アストンマーティン・ヴァンテージAMR 価格:7MT 14万9995ポンド(英国) 試乗記
アストンマーティン・ヴァンテージAMR 伊グランツィアーノ製7速MTと機械式LSDでドライビングの楽しさを追求 ブレーキはカーボンファイバー標準 車重は標準ヴァンテージ比95kg軽量 前後重量配分は理想的な50対50 駆動方式はFR
スポーツカーを操る楽しさとはなにか? AMRはそれに対する真摯な回答
久しぶりに古典的ともいえるピュアスポーツカーに乗った。その名はアストンマーティン・ヴァンテージAMR。どこが古典的なのか? それはトランスミッションである。
時代は、モンスター級スポーツカーでも 2ペダルが主流だ。しかし「スポーツカーを操る楽しさは他にもあるでしょう!?」。という思想からアストンマーティンは 3ペダル、7速MTで操るヴァンテージAMRを送り出した。 AMRは、アストンマーティン・レーシングを意味する。
メカニズムのハイライトは、標準ヴァンテージの8速ATと Eデフ(電子制御デファレンシャル)から、7速MTと機械式LSDへの変更。車重はカーボンブレーキなどを含めた軽量化で標準比で95kg軽く仕上がった。
AMG製4リッター V8ツインターボエンジンは、アストンマーティンが排気系とエンジン特性のチューニングを行った。スペックは510ps、625Nmだ。0→100km/h加速を4.0秒( 8ATは3.6秒)で駆け抜け、最高速は314km/ hに達する。
スタイリングはレース活動の経験をフィードバック 高速走行時に有効なダウンフォースを生む 操縦性はコントローラブル
7速MTはレーシーな「ドッグレッグ・パターン」。操る楽しさを追求
7速MTは左下が1速で、2と3、4と5、6と7速が縦に3列に並ぶレイアウト。モータースポーツの経験がフィードバックされたシフトパターンを、メーカーは「ドッグレッグ」と呼ぶ。加速してクラッチを切った瞬間でもエンジン回転は次のギアにエンゲージしやすいよう、瞬時には落とさない設定。「アクセル全開のままシフトアップが可能だ」と聞いた。ダウンシフトは自動ブリッピングでジャストミートされる。
機械式LSDは、後輪左右の回転差が生じると加速側38%、減速側40%のロック率を持つ LSDが即座に回転制御に入る。
アウトバーンへのループ状流入路で3速をキープ、アクセルを深々と踏み込んでみた。最大に横Gが加わったあたりでパワースライドの兆候が現れる。機械式LSDを持つAMRは、明確なリアの動きを見せる。
アウトバーンでは、アッという間に5速7000rpm、250km/hに達したが、まだまだ余裕。追越レーンが混雑していたので、6~7速はアクセルを戻す。
7速MTの意義は、2ペダルで漫然と乗せられている感覚とは異なる点だ。タイヤ、エンジン、ブレーキなどから情報を得ながらクルマを操る楽しさと醍醐味を、AMRは呼び覚ましてくれる。
ステアリングはギアレシオ12.9対1のクイックな設定 インパネはアルカンターラ張り 中央に8インチ液晶スクリーンを装備 各部の作りは上質
7速MTは左手前が1速の設定 シフトダウン時自動ブリッピング機能付き
シートはクッション性豊かな快適仕様 乗り心地はフラットな感触
アストンマーティン・ヴァンテージAMR 主要諸元
グレード=AMR
価格=7MT 14万9995ポンド(英国)
全長×全幅×全高=4465×1942×1274mm
ホイールベース=2704mm
車重(DIN)=1499kg
エンジン=3982cc・V8DOHC32Vツインターボ(プレミアム仕様)
最高出力=510ps/6000rpm
最大トルク=625Nm(63.8kgm)/2000~5000rpm
サスペンション=フロント:ダブルウィッシュボーン/リア:マルチリンク
ブレーキ=前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ=フロント:255/40R20/リア:295/35R20
駆動方式=FR
乗車定員=2名
最高速度=314km/h
0→100km/h加速=4.0秒
※2019年5月デビュー ※スペックは本国仕様
3982cc・V8DOHC32Vツインターボ 510ps/6000rpm 625Nm/2000~5000rpm AMG製パワーユニットをチューニング フロントミッドに搭載
フロント255/40R20/リア295/30R20サイズのピレリPゼロ標準 ホイールは鍛造仕様