メルセデス・ベンツ日本は11月12日、CLA/CLAシューティングブレークに高性能モデルの「メルセデスAMG CLA 45S 4マチック+」と「メルセデスAMG CLA 45S 4マチック+ シューティングブレーク」を設定し、同日より注文受付を開始した。車両価格はCLA 45S 4マチック+が856万円、CLA 45S 4マチック+ シューティングブレークが866万円。ユーザーへの納車は本年12月以降を予定する。
▲メルセデス・ベンツCLAクラスの最強バージョンとなるメルセデスAMG CLA 45S 4マチック+(写真・右)とメルセデスAMG CLA 45S 4マチック+ シューティングブレーク(同・左)。2リットルクラス"世界最強"を謳う搭載エンジンのM139ユニットは"One man, One engine"の哲学にのっとり、職人の手作業で組み立てられる
今回の追加モデルの最大の注目点は、2リットルクラス"世界最強"を謳う4気筒ターボエンジンの搭載にある。M139の型式を冠する1991cc直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボユニットは、電子制御ウエストゲートの採用によって過給圧をより正確かつ柔軟に制御したうえで、最大過給圧を2.1barへとアップ。また、ターボチャージャーのコンプレッサーおよびタービンのシャフトにローラーベアリングを導入して機械的摩擦の低減を図る。さらに、ターボチャージャーの冷却にはオイルと冷却水だけではなく、外気も利用する目的でエンジンカバーをエアディフレクターとして働くよう設計するとともに、ボンネット下にはダクトを設定した。シリンダーブロック自体には、高剛性なクローズドデッキ構造を採用。同時に、シリンダー壁面にNANOSLIDE加工を施して摩擦損失を低減させる。最高出力は量産の2リットル4気筒エンジンとしては世界最高の421ps/6750rpmを発生。最大トルクは500N・m/5000~5250rpmを絞り出す。一方、レイアウトにも工夫を凝らし、ターボチャージャーとエグゾーストマニホールドをエンジン本体の後方に、インテークマニホールドなどの吸気系をエンジン本体の前方に配置。これによりエンジン搭載位置を下げることができ、操縦性能および空力性能のさらなる向上を成し遂げた。
▲M139型1991cc直列4気筒DOHC直噴ガソリンターボユニット。最高出力は421ps/6750rpm、最大トルクは500N・m/5000~5250rpmを発生する
高性能エンジンに組み合わせるトランスミッションには、シフトダウン時のブリッピング機能などを組み込んだ専用セッティングの8速AMGスピードシフトDCTを設定する。駆動機構には、走行状況またはドライバーの意思に応じて前後トルクを100:0~50:50で配分し、さらにリアディファレンシャルに電子制御式の多板クラッチを2つ備えてそれぞれを左右のドライブシャフトに接続して左右トルクを可変配分するAMG TORQUE CONTROLを組み込んだ、電子制御4輪駆動システムのAMG 4マチック+を採用した。
シャシーに関しては、フロントセクションのねじり剛性の向上を狙って、エンジンルーム下部へのアルミニウムのプレートの設定やストラットタワーバーの追加などを実施。また、アンダーボディの前部と後部に斜めのストラットを増設して、剛性の強化を図る。一方、サスペンションには専用開発のスプリングやサブフレームなどを装備したうえで、電子制御ダンパーを組み込むAMG RIDE CONTROLサスペンションをオプション設定した。ブレーキ機構の強化にも抜かりはない。フロントには6ピストン固定キャリパーとΦ360×36mmディスク、リアには1ピストンフローティングキャリパーとΦ330×22mmディスクを装備。ディスクには放熱性に優れるドリルドベンチレーテッドタイプを組み込み、ブレーキキャリパーにはAMGロゴ入りレッドペイント仕上げを採用した。
▲メルセデスAMG CLA 45S 4マチック+ 価格:8SATC856万円 全長4693×全幅1857×全高1413mm ホイールベース2729mm 乗車定員5名 ハンドル位置は右
ドライビング性能を高める先進機構のAMG DYNAMIC SELECTを装備したことも注目ポイントだ。AMG DYNAMIC SELECTはパワートレイン(リデュースト/モデレート/スポーツ/ダイナミック)、トランスミッション(自動/手動)、AMGダイナミクス(ベーシック/アドバンスト/プロ/マスター)、エグゾーストシステム(バランスト/パワフル)、サスペンション(コンフォート/スポーツ/スポーツプラス)の特性を効率的に変化させるシステムで、ドライブモードとしてはスリッパリー(滑りやすい路面)、コンフォート、スポーツ、スポーツプラス、レース、インディビジュアルという6つのモードを設定している。また、各ドライブモードと独立してESPの設定をESP ON、ESP SPORT Handling、ESP OFFの3パターンから選択できるようにアレンジした。
エクステリアについては、メルセデスAMGモデルならではの高いパフォーマンスを感じさせる要素を随所に取り入れたことが特徴だ。フロント部には下側の幅が広く、縦にルーバーが入ったAMG専用ラジエターグリルを採用。また、フロントエプロンにはジェットウイングデザインを、フロントスプリッターには前輪の前方でサイドエアカーテンに滑らかにつながる新造形を導入する。一方、サイドビューは通常のCLAよりも12mm拡大したフロントフェンダーやAMGサイドスカート、19インチAMG5ツンスポークアルミホイール+255/35R19タイヤなどによってアスレチックな力強さを強調。リアセクションは専用デザインの大型ディフューザーやクローム仕上げで円形のデュアルエグゾーストエンド、AMGルーフスポイラーリップなどによりスポーティでハイパフォーマンスなキャラクターを体現した。
▲メルセデスAMG CLA 45S 4マチック+ シューティングブレーク 価格:8SATC866万円 全長4693×全幅1857×全高1415mm ホイールベース2729mm 乗車定員5名 ハンドル位置は右
内包するインテリアにも、高いパフォーマンスを感じさせる要素を豊富に盛り込む。コクピットディスプレイは"スーパースポーツ"を含むAMG専用の表示スタイルから選択可能。ステアリングにはフラットボトム型となるナッパレザー&DINAMICAのAMGパフォーマンス ステアリングホイールを装着する。フロントシートは、ヘッドレストとバックレストが一体化したセミバケットタイプのスポーティなデザインが標準。AMGパフォーマンスパッケージを選択した場合は、サポート性を高めたAMGパフォーマンスシートが備わる。また、サーキット走行時に80件以上の車両データ(車速、加速度など)を常時記録し、各種データをワイドスクリーンディスプレイやコクピットディスプレイ、ヘッドアップディスプレイに表示することができるAMGトラックペースも装備した。
機能面では、対話型インフォテインメントシステム「MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」の搭載がトピック。自然対話式音声認識機能は多くのインフォテインメント機能(目的地入力、電話通話、音楽選択、メッセージ入力・読み上げ、気象情報)に加え、クライメートコントロールや各種ヒーター、照明など多様な便利機能にも対応する。さらに、スマートフォンのコネクティビティ関連機能も拡張され、Qi規格対応機種の携帯電話を無線充電するワイヤレスチャージング機能を前席に標準装備した。安全・運転支援システムに関しても充実しており、高度化されたステレオマルチパーパスカメラとレーダーセンサーの働きにより周囲の交通状況をより的確に把握することができるようになった進化版のレーダーセーフティパッケージやドライブアウェイアシスト/アクティブパーキングアシストなどを組み込んでいる。