米国ゼネラルモーターズ(GM)は2月4日(現地時間)、ロサンゼルスにおいてラグジュアリーSUVの新型キャデラック・エスカレードを発表した。
▲新型キャデラック・エスカレード 新世代のプラットフォームに高剛性化および高効率化を果たしたボディを採用。エクステリアは従来の「ひと目でエスカレードと分かる」造形コンセプトを踏襲しつつ、新たに水平基調で細身のホリゾンタルヘッドランプなどを採用する。写真はPREMIUM LUXURY PLATINUM仕様
第5世代となる新型キャデラック・エスカレードは、先駆的なテクノロジーを携えて完全に再設計し、内外装デザインやドライビングエクスペリエンスなどを新たな次元へと昇華させたことが特徴である。
まず注目したいのが、インテリアのアレンジだ。湾曲した有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイやAKG(Akustische und Kino-Geräte Gesellschaft m.b.H)自動車用オーディオシステムといった業界初となる先進機構を新たに設定する。
▲湾曲した有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイやAKG自動車用オーディオシステムといった業界初となる先進機構を新たに採用する
OLEDディスプレイは、対角線の長さが38インチ超のディスプレイエリアを備え、画像解像度は4Kテレビの2倍を誇る。これをドライバーに見えやすくするよう、効率的に湾曲させて組み込んだ。画面自体は3つに分割され、ドライバーの左側に対角線の長さが7.2インチのタッチ操作パネル付きドライバーインフォメーションセンター、ステアリングの奥に対角14.2インチのクラスターディスプレイ、さらにドライバーの右側に対角16.9インチのインフォテインメントスクリーンを配する。そして、ディスプレイには、ストリートビューのライブ表示や目的地の方向を指示するディレクションオーバーレイ機能等を備えた最新型「拡張現実(AR)対応ナビゲーションシステム」(オプション)、4台の外部カメラで撮影した車両周辺の状況を解像度2メガピクセルのバードアイビュー(マルチアラウンドモニター)で表示する「サラウンドビジョン」、最大9種類のカメラビュー(リアカメラガイドラインを含む)を提供してトレーラーのけん引を容易にする「トレーラリングインテグレーションパッケージ」(オプション)、従来のリアビューミラー画面にリアカメラの映像を表示する「リアカメラミラー」(オプション)、赤外線を利用して夜間の歩行者や大型動物などを検知しセンタークラスターディスプレイに投影する「ナイトビジョン」(オプション)などを映し出す仕組みだ。加えて、後部座席には新型「リアシートエンターテインメント」を用意。12.6インチタッチ式ディスプレイを左右シートバックに配し、ナビゲーション機能のほかHDMIおよびUSB入力を介してゲーム・音楽・ビデオを再生するストリーミング機能を備える。また、この画面ではアンドロイドスマートフォンを映し出すことも可能。さらに、後部座席の乗員からディスプレイを通じて前席のナビゲーション画面に推奨ルートの提案を送信し、ドライバーの返答が求められる目的地のサジェスチョン機能も組み込んだ。
▲後部座席には新型「リアシートエンターテインメント」を設定。12.6インチタッチ式ディスプレイを左右シートバックに配し、ナビゲーション機能のほかHDMIおよびUSB入力を介してゲーム・音楽・ビデオを再生するストリーミング機能を組み込んだ
AKG自動車用オーディオシステムは、有名ミュージシャンがレコーディングスタジオおよびライブ会場で使用するマイクやヘッドフォンで世界的に知られるAKGのオーディオテクノロジーを自動車用に落とし込んだことが特徴。14チャンネルのアンプを備えた大容量密閉型サブウーファー付きの19スピーカーシステムを搭載し、スタジオ3Dサウンドやカンバセーションエンハンスメント(対話補助機能)、ナビゲーション用オーディオレンダリング、フロントパッセンジャーボリュームコントロール(前席用音量調節)といった機能を提供する。また、オプションとして28チャンネル仕様のアンプ3基と36のスピーカーで構成する「AKGスタジオリファレンスシステム」を設定した。
▲ホイールベースの拡大などによって2列目と3列目の座席スペースおよびカーゴスペースの拡張を図り、移動空間としての快適性と利便性をいっそう向上させた
インテリア自体は、「ギデオンウィスパーベージュ」コンビネーショントリムを初採用して上質感を引き上げたうえで、キャビンスペースを大きく拡大させたことがトピックとなる。とくに、2列目と3列目の座席スペースおよびカーゴスペースの拡張を図り、移動空間としての快適性と利便性をいっそう向上させた。また、高速道路運転支援システム「スーパークルーズ」(オプション)をセグメントで初装備。ライダー(LiDAR)地図データ、高精度GPS、最新ドライバーアテンションシステム、カメラおよびレーダーセンサーのネットワークを駆使し、米国およびカナダにおける20万マイル(32.2万km)以上の互換性のあるハイウェイでのハンズフリー走行を可能としている。
▲背が高く垂直配置のバーチカルリアライトや繊細なエッチング仕上げを施した深味のある3Dレイヤーデザインなどを導入して、より力強くて存在感のあるスタイリングを具現化。搭載エンジンには6.2リットルV型8気筒ガソリンと3リットル直列6気筒ターボディーゼルを設定する
基本骨格に関しては、新世代のプラットフォームに高剛性化および高効率化を果たしたボディを採用。エクステリアは、従来の「ひと目でエスカレードと分かる」造形コンセプトを踏襲しつつ、新たに水平基調で細身のホリゾンタルヘッドランプや背が高く垂直配置のバーチカルリアライト、繊細なエッチング仕上げを施した深味のある3Dレイヤーデザインなどを採用して、より力強くて存在感のあるスタイリングを具現化する。ボディサイズは、3071mmの標準ホイールベース仕様が全長5382×全幅2059×全高1948mm、3406mmのロングホイールベース仕様(ESV)が同5766×2060×1942mmに設定した。
パワーユニットについては、従来の改良版の6.2リットルV型8気筒OHVガソリンエンジン(420hp/623N・m)のほか、3リットル直列6気筒ターボディーゼルエンジン(277hp/623N・m)を新搭載。トランスミッションは2エンジンともに、エレクトロニックシフトコントロールを備えた10速ATを組み合わせる。また、駆動機構には電子制御リミテッドスリップディファレンシャル(eLSD)をオプションで用意した。一方、シャシー面ではリアサスペンションに新開発の独立懸架式マルチリンクを採用したことが訴求点。同時に、進化版のマグネティックライドコントロールや新型エアライドアダプティブサスペンション(オプション)なども組み込んでいる。
▲新型キャデラック・エスカレードはSPORT仕様を新設定。グロスブラック仕上げの専用グリルやモールディング、22インチ12スポークポリッシュドアロイホイール、パフォーマンスパッケージなどを装備する
新型キャデラック・エスカレードは、2021年モデルとして2020年後半から北米市場での販売をスタートさせる予定。他のエリアではその後に順次販売を開始するが、日本への導入時期などは追って発表するという。