メルセデス・ベンツ日本は4月4日、Gクラスに直列6気筒ディーゼルエンジンを搭載した「G350d」(1170万円)を追加設定し、予約注文の受付を開始した。ユーザーへの納車は7月ごろを予定している。
▲メルセデス・ベンツG350d 価格:9SATC1170万円 全長4606×全幅1931×全高1969mm(欧州参考値) ホイールベース2890mm ユーザーへの納車は7月ごろを予定する
新エンジンの型式は「OM656」。S400dなどにも採用する最新の直列6気筒ディーゼルエンジンを基本としている。排気量は2925ccで、レイアウトはボア82.0×ストローク92.3mmの直列6気筒DOHC。ここに可変タービンジオメトリーを取り入れた2ステージターボチャージャーを組み合わせている。エンジン本体はシリンダーピッチを90mm、シリンダー間の厚みを8mmとして全長をコンパクト化。同時に、シリンダーブロックは軽量化のためにアルミ製とした一方、ピストンにはスチール製を導入し、熱膨張率の異なる素材を取り入れることで40%以上の摩擦低減を実現した。また、シリンダーウォールにはスチールカーボン材を溶射コーティングするNANOSLIDE摩擦低減加工を施している。パワー&トルクは286ps/61.2kg・mを発生。エンジンマウントには、低振動かつ高い静粛性を保つ可変エンジンマウントを採用した。
インジェクションシステムは、ピエゾインジェクターを使用したコモンレール式だ。最大圧力は2500barまで高められ、さらに冷却した高圧EGRと低圧EGRを組み合わせた「マルチウェイ排出ガス再循環(EGR)」を搭載して燃焼の最適化を図り、後処理を行う前の段階でNOxを低減する。また、排気側にのみ可変バルブリフトシステムの「CAMTRONIC(カムトロニック)」を採用し、冷間時の吸気行程中に排気の一部を燃焼室に戻すことを可能とした。
▲OM656型2925cc直列6気筒DOHCディーゼル2ステージターボ 最高出力286ps/3400~4600rpm 最大トルク61.2kg・m/1200~3200rpm 0→100km/h加速は7.4秒と公表
排出ガスの浄化システムは、排出ガスの温度低下による浄化効率の低下を防ぐ目的で、エンジンに近接して搭載する。ターボチャージャーから出た排出ガスは、まず酸化触媒へ送られ、その後にAdBlueを添加。下流のsDPF(DPF with SCR Coating:選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)で粒子状物質の捕集と窒素酸化物の低減を行ってから、最終的にSCR触媒でさらに窒素酸化物の処理を行う仕組みだ。先進の浄化システムの採用により、OM656ユニットは欧州において導入されているRDE(Real Driving Emission、 実路走行試験)規制に適合するなど、高い環境性能を確保している。
トランスミッションには、トルクコンバータハウジングをアルミ製、ギアハウジングをマグネシウム製とした9G-TRONICを組み合わせる。駆動機構は3つの電子制御ディファレンシャルロックを備えた最新のフルタイム4WDシステム。また、先進安全機構のレーダーセーフティパッケージやアダプティブブレーキ、アテンションアシスト、360度カメラシステム、最新のコミュケーション機構であるCOMANDシステムや12.3インチコクピットディスプレイなども標準で装備した。