シトロエン・ベルランゴ・デビューエディション 価格:8SAT 325万円 試乗記
フランスでルノー・カングーのライバルが、グループPSAのシトロエン・ベルランゴとプジョー・リフター(日本未発売)だ。今秋に予定されているカタログモデルの日本発売に先立って、ベルランゴのデビューエディションの販売がスタートした。
パワートレーンは 1.5リッターディーゼルターボ(130ps/300Nm)と8速ATの組み合わせ。日本ではカングーより上級車の位置付けとなる。
ベルランゴとリフターの基本設計は共通。だが、デザインはしっかりと作り分けがなされている。ベルランゴのフロントマスクはC3に近い雰囲気で、バンパーやエアバンプに配した台形アクセントはC5エアクロスに似ている。最新のシトロエン・モードだとすぐわかる。
インテリアも同様だ。リフターが最新のプジョーに共通する先進コクピットデザインを採用したのに対し、ベルランゴはオーセンティックな運転環境にまとめた。かなり高めのフロントシートはふっかりした着座感があり、いかにもシトロエンらしい。
後席は3分割式で。2785mmという長いホイールベースを持つだけあって、身長170cmのパッセンジャーがゆったりくつろげる。折りたたみは背もたれを前に倒すと同時に座面が沈み込んでくれるので扱いやすい。そしてリアゲートは、小物の出し入れに便利なガラスハッチ付きである。
収納スペースはメーター上、前席上、荷室上部など室内各所に用意。大きなガラスサンルーフの中央を貫くバーも、LEDを内蔵した半透明のパネルがトレーになっている。国産ミニバン顔負けのユーティリティ性能だ。
走りは力強い。車両重量は1590kgと重めだが、ディーゼルならではの低回転域における大トルクと8速ATの実力で、予想以上にリニアな加速が得られる。
四角い車体は見切りがいい。全長×全幅×全高4405×1855×1840mmというボディサイズだが、運転を始めて数分もすれば狭い道でも思いどおりに走り抜けていける。
乗り心地はフランス車らしいしなやかな感触。開放的なキャビンや快適なシートの効果もあって、ずっと運転していたいという気持ちになる。コーナーでのロールは抑えられているので背の高いクルマながら、不安感はない。シトロエンらしい粘り腰が心地よい安心感をもたらしている。
ベルランゴは広い空間にふさわしい上質な仕立てと高いユーティリティ性、そして余裕のある走りを身につけていた。フランス車らしい「世界観」が楽しめる1台である。
グレード=デビューエディション
価格=8SAT 325万円
全長×全幅×全高=4405×1855×1840mm
ホイールベース=2785mm
トレッド=フロント1550×リア1560mm
車重=1590kg
エンジン=1498cc直4DOHC16Vディーゼルターボ(軽油仕様)
最高出力=96kW(130ps)/3750rpm
最大トルク=300Nm(30.6kgm)/1750rpm
WLTCモード燃費=未公表(燃料タンク容量50リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=205/60R16+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.4m
●主な燃費改善対策:未公表
●主要装備:アクティブセーフティブレーキ/ドライバーアテンションアラート/レーンキープアシスト/アクティブクルーズコントロール/ブラインドスポットモニター/トラフィックサインインフォメーション/6エアバッグ/バックカメラ(トップリアビジョン機能付き)/フロント&リア&サイドソナー/タイヤ空気圧警告灯/LEDデイライト付きハロゲンヘッドランプ/インテリジェントハイビーム/フロント&リアフォグランプ/オートライト&雨滴感知式ワイパー/エアバンプ/後席スライドドア/リアオープニングガラスハッチ/スーパーティンテッドガラス/ルーフレール/本革巻きステアリング/8㌅タッチスクリーン/左右温度調節式オートAC/自動防眩式ルームミラー/リアシーリングボックス/マルチパノラミックルーフ/ファブリックシート/リア3席独立シート(フォールディング機能付き)/助手席可倒シート/スマートキー/6スピーカーオーディオ/16㌅アルミ
●ボディカラー:サーブル(op6万500円)
※価格はすべて消費税込み