2020 HOTインポートカー特集:小さなプレミアムカー,アウディA1スポーツバックが教えてくれる「軽さ」の意味

アウディA1スポーツバック1stエディション 価格:7SMT 443万円 試乗記

メインIMG_6851.JPGアウディA1スポーツバック1stエディション 35TFSIアドバンスト(365万円)をベースにしたデビュー記念車(限定250台/443万円) コントラストルーフやMMIナビゲーションシステムなど装備充実

全長4040mm。1台ですべてをこなす絶妙のポジショニング

 1stアウディ A1は、全長4mを切るアーバンコンパクトとして2011年にデビュー。「小さなプレミアムカー」として高い完成度を誇った。

 新型のボディサイズは全長×全幅×全高4040×1740×1435mm。ボクは「全長4mを切った」という点を大いに評価していただけに2ndモデルが、4mの壁をあっさり超えたと聞いて、ちょっと残念な気持ちになった。もっとも、メカニズムを共有するVWポロ(同4060×1750×1450㎜)がひと足先に「大型化」していたのだから、5ドアのA1スポーツバックもそうなることは容易に想像できたが......。

 ユーザーにしてみれば、コンパクトカーといえども、使っているうちに〝(わかっていたはずの)室内の狭さ〟が次第に不満になってくる。お客様の声は次期型の開発に影響を与える。どのセグメントにおいてもモデルチェンジごとに大型化は避けられない。本当はそこで我慢して、A1では狭いというユーザーにはA3を売る努力をすればいいと思うのだが、お客様は神様だ。かといって、今後A0を発売するわけにはいかないだろう。また、1stモデルでスポーティで上質なイメージを印象づけた個性派の3ドアモデルは、もう存在しない。それも少し残念だ。

 ホイールベースを旧型比で95mm伸ばした新型A1のスタイリングは、1stモデルに比べて一般的なハッチバックシルエットに変化した。サイズ的にいうと1997年にデビューした1st・A3(同4150×1735×1420mm)に近い。室内の広さや荷室の使い勝手を考えると、こういうカタチとサイズに落ち着くのだろう。

IMG_6865.JPG新型は旧型比全長/ホイールベースをそれぞれ55/95mm拡大 ボディタイプは5ドアHB 駆動方式はFF

存在感たっぷりのスタイリング。室内は上級モデルと同等の充実装備

 アウディは最も小さいプレミアムコンパクトカーだからこそ、アピアランスにユニークな演出が必要だと考えた。新型はシングルフレーム形状のフロントグリルをはじめ、くっきりと存在感を主張する3本のサイドキャラクターライン、骨太なエンドピラー、そして2トーンカラールーフの設定など、VWポロとは根本的に立ち位置が異なることをデザインで表現している。中でも真後ろからみた、どっしりとした雰囲気は、いい意味でコンパクトカーらしくない。

 インテリアも大いに変わった。バーチャルコクピットなど上級モデルと同様の装備を採用している。安全・運転支援システムも同様だ。つまり、最も小さいアウディは、アウディらしい先進性が満喫できるモデルに仕上がっている。小さなプレミアムカーというキャラクターは、いっそう鮮明になった。

 日本仕様のA1スポーツバックは、新開発1.5リッター直4ターボ(150ps/250Nm)を積んだ35グレードのほかに、1リッター直3ターボ(95ps/175Nm)の25TFSIが設定された。1リッターモデルの日本発売は2020年中ごろの予定。欧州市場には2リッターターボを積む40TFSIという高性能グレードが存在するが、日本発売は現在のところ見送られている。

メインIMG_6952.JPGインパネはスポーティで機能的な造形 スマートフォンとの連携機能を重視したインフォテインメント機能を搭載 ハンドリングは軽快な味付け

痛快な走行フィール。パワーユニットは新開発1.5リッター・ターボ(150ps)

 肝心の走りはどうだったか。試乗車は鮮やかな2トーンカラーの35TFSIの1stエディションだった。

 まず感心したのが、新開発の1.5リッターエンジンの高い完成度。旧型同様にCOD(シリンダー・オン・デマンド)システムを積んでいるが、この制御が精密このうえなく、ドライバーが「力強い加速を必要としていない」と感知するや、わずかな隙を狙って2気筒を休止。ムダな燃料消費を抑える。しかも、一連のオンオフをドライバーに感じさせる心配はない。楽しいドライビングと燃費低減を、ストレスフリーで両立している。

