BMW118iプレイ 価格:7SMT 375万円 試乗記
BMW118iプレイ 新型1シリーズは駆動方式を従来のFRからFFに一新 ラインアップは3グレード構成の118i(1.5リッター/140ps)とM135i・xドライブ(2リッター/306ps)を設定 ボディタイプは全車5ドアHB
新型はMINIの兄弟車。2シリーズやX1&X2と共通プラットフォーム
1シリーズは、セグメント唯一のFRハッチバックとして、根強い人気を誇っていた。FFばかりのコンパクトカー界にあって、律儀に後輪駆動を貫く姿勢をBMWらしいと思うファンは多かった。だが、当のBMWにしてみれば、できるだけ早くFF化に踏み切りたかっただろう。そのためのお膳立てと研究をMINIで十分に行い、スペース性に優れた2シリーズでFFに先鞭をつけ、一定の評価を得た。そしてついに、FFの1シリーズが誕生した。
1シリーズが属するコンパクトハッチバック市場は、マニア向けではない。駆動方式の違いなど意に介さないユーザーがメインだ。彼らが求めているのはBMWらしい上質性が味わえる便利な実用車であって、後輪駆動が演出するドライビングファンではない。室内や荷室の広さを望むなら、FFレイアウトが最善。ましてや、現在はコンパクトクラスにもさまざまなボディバリエーションを設定しなければビジネスにならない。FRレイアウトでは汎用性が低い。新型1シリーズは、2シリーズのモノフォルム系やX1/X2といったSUVと基本的に共通のプラットフォームを採用している。
エンジン横置きのFFレイアウトになり、車両型式がF40型となった3rd・1シリーズ。全長×全幅×全高4335×1800×1465mmのボディサイズだけを見れば、旧型F20型とさほど変わらない。FFになったというのに、全長はもちろん、ホイールベースも2670mmとほぼ同じ。幅と高さがそれぞれ増したとはいえ、パッと見て気づくほどの差ではない。モダンなBMW顔に変わったスタイルからは、メカニズムに重大な変更(FRからFFへ)があったとは想像もつかない。多くの一般的なユーザーは、1シリーズが単にスキンチェンジで新しくなった、というイメージを持つだろう。
足回りはフロント・ストラット/リア・マルチリンクの4輪独立 プラットフォームは2シリーズ/X1/MINI用の改良型 ARB(タイヤスリップコントロールシステム)は日本初採用
上質で広い室内。エンジンは1.5リッターと2リッターの2タイプ
インテリアは大幅に変化した。旧型オーナーなら目を見張るはず。全体的なデザインはいかにもBMWらしくドライバーオリエンテッドな世界。10.25㌅のモニターが中央にレイアウトされ、シフトレバー周辺のデザインは上級モデルと同じテイストで、一気に先進的で上質な雰囲気になった。そのうえ乗降性はラクになり、足元空間は広い。荷室も拡大している。新型の室内は機能面でもスペース面でも旧型から数段改善された。これこそがFF化のメリットだと聞けば、「いいことづくしじゃないか」とユーザーは納得するだろう。
現在のラインアップは、1.5リッター直3ターボ(140ps/220Nm)を積む118iのFF3グレード(スタンダード/プレイ/Mスポーツ)と、2リッター直4ターボ(306ps/450Nm)を搭載した4WDのM135i・xドライブの合計4グレード構成。このなかから今回は、118iプレイとM135iに試乗した。
写真はiDriveナビゲーションパッケージ(24万9000円)装着車 10.25インチのセンターディスプレイとフル液晶メーターで構成するBMWライブコクピット標準 ハンドリングは秀逸
秀逸のロードホールディング性能。山道が楽しい!
