることも特徴で、タッチディスプレイやダイレクト選択ボタン、iDriveコントローラー、ボイス/ジェスチャー・コントロールなど、卓越したユーザーエクスペリエンスが体感できる装備を積極的に採用。また、新しいアルピナ・デザインのフルカラーのデジタルメーター・ディスプレイは、充実した構成オプションとカスタマイズを可能としており、同時に大型ディスプレイ・コンビネーションの一部を形成している。
なお、B3 Limousine Allradの日本での車両価格は1229万円に設定。予約注文はすでに受け付けており、ユーザーへの納車は2020年秋からを予定している。