 A1スポーツバックの走りは、「痛快」のひとこと。期待どおりの「軽さ」をすべての操作系で感じさせてくれることから始まって、踏ん張りを効かせながら適度なしなやかさを伴って曲がっていく感覚や、クロースレシオ設定の7速Sトロニック(デュアルクラッチ)による機敏な変速と力強い加速など、まさにモダンアウディを体現している。どこをどう切り取っても、最新のアウディらしさが感じられるから、広くなった室内と相まって、最も小さいモデルに乗っているということを忘れてしまう。

 新型A1スポーツバックは、現行A3の立場が心配になってくるほど、完成度の高いプレミアムな実用コンパクトだった。走るほどに魅力が鮮明になる逸材だ。

タイトル回りMG_6877.JPGフロントマスクはスポーティ シングルフレームグリル上部のスロットは往年のクワトロ・スポーツのオマージュ

IMG_6897.JPG1stエディションのブラックインサート17インチアルミ+215/45R17タイヤは標準モデルにもデビューパッケージ(10万円)として設定

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IMG_7023.JPGシートはファブリック張り 各種調整機能は手動 大型サイズで乗り心地/サポート性ともに優秀 後席足元スペースは広い

アウディA1スポーツバック1stエディション主要諸元と主要装備

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グレード=1stエディション
価格=7SMT 443万円
全長×全幅×全高=4040×1740×1435mm
ホイールベース=2560mm
トレッド=フロント1510/リア1490mm
車重=1220kg
エンジン=1497cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=110kW(150ps)/5000~6000rpm
最大トルク=250Nm(25.5kgm)/1500~3500rpm
WLTCモード燃費=15.6km/リッター(燃料タンク容量40リッター)
(市街地/郊外/高速道路=11.7/15.8/18.1km/リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア・トレーリングアーム
ブレーキ=フロント・ベンチレーテッドディスク/リア・ディスク
タイヤ&ホイール=215/45R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径= 5.1m
●主な燃費改善対策:筒内直接噴射/電子スロットルバルブコントロール/可変バルブタイミング/気筒休止/電動パワーステ/アイドリングストップ/電子制御7速Sトロニックトランスミッション
●1stエディション特別装備:ナビゲーションパッケージ(MMIナビゲーションシステム+バーチャルコクピット)/アシスタンスパッケージ(アクティブレーンアシスト+アダプティブクルーズコントロール+プレセンスベーシック+ハイビームアシスト/ルームミラー自動防眩)/デビューパッケージ(コントラストルーフ+サイドシルブラック+17インチアルミホイール5スポーク・ブラックインサート)/コンビニエンスパッケージ(アドバンストキー+リアビューカメラ+アウディパーキングシステム+デラックスオートAC+前席シートヒーター)
●主要装備:アウディプレセンス・フロント(セーフティシステム)/レイン&ライトセンサー/LEDヘッドライト(自動レンジコントロール付き)/デイタイムランニングライト/リアフォグ/LEDリアコンビネーションライト/ヒーター付き電動格納式ドアミラー/ブラックウィンドウモールディング/デビュークロスシート/サイド&カーテンシールドエアバッグ/本革巻きマルチファンクションステアリング/アルミニウムルックインテリア/USB充電ポート/可倒式リアシート/エレクトロメカニカルパワーステアリング
●ボディカラー:バイソンイエローメタリック&ミストブラックメタリック
※価格はすべて消費税込み

IMG_7038.JPG新型のパワーユニットは1.5リッター直4ターボ(150ps)と1リッター直3ターボ(95ps・2020年半ば発売予定)の2種 プラットフォームはVWポロと共通項が多い

IMG_6932.JPG1497cc直4DOHC16Vターボ 150ps/5000~6000rpm 250Nm/1500~3500rpm 気筒休止システム(COD)を搭載した新設計ユニット リニアなパワーと高い効率が魅力

IMG_6992.JPG1stエディションはバーチャルコクピット標準 メーターはフル液晶 多彩な表示モードが選べる

IMG_6858.JPG全長×全幅×全高4040×1740×1435mm ホイールベース2560mm 車重1220㎏

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