英国ベントレーは4月30日(現地時間)、徹底したテストを経て開発・製造したカーボンファイバー製エアロパーツ「スタイリングスペシフィケーション」を発表した。設定車種はプレミアムスポーツクーペのコンチネンタルGTとオープンモデルのコンチネンタルGTコンバーチブル、そしてプレミアムクロスオーバーSUVのベンテイガの3モデル。また、ラグジュアリーサルーンの新型フライングスパーにも間もなく導入する計画だ。
新設定の「スタイリングスペシフィケーション」は、軽量かつ高剛性なハイグロス2×2ツイルカーボンファイバー材で仕立てたハンドメイドのエアロパーツ群で構成する。コンチネンタルGTシリーズにはフロントバンパースプリッター、メタリックなベントレーバッジをあしらったサイドスカート、リアディフューザー、トランクリッドスポイラーを採用。一方、ベンテイガにはバイプレーンテールゲートスポイラーやリアスクリーンストレーキも組み込み、さらに同じ仕上げのフロントエアブレード、ウイングベント、ミラーキャップをオプションで用意した。
これらのコンポーネントの設計、開発、テスト、製造承認のプロセスは、ベントレーが新型モデルの企画で行っているプロセスと同様の過程を踏む。まず、各モデルの空力性能を補完する目的で、数値流体力学(CFD)ソフトウェアを使用して前後のリフト量や全体的な抗力などの空力性能テストを繰り返し行い、入念な改良を敢行。また、パワートレインの冷却、ブレーキの冷却、騒音、振動、ハーシュネス(NVH)への影響についてもシミュレーションを実施する。さらに、電気的なテストではPDC(パークディスタンスコントロール)からレーダーシステム、車載通信やエンターテイメント用のアンテナに至るまで、カーボンファイバー製パーツが車両システムに与える影響を最小限に抑えることを念頭に置いた。
こうしたバーチャルなテストを完了した後、最初の物理的なプロトタイプを製造し、風洞実験室や実際のコースでテストしてさらなる改良を加える。また、トップスピードに至るまでのあらゆる走行条件で安定性やフィーリング、加速時とブレーキング時の性能を評価し、ベントレーのドライビングダイナミクスが低下しないことを確認。これにパスしてから、さらに10万kmの車両総合試験を含む耐久性プログラム、渡河性能、縁石への衝突、悪路での走行など過酷なテストを実施する。同時に、ベントレーの品質ラボラトリーにおいて振動、熱循環、点荷重、衝撃などの過酷な試験を通して最終的なスペックを決定するという内容だ。
一方、製造工程においても何回ものテスト製造を行い、ベントレーに求められる厳しい要件を満たす一貫した再現性のある製造公差を具現化。この際、3Dスキャンも行い、公称計測値と比較することで製造精度を評価している。
なお、今回の「スタイリングスペシフィケーション」の新パーツは、先代のコンチネンタルGT(GT3-Rおよびスーパースポーツモデルを含む)やパイクスピーク、アイスレース用コンチネンタルGTのカーボンファイバーコンポーネントを手がけたエンジニアリングチームが開発を担当した。