新型MIRAI 新車解説/2020年末デビュー予定
トヨタMIRAI 新型は現行モデルからコンセプトを一新 走行性能を重視したFRスポーツセダン FC(フューエルセル=燃料電池)システムは全面改良 航続距離は現行モデル比30%アップ
新型は走行性能を重視したFRレイアウト。スポーティで伸びやかな造形
トヨタMIRAIは、世界初の量産燃料電池車(FCV)として2014年に登場。2ndモデルとなる新型は一般的なモデルチェンジとは異なり、パワートレーンにトヨタフューエルセルシステム(TFCS)を用いる以外はすべてが新しい。コンセプトチェンジという表現がふさわしい。
現行型は個性的なデザインながら基本はオーソドックなFFセダンだ。新型は走行性能を重視したFRスポーツセダンに全面刷新。フロントミッドシップレイアウト、ワイド&ロー、低い全高を生かしたスポーティでのびやかな造形はクルマ自体の魅力度が高い。ボディサイズは全長×全幅×全高4975×1885×1470mm、ホイールベース2920mmと、クラウンとレクサスLSの中間だ。
タイヤは25/45R20を装着、ボディ色は新開発のブルー(フォースブルー・マルチプルレイヤーズ)だが、これらは量産仕様にも採用されるもよう。
インテリアは、ドライバーを包み込むようなインパネデザインと12.3インチのワイドモニターを取り入れたセンタークラスターが特徴。環境対応車でありながらもドライバーズカーであることをアピールする。現行モデルは4名乗りだが、新型は5名乗りである。
全長×全幅×全高4975×1885×1470mm ホイールベース2920mm ボディサイズはメルセデスEクラス(同4950×1850×1450mm/WB2940mm)と同等
航続距離800kmオーバー! 異次元の静粛性と走行フィールを目指し開発
水素を空気中の酸素と化学反応させて発電して走るパワートレーンの詳細は未公表だが、FCスタックをはじめとするTFCSをすべて再設計。航続距離は現行モデル比で約30%アップを目標に開発が進められている。現行モデルの航続距離は約650km(JC08モード)。新型は800㎞超えを目標にしている。
プラットフォームは「TNGAを採用」という以外の詳細は未公表。駆動方式がFFからFRに変更されているからGA-LシャシーをベースにFCVに最適なスペックに改善されているのだろう。関係者によると「異次元の静粛性」と「いままでにない走行フィール」を目指して開発が進められているという。
チーフエンジニアの田中義和氏(現行モデルも担当)は、「FCVだから選んだのではなく『「ほしいクルマ」を選んだらそれがFCVだった』というクルマに仕上げました」と語っている。
ショー出展車はコンセプトカーの位置づけだが、前回の東京モーターショーで世界初公開されたクラウンと同じように、ほぼこのままの姿で市販されることは確実。日本や北米、欧州などで2020年末からの発売を予定している。ステアリングを握るのが楽しみな1台である。
インパネ中央に12.3インチワイドモニターをレイアウト メーターはフル液晶仕様 ディンプル本革巻きステアリングなど各部はスポーティ指向 ショー出品車のシートは本革
新型は現行の4シーターから5シーターに改良 サルーンとしての魅力をアップ 着座位置は低めの設定 各部の作りは上質
MIRAIは水素を空気中の酸素と化学反応させて発電 その電力で走行する究極のエコカー