独アウディAGは11月28日(現地時間)、電気自動車「e-tron」のアップデートモデルを発表した。車種展開は容量71kWhの駆動用バッテリーを搭載する「50クワトロ」と同95kWhの「55クワトロ」という2タイプを設定する。
▲アウディe-tron ボディサイズは全長4901×全幅1935mm×全高1616mm/ホイールベース2928mmに設定。EVシステムの改良により航続距離は従来比で25kmの延長(55クワトロでWLTPモード最大436km)を果たした
今回の「e-tron」の改良は、EVシステムのさらなる高効率化および航続距離の延長がメインメニューだ。高効率化に関しては、前後アクスルに電気モーター、フロア部に駆動用バッテリーを搭載するEVパワートレインのハードウェアの設定見直し、さらにソフトウェアの再調整などを実施する。まず走行パターンにおいて、従来は通常時がリアモーターによる後輪駆動をメインとし、フロントモーターを常にスタンバイ状態としていたが、これを改良してフロントモーターを多くの状況で完全に駆動システムから切り離すように設定。また、残留ブレーキトルクと呼ぶブレーキパッドをディスクに短時間当てたときに発生するエネルギー損失をいっそう削減する、新しいホイールブレーキを組み込んだ。加えて、ドライバーがアクセルペダルから足を離した際のコースティング時に回生するエネルギーの3段階レベル設定(ステアリングホイールのパドルを使用して段階調整)の幅を拡大。これにより、いわゆる"ワンペダル フィーリング"のエネルギー回生をいっそう明確化した。さらに、高電圧バッテリーの利用可能範囲を広げるように再セッティング。55クワトロでは、バッテリー容量95kWhのうちの86.5kWhの正味電力を利用できるように改善した。これらの変更により、航続距離は従来比で25kmの延長(55クワトロでWLTPモード最大436km)を達成している。
熱管理の効率を高めたことも注目ポイントだ。4つの独立した回路で構成する熱管理システムを見直し、高電圧コンポーネントの温度をさらに効率的に調整することを可能とする。同時に、冷却液回路内の体積流量が減少したことで、ポンプの消費電力も少なくなった。
▲従来はフロントモーターを常にスタンバイ状態としていたが、これを改良してフロントモーターを多くの状況で完全に駆動システムから切り離すように設定。電力損失や引きずり損失なしに走行できるように改善した
装備面では、スポーティなDNAをさらに強調する「Sライン エクステリアパッケージ」を追加したことが特徴となる。エクイップメントとしては、20インチ大径ホイールにスポーツエアサスペンション、ボディ同色のホイールアーチトリム/ドアシル/バンパー/ドアミラー(標準はブラック)、大型エアインテークを備えたバンパー、ラジエーターグリルのSラインエンブレムなどを採用。また、シングルフレームやバンパーなどをより際立たせるブラックスタイリングパッケージもオプションで用意した。
なお欧州での車両価格は、前後合わせて最高出力230kW/最大トルク540N・mを発生する2基のモーターと容量71kWhのバッテリーを搭載する50クワトロが6万9100ユーロ(約833万8000円)~、前後合わせて最高出力265kW/最大トルク561N・m(ブーストモード時300kW/664N・m)を発生する2基のモーターと容量95kWhのバッテリーを搭載する55クワトロが8万900ユーロ(約976万2000円)~に設定。日本への導入時期は、現在のところ未定である。