モーガン4/4 価格:5MT 781万円 試乗記
モーガン4/4 1936年以来基本設計を変えずに生産してきたブリティッシュスポーツ 先ごろ新世代のプラスシックス&プラス4が登場 ボディはアッシュという堅い木材の上にアルミを貼る独特の構造
1936年のデビュー以来、基本設計は不変。エンジンのみアップデート
第2次世界大戦前、スポーツカーの多くはオープンボディだった。その雰囲気を今日に伝える貴重な存在がモーガンだ。紹介する4/4は、それまで3輪スポーツカー専門だったモーガンが開発した初の4輪車で、デビューは1936年、90年近く前になる。
基本設計はそのころから不変で、鉄製のはしご型フレームの上に木骨を組み上げ、アルミのボディパネルを貼り付ける。前後のサスペンション形式も昔のままだ。ひじを大きく曲げた古典的なドライビングポジションや、ローラー式のアクセルペダルも受け継いでいる。ただしエンジンは現代のフォード製1.6リッター直4(112ps/132Nm)、5速MTはマツダ・ロードスター用を採用している。
ラインアップは、この4/4よりもややワイドなボディに2リッター直 4(156ps/201Nm)を搭載したプラス4、3.7リッター・V型6気筒(284ps/352Nm)を積むロードスターがある。
2019年には新開発のアルミ製プラットフォームにBMW製3リッター直列6気筒ターボ(340ps/500Nm)を組み合わせ、ATの選択も可能なプラスシックスが登場した。続いて今春には、同じプラットフォームに2リッター直4ターボ(255ps/400Nm)を積んだ新型プラス4が発表されている。入れ替わるように4/4は生産を終了、現在の販売は在庫限りとなっている。
全長×全幅×全高4010×1630×1220 mm ボディは熟練の職人がハンドメイドで製作 高速道路の快適速度は80km/h前後 運転はしやすく痛快 独特の味わいがある
フットワークは現在でも高水準。まさにオープンスポーツの原点
エンジンのスペックでわかるように、4/4は4輪のモーガンでは最もおとなしいモデルである。しかし車両重量がわずか795kgで加速は活発だ。背後から響いてくる排気音は懐かしさを感じる響きで、気分を盛り上げてくれる。サイドスクリーンを装着すれば、風の巻き込みはほとんどない。
サスペンションは固めでストロークは限られる。しかしラダーフレームが、ダイレクトなショックは絶妙にいなしてくれる。荒れた路面では中の木骨がユサユサ揺れる場面もある。でもモーガンを選ぶユーザーなら、これを味として好意的に受け取るだろう。
フットワークは現代の基準でも満足できる。ステアリングの切れ味は正確で、操舵に合わせて長いノーズがすっと向きを変える。コーナーに入ってアクセルを踏んでいくと、後輪が路面を蹴って旋回していく。オープンスポーツカーの楽しさの原点を味わっているような感触は、何物にも代えがたい。
より洗練された走りを古典的なデザインとともに味わいたいユーザーには、プラスシックスなど新世代モデルがお勧めだ。その一方で、新車で乗れるクラシックカーという視点でチョイスするなら、4/4がベストだろう。モーガンは実に味わい深い。
幌は手動開閉式 開閉所要時間は約5分 リアウィンドウはビニール製
ステアリングはマニュアルタイプ 操舵力は適度な重さ 写真のウッドパネルはop 空調はヒーターだけを装備 室内はタイトな印象
シートはレザー張り 前後スライドとリクライニングができる 着座位置は低く乗り心地はマイルド
エンジンは最新の英国フォード製 1595cc直4DOHC16V 112ps/6000rpm 132Nm/6000rpm 低回転から豊かなトルクを発生する実用的な性格
5速MTはマツダ・ロードスター用を流用 駐車ブレーキはフライオフ式
タイヤは165/80R15 ホイールは伝統的なセンターロック式ワイヤーデザイン
リアにスペアタイヤをマウント 独立したトランクスペースは未設定
サイドスクリーンはドアに別体で装着 窓はスライド開閉式
モーガン4/4 主要諸元
グレード=4/4
価格=5MT 781万円
全長×全幅×全高=4010×1630×1220
トレッド=フロント1222/リア1384mm
ホイールベース=2490mm
車重=795kg
エンジン=1595cc直4DOHC16V
最高出力=82kW(112ps)/6000rpm
最大トルク=132Nm(13.4kgm)/6000rpm
サスペンション=フロント:スライディングピラー/リア:リーフリジッド
ブレーキ=フロント:ディスク/リア:ドラム
タイヤサイズ=165/80R15
駆動方式=FR
乗車定員=2名
最高速度=188km/h
0→100km/h加速=8.0秒
※価格を除きスペックは欧州仕様