118iプレイ(375万円)に乗り込む。1シリーズの販売メインは、おそらくスポーティ指向の118i・Mスポーツで、これはMスポーツサスと18インチタイヤが標準。足回りが圧倒的に優って、本当の実力がわかりづらい。その点、標準サスペンションと16インチタイヤを組み合わせたプレイならベーシック性能を知るのに最適だ。
がっちりとした手応えのステアリングホイールと、芯のある適度に固めの乗り心地は、モダンBMWに共通するテイスト。ステアリングの切れ味はあくまでナチュラル。しっかりとしたトルクを右足裏に感じながら、よくできた7速DCTの変速プログラムによって、軽快かつ心地いい街乗りをみせた。FFだから、というマイナス面は何もなかった。
ワインディングロードも駆け上がってみた。リアにマルチリンク式サスペンションを採用した結果、ロードホールディング性能は秀逸。安心感の高い走りをみせた。しかも日本初装着のタイヤスリップコントロールシステム(ARB)や、コーナリング時に内輪を微制動するBMWパフォーマンスコントロールのおかげで、面白いように内を向く。シャシー能力が完全にパワートレーンを上回るから、山道ではドライブに没頭できた。
M135は、もはやスポーツカーだった。極太のステアリングを握りしめ、爆音を響かせながら、4WDシャシーの制御を信じて右足を踏み込む。スピードは超一級品。ハンドリングもハイレベルだ。1シリーズとは思えないドライビングファンが味わえた。そのぶん、630万円とお値段も張ってしまうが、BMWファンにはたまらないモデルだ。
伝統のキドニーグリルはワイドな1フレームデザイン 写真はデイランニングランプ点灯状態
プレイは16インチスタースポークアルミ標準 タイヤサイズは205/55R16(ランフラット)
プレイはファブリックシート標準 写真の本革パーフォレーテッドダコタレザーシートはセットop(25万円) 乗り心地はしっかりとしている
BMW・M135i・xドライブ 価格:8SAT 630万円 M135iはMパフォーマンス社がチューニングした純スポーツグレード 全域パワフルで爽快な吹き上がりを見せる2リッター直4DOHC16Vターボ(306ps/450Nm)搭載
BMW118iプレイ主要諸元と主要装備
グレード=118iプレイ
価格=7SMT 375万円
全長×全幅×全高=4335×1800×1465mm
ホイールベース=2670mm
トレッド=フロント1565/リア1565mm
車重=1390kg
エンジン=1499cc直3DOHC12Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=103kW(140ps)/4600~6500rpm
最大トルク=220Nm(22.4kgm)/1480~4200rpm
WLTCモード燃費=13.7km/リッター(燃料タンク容量50リッター)
(市街地/郊外/高速道路=10.7/14.2/15.1km/リッター)
サスペンション=フロント・ストラット/リア・マルチリンク
ブレーキ=フロント・ベンチレーテッドディスク/リア・ディスク
タイヤ&ホイール=205/55R16+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
●主要燃費改善項目:無段階バルブリフト(バルブトロニック)/筒内直接噴射/吸排気無段階可変バルブタイミング(ダブルVANOS)/充電制御/アイドリングストップ/電動パワーステアリング
●主要装備:ドライビングアシスト(車線逸脱警告+レーンチェンジウォーニング+前車接近警告+衝突回避・被害軽減ブレーキ+クロストラフィックウォーニング+トラフィックサインアシスト)/パーキングアシスト(パークディスタンスコントロール+パーキングアシスト+リアビューカメラ+後退時ステアリングアシスト機能)/BMWコネクテッドドライブ・スタンダード/ランフラットタイヤ/BMWサービスインクルーシブプラス(3年間)/ドライビングパフォーマンスコントロール/クロームハイグロス仕上げキドニーグリル/自動防眩ドアミラー/コンフォートアクセス/LEDヘッドライト/LEDフォグランプ/レインセンサー&オートライト/BMWコクピット(5.1インチマルチディスプレイメーター+8.8インチコントロールディスプレイ)/2ゾーンオートAC/マルチファンクションスポーツレザーステアリング/チルト&テレスコピックステアリング/自動防眩ルームミラー/スルーローディングシステム(3分割リアシート)/クオーツシルバーマット・インテリアトリム
●装着メーカーop:ハイラインパッケージ(パーフォレーテッドダコタレザーシート+前席シートヒーター+前席電動調節機構)25万円/iDriveナビゲーションパッケージ(10.25インチマルチ&ワイドディスプレイ+HDDナビゲーションシステム+BMWインテリジェント・パーソナルアシスタント+ITSスポット対応DSRC車載器+BMWコネクテッドドライブプロフェッショナル)24万9000円/Hi-Fiスピーカーシステム(205W・10スピーカー)5万円/オートマチックテールゲート6万8000円/クルーズコントロール(ブレーキ機能付き)4万1000円/電動パノラマガラスサンルーフ15万円
●ボディカラー:メルボルンレッド(op7万9000円)
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万7970円
プレイは実用・快適装備が充実したカジュアルモデル 全長×全幅×全高4335×1800×1465mm 車重1390kg
1499cc直3DOHC12Vターボは140ps/220Nm発揮 WLTCモード燃費は13.7km/リッター 7DCTと組み合わせて心地いい走りを味わわせてくれる
opのフル液晶メーターはセンターディスプレイとの連携で中央部に各種情報を表示 回転計(写真右)は速度計と対称デザイン
電動パノラマサンルーフはop(15万円) 開放感たっぷりの室内を演出