アバルト595コンペティツィオーネ 価格:5MT 383万円/5SMT 400万円 試乗記
アバルトは2019年にブランド誕生 70周年を迎えた。70周年記念限定車(695・70°アニベルサーリオ・日本限定100台)は、発表されるやアッという間に売り切れたという。日本でのアバルト人気は世界でも有数の「力強さ」を保つ。
高い人気は1949年にカルロ・アバルトによって創設されたこのブランドがモータースポーツシーンにおいて数々の伝説を生んできた「歴史と伝統」があってこそ。それはFCAも重々承知だ。それゆえ2007年のブランド復活以来、伝統に則ってフィアット・ベースの魅力的な高性能モデルを作り続けてきた。よみがえったモダンアバルトは、個性豊かに輝く存在である。
最新のアバルト595シリーズにはHBとファブリックトップという2種類のボディタイプがあり、パワースペックが異なるベース(145ps)/トゥーリズモ(165ps)/コンペティツィオーネ(180ps)という3グレードをラインアップ。ミッションは3ペダルMTもしくは2ペダルセミATから選べる。最近はコンペティツォーネにシャレたオールレザーシートを組み合わせたスティーレという限定車も登場した。カタログモデルにするか、限定車か……実に難しいが、どのタイプを選んでも根源的な魅力は変わらない。それは「無条件に楽しいクルマである」という点だ。
可愛らしいフィアット500をモディファイし、ところどころに獰猛さを散りばめたエクステリアを見ているだけで、まずは心が浮き立つ。そしてスポーツシートが装備された室内に乗り込み、シートベルトを締めてエンジンを掛けたその瞬間に、楽しい気分は早くも興奮に変わる。
走り出した途端、アバルト595は秘めたトルクが一瞬にしてクルマ中に充満したかのような加速を見せる。そしてドライバーはただただうれしくなる。その喜びは、ステアリングを切り、減速し、加速するという繰り返しによってさらに高まっていく。そこに余計な思慮は要らない。上手に走らせようなどという気持ちも不要だ。ただ思うがままに操作すればいい。運転自体がピュアに楽しめる、実に貴重なモデルだ。
シングルクラッチの2ペダル仕様は、少々クセがある。扱いに手こずるユーザーもいるだろう。だが、それにしたって、上手く操ったときの爽快感たるや格別である。
基本の完成度が高いクルマは時代に流されず、いつまでも楽しさが持続する。ドライバーをドライビングに没頭させるという点で、これほど素敵な「マシン」はない。もちろんパフォーマンスは超一級品である。
グレード=コンペティツィオーネ(MT)
価格=5MT 383万円
全長×全幅×全高=3660×1625×1505mm
ホイールベース=2300mm
車重=1120kg
エンジン=1368cc直4DOHC16Vターボ(プレミアム仕様)
最高出力=132kW(180ps)/5500rpm
最大トルク=230Nm(23.5kgm)/2000rpm ※スポーツ時250Nm(25.5kgm)/3000rpm
JC08モード燃費=13.1km/リッター(燃料タンク容量35リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=205/40R17+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=4名
最小回転半径_=未公表
●主な燃費改善対策:電動パワーステアリング
●主要装備:バイキセノンヘッドライト/ヘッドライトウォッシャー/フロント&リアフォグランプ/サベルト製スポーツシート(レザー&アルカンターラ)/スポーツペダル/アルミシフトノブ/アルカンターラメーターフード/スポーツレザー&アルカンターラステアリング/過給圧計/シフトアップインジケーター/マルチファンクションディスプレイ/SPORTスイッチ/ブレンボ製4ポットフロントブレーキキャリパー(レッド仕上げ)/フロント&リアドリルドディスク/ツインデュアルエキゾーストパイプ(ハイパフォーマンスRecord Monza)/ハイパフォーマンスコイルスプリング/KONI製FSDショックアブソーバー/電子制御デファレンシャルロック/17インチ10スポークアルミ/アルミフューエルキャップ/フルオートAC/7インチタッチパネルモニター/5エアバッグ
●ボディカラー:ブランコガラ
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は1万2030円