トヨタ・カローラ・ツーリング・ハイブリッドW×B(FF) 試乗記
トヨタ・カローラ・ツーリング・ハイブリッドW×B(FF) 価格:THS 279万9500円 ハイブリッドは従来の1.5リッター+モーターからプリウスと共通の1.8リッター+モーターに変更 駆動方式はFFと4WD(19万8000円高)の2タイプ
若々しいデザイン。パワーユニットは3種から選べる
1966年のデビューから、じつに53年_ 日本だけでなく、世界のベストセラーカーとして独自の道を歩んできたカローラの12thモデルに初試乗した。新登場したのは、ツーリングのサブネームがつくワゴンとセダンの2種。ひと足早く登場したHBのスポーツを含め、新型は3種のボディラインアップから選べる。
ツーリングとセダンのパワーユニットは、1.8リッター自然吸気(140ps)と1.8リッターハイブリッド(98ps+モーター)、そして1.2リッターターボ(116ps)をラインアップ。1.2リッターターボのトランスミッションは6速MTのみ。試乗はできなかったが、ベーシックモデルであると同時に、スポーツ仕様ともいえる。
デザインは若々しく魅力的。切れ長ヘッドライトからつながるグリルは、いわゆるトヨタ顔。それに合わせたボディのマッシブな面構成、抑揚のあるウエストラインと後方に切れ上がるウエッジシェイプが目を引く。新鮮な造形は、カローラのイメージを見事に刷新した。
とくにツーリングは、リアゲートの角度を寝かせたフォルムが印象的で、斜め後方からの眺めは一見「スポーツワゴン」のよう。爽快な走りを連想させる。
ラゲッジ容量は通常で392リッター、後席をたたむと最大で802リッター(ともにVDA法計測値)。リバーシブルデッキボードを備え、荷室側面のレバーでシートバックが倒せるなど使い勝手はハイレベル。このクラスのワゴンとして、実用性とファッション性を両立させている。
全長×全幅×全高4495×1745×1460mm グローバル仕様と比較すると全長は155mm短く全幅は45mm狭い 日本の道路&駐車場事情にマッチしたコンパクト設計 写真はルーフレール(op3万3000円)装着車
走りの性能はトヨタ車最新! 加速はスムーズ&ダイレクト
ボディサイズは全長×全幅×全高4495×1745×1460mm。日本の道路環境で自在に使いこなせるよう欧米で販売するグローバル仕様より全長が155mm短く、全幅は45mm狭い。あえて前後フェンダーやドアにコストをかけて全幅を抑えた日本専用ボディを開発したのだ。実用性が高いのは間違いない。狭い道や駐車時にこのサイズ設定はうれしい。のびやかな印象と扱いやすさを追求したデザイナーの手腕が光る。
走りの性能はトヨタ車最新。ドライバーが感じる動きを解析し最適化した専用チューニングの足回りと、高度化した各種制御により「安心かついつまでも乗っていたくなる走りを目指した」(メーカー)という。
具体的には「ドライバーの視界から入る情報と路面からの入力に対するクルマ側の動き、そしてドライバーの視線の移動を自然に抑える技術で、クルマとの一体感を高めた」とエンジニアは説明してくれた。
ツーリングはハイブリッドW×Bを試乗。1.8リッターエンジン(98ps/142Nm)とモーター(72ps/163Nm)を組み合わせたハイブリッドの完成度は、きわめて高い。アクセルの踏み込み量に対するエンジンとモータートルクの立ち上げ方は見事だ。
フル加速時はエンジン回転の上昇に応じてモーターがやや早回ししながらアシスト。回転に応じた速度感以上の、ドライバーの期待値をわずかに上回る加速Gを示す。このダイレクト感は心地よい。
プリウスの加速も優れているが、カローラはアクセルストロークがやや短くダイレクトな点と、制御の変更でいっそうリニア感が増している。低速走行における自然な応答性も見事だ。WLTCモード燃費は25.6km/リッターをマークする。
インパネはシンプルで開放的な造形 W×Bは各部ソフトレザー仕上げ ステアリング部にはクルーズコントロールやオーディオのコントロール系を配置 ステアリングは操作に対しクルマの動きが予測しやすい素直な特性 操舵フィールは滑らか
旋回性は見事! まるでプレミアムクラスのような滑らかさ
ブレーキはペダルストロークに対して弾性感がなくリニアに利く。減速Gの強弱コントロール性にも優れ、信頼できるブレーキだ。
リア荷重が増える使い方を想定したツーリングだが、走行性にリアの固さ感はない。高速で大きめの段差を通過した際も、前後サスペンションは位相遅れを整えてストローク。車体の揺れに前後の遅れを生じさせない。上下動を一発で減衰し、収束させる。
ステアリングを操作した操舵トルクが自然にジワリと立ち上がり、クルマの動きが予測しやすい点にも好印象を抱いた。旋回性はリニアな感触。プレミアムクラスのような滑らかさで、自然なノーズの動きを展開する。
気になったのは、優れた乗り味とは裏腹に、ロードノイズが目立つ点である。路面の変化に応じて、ガー、ゴー音が室内に響く。リアタイヤハウス回りや、荷室から侵入する高周波のノイズが気になった。開発陣はこの弱点を把握済みだから、早いタイミングで打開策を見いだすに違いない。
カローラのフレッシュさは見た目だけではない。クルマを操る操作性の進化が、走る楽しさを伝える。使い勝手の自由度が高いツーリングは、注目に値するニューカマーだ。
W×Bグレードのフロントマスクはメッキモール付き グリルは艶ありブラック フォグランプ標準
ヘッドライトはバイビームLED オートマチックハイビーム機能標準
W×Bは合成皮革+レザテック素材のスポーティシート標準 シートカラーはブラック標準 写真のホワイトはop(2万8600円) 室内長1795mm
外部通信機能付き7インチディスプレイオーディオ標準 写真の9㌅仕様はop(2万8600円) ナビはスマホアプリとディーラーopキット(11万円)で機能
※次ページでスペックを紹介
トヨタ・カローラ・ツーリング・ハイブリッドW×B主要諸元と主要装備
グレード=ハイブリッドW×B(FF)
価格=THS 279万9500円
全長×全幅×全高=4495×1745×1460mm
ホイールベース=2640mm
トレッド=フロント1510×リア1520mm
最低地上高=130mm
車重=1390kg
エンジン=1797cc直4DOHC16V(レギュラー仕様)
最高出力=72kW(98ps)/5200rpm
最大トルク=142Nm(14.5kgm)/3600rpm
モーター最高出力=53kW(72ps)
モーター最大トルク=163Nm(16.6kgm)
WLTCモード燃費=25.6㎞/リッター(燃料タンク容量43リッター)
(市街地/郊外/高速道路=24.8/27.6/24.8㎞/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーン
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=215/45R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.3m
●主な燃費改善対策:ハイブリッド/アイドリングストップ/電気式無段変速機/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/充電制御
●主要装備:トヨタセーフティセンス(プリクラッシュセーフティ+レーントレーシングアシスト+レーダークルーズコントロール+オートマチックハイビーム+ロードサインアシスト)/インテリジェントクリアランスソナー/バイビームLEDヘッドライト/時間調整式ワイパー/オート電動格納式リモコンドアミラー/7エアバッグ/前後スタビライザー/前後エアスパッツ/電動パーキングブレーキ/ばね上制振制御/本革巻きステアリング/スマートエントリー&スタートシステム/ドライブモードセレクト/オプティトロンメーター+7インチTFTマルチインフォメーションディスプレイ/合成皮革+レザテックシート(ブラック)/合成皮革インスツルメントパネル/オートAC/リバーシブルデッキモード/7インチディスプレイ+4スピーカー/DCM(専用通信機)/バックガイドモニター/充電用USB端子(3個)
●装着メーカーop:合成皮革+レザテックシート(ホワイト)+ステアリングヒーター+前席シートヒーター2万8600円/イルミネーテッドエントリーシステム1万3200円/カラーヘッドアップディスプレイ4万4000円/LEDリアフォグランプ1万1000円/ブラインドスポットモニター+リアクロストラフィックオートブレーキ6万6000円/ディスプレイオーディオ2万8600円/ルーフレール3万3000円/エアクリーンモニター+ナノイー1万4300円/アクセサリーコンセント(AC100V・1500W)4万4000円/おくだけ充電1万3200円
●ボディカラー:スパークリングブラックパールクリスタルシャイン(op3万3000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は9730円
リアゲートは軽量樹脂製 開口部は使い勝手に優れた大型サイズ 開閉は手動式
荷室容量は通常時392リッター 最大802リッターに拡大 6対4分割の後席は荷室側から倒せる