ダイハツとトヨタで販売。小粒でピリリと辛い、コペンGRスポーツの「気持ちのいい世界」とは

コペンGRスポーツ 試乗記

メインIMG_5600.JPGコペンGRスポーツ 価格:5MT 243万5000円/7CVT 238万円 2019年1月の東京オートサロンに出展されたモデルの市販バージョン 「意のままに操れる気持ちのいい走り」をテーマに開発

ダイハツとトヨタの情熱の結晶。ボディは徹底強化

 もっとスポーティなコペンがほしい――そんな声を受けてコペンGRスポーツがデビューした。コペンGRスポーツは、2019年の東京オートサロンでサプライズ展示が行われ、話題を集めたファインチューンドカーだ。

「トヨタがモータースポーツ活動を通じて培った知見を共有し、ダイハツが開発を行った」というコラボレーションモデルである。ダイハツ店とトヨタの全ディーラーで販売される。GRブランドとしては初の軽自動車だ。

 これまでのコペンにあったどの仕様とも一線を画したシャープな表情のフロントマスクは、水平基調かつワイド感を強調したGRモデルの流儀に沿った仕上がり。スポーツモデルらしく、ボディ各部の形状は空力性能向上に配慮しながら決定したという。床下にスパッツを採用するなど、目に見えない部分にも気を配っている。

 ルーフは、リトラクタブル式の電動オープンシステムを継承。コペン最大の特徴だけに、走り重視モデルでありながら、「軽量化のために外すという選択肢はなかった」という。

 ただし、オープンボディゆえのウイークポイントを改善するために、剛性向上対策は徹底している。

 ダイハツがD―フレームと呼ぶ、オープンボディ用の骨格構造を踏襲したうえで、専用ブレースを床下のフロントとセンター部分に追加して局部剛性を向上。そして専用チューニングが施されたサスペンションと、専用設定のパワーステアリングを採用した。5速MT仕様にはLSDを組み込み、走りの強化を図っている。

IMG_5612.JPGGRスポーツは従来のローブ/Xプレイ/セロに続く第4の個性 コペンはDーフレームと呼ぶ独特のボディ構造を採用 主要ボディパネルは樹脂製

レカロシート標準。パワーユニットは64psターボ!

 コペンGRスポーツのドアを開ける。目に飛び込んできたのは、標準仕様よりも明らかにスポーティなインテリア。センタークラスターとドアグリップ部のピアノブラック加飾は、このモデル専用のコスメティック。そして最も目を引くアイテムは、GRのロゴ入りレカロシートだ。本格スポーツカーらしい雰囲気を大いに高めている。

 一方、物足りないのはステアリングホイールとメーターのグラフィック。前者は名門モモ製だが、ぼってりと大きなセンターパッドがスポーツカーらしくない。速度計は140km/hスケールで、目盛りは大ざっぱ。実用車風で残念だ。

 5速MTとCVTが設定されるコペンGRスポーツのうち、今回の試乗車は5MT。エンジンは658ccの直3DOHC12Vターボ。スペックは64ps/6400rpm、92Nm/3200rpm。車重は850kgで駆動方式はFFだ。エンジンはとくに手を加えられていない。

メイン02IMG_5704.JPG室内は各所にピアノブラック加飾を施し上質な精悍さを表現 ステアリングはモモ製本革巻き 電動パワーステアリングはしっかり感を高めた専用制御 タイトさが車両との一体感を高める

冴えるフットワーク!日本が誇る超コンパクトスポーツ

「64ps自主規制」の関係もあり、加速力は「それなり」というのが実感。ファインチューンド・オープンKカーの「好敵手」といえるホンダS660モデューロXとの重量差はわずかに10㎏。実際、両車の加速感は甲乙つけがたい。

 走りのテイストで最も感心した点はフットワーク。深い舗装の継ぎ目が連続する西湘バイパス(神奈川県)を走行しても、いっさい跳ねない。路面をなめるように走ってくれるという点では、S660よりもわずかだが上を行っている印象である。

 高い直進性やクルージング時のフラット感は、コペンもS660もKカーとしてトップクラス。ともに70km/h付近から「空力性能」が実感できる。

 S660に軍配が上がるのはトランスミッション。コペンの5速に対してS660は6速。コペンで高速クルージング中、存在しない第6速を目がけて何度もシフトアップをしたくなった。

 いずれにしても、これまでダントツといえた走りのポテンシャルを備えるS660モデューロXに対して、一矢を報いた実力派がコペンGRスポーツ。走りの完成度は高く、しかも楽しい。残念な点は、日本の財産ともいうべき超コンパクトスポーツカーが、国内でしか活躍の舞台を持たないこと。海外でも注目しているファンは多いのではないだろうか。

IMG_6062.JPG路面をなめるようにとらえるフットワークが印象的 高速走行時の安定性はハイレベル 操縦フィールは軽快で楽しい

オープン01IMG_5631.JPGオープン02IMG_5638.JPGオープン03IMG_5644.JPG電動開閉式アクティブトップは約20秒でオープン/クローズができる 開閉動作はスムーズ クローズド時の耐候性は高水準 トランク容量も実用的なサイズ

IMG_5738.JPGサポート性に優れたレカロシート標準 素材はスエード調ファブリック 着座位置は低い オープン時の開放感は最高

※次ページでスペックを紹介

コペンGRスポーツ主要諸元と主要装備

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グレード=GRスポーツ(MT)
価格=5MT 243万5000円
全長×全幅×全高=3395×1475×1280mm
ホイールベース=2230mm
トレッド=フロント1310×リア1295mm
車重=850kg
エンジン=658cc直3DOHC12Vターボ(レギュラー仕様)
最高出力=47kW(64ps)/6400rpm
最大トルク=92Nm(9.4kgm)/3200rpm
WLTCモード燃費=18.6㎞/リッター(燃料タンク容量30リッター)
(市街地/郊外/高速道路=14.2/20.0/20.4_㎞/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ドラム
タイヤ&ホイール=165/50R16+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=2名
最小回転半径=4.6m
●主な燃費改善対策:可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/オルタネーター回生制御(充電制御)
●GRスポーツ専用装備:前後ブレース/スポーツサスペンション/電動パワーステアリング専用制御/BBS製鍛造16㌅アルミ/専用前後デザイン/モモ製本革巻きステアリング/レカロシート(スエード調)/自発光式3眼メーター/ブラックインテリアカラーなど
●主要装備:アクティブトップ(ブラック塗装)/樹脂製ボディパネル/LEDヘッドライト(ブラックエクステンション)/フロントLEDフォグランプ/カーボン調センタークラスター/クラッチスタートシステム/デュアルSRSエアバッグ/キーフリーシステム/トランクフードイージークローザー/前後スタビライザー/フロントスーパーLSD/チルトステアリング/オートAC/スカッフプレート/ブリヂストン・ポテンザRE050Aタイヤ/エマージェンシーストップシグナル/シートヒーター
●ボディカラー:パールホワイト3(op2万2000円)
※2019年10月デビュー ※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は8930円

IMG_5690.JPG658cc直3DOHC12Vターボ 64ps/6400rpm 92Nm/3200rpm スペックは標準車と共通 WLTCモード燃費:18.6km/リッター(MT)

IMG_5673.JPG165/50R16BSポテンザRE050A+マットグレイ塗装BBS製鍛造アルミ装着

IMG_5686.JPG排気エンドはユニークな形状の左右ツイン 力強い音質

IMG_5608.JPGボディカラーは写真のパールホワイト3(op2万2000円)をはじめ全8色